写真撮影を学ぶオンラインコミュニティ「Clickin Moms」

日常生活ではInstagramやfacebookへの投稿写真撮影をする機会は以前と比べて、圧倒的に増えた。またビジネスでのECサイトにおける写真の占める役目はかなり重要になっているのは間違いない。

そんな存在感を増している「写真」。一度本格的に写真撮影を学びたいけれど、時間がなかなか取れない。そのために尻込みしている人は多くいるのではないだろうか。

今回ご紹介するのはそんな写真撮影を学びたいという人、とりわけ女性にターゲットを絞ったオンラインコミュニティを運営しているサイト「Clickin Moms」だ。同サイトは2008年、米国イリノイ州において設立。女性を主要なターゲットとしており、子供の写真を撮るためのノウハウを学びたいという人からECサイトの写真をどうすればいいか考えている人まで、さまざまな層の人々を惹き付けている。

また1万6000人以上の登録メンバー(有料) を擁するコミュニティーを育成することに成功し、順調な成長を遂げてきた。2009年度に18万ドル(約2160万円)、2012年に280万ドル(約3360万円)、2013年には430万ドル(約5160万円)の売上をあげている。

写真撮影の情報交換ができる場が欲しい

Clickin Momsの創業者はKendra Okolita(写真左。以下オーコーリッター)氏とSarah Wilkerson(写真右、以下ウィルカソン)氏。サイト誕生のきっかけをつくったオーコオーリッター氏はイリノイ州立大学を1996年に卒業後、キッチン用品を販売する会社のバイヤーとして働いていた。

同氏は大学時代に写真撮影の基礎を学んではいたものの、写真撮影をする機会はほとんどなかったという。しかし子供が産まれてからは、子供の姿を写真の形に残すため、撮影の技術やノウハウを独学で勉強しはじめた。

ただ、独学ということもあって写真撮影に関して情報交換できるような場がなかったため、友達や友達の友達と写真撮影について情報交換できるような、掲示板を使用した小さなオンラインコミュニティを作ることにした。Webに詳しい友達に依頼し、1000ドル以下でWebサイトを設立。当初コミュニティに登録しているのはわずか100人以内と、ごくごく身内のコミュニティだったという。

この開始直後からのメンバーの中に、弁護士として働いてきたウィルカソン氏がいた。彼女は遠くで働いている夫に子供の写真を見せたいと勉強そはじめ、その一環としてClickin Momsのメンバーになった経緯があり、写真に対する情熱を持つとともに、Clickin Momsの良さを十分に理解してくれる人物だった。

このウィルカソン氏を共同経営者として受け入れてから、Clickin Momsの状況は大きく変化することになる。多くの人が参加しだした後は登録メンバー制を設け、メンバーだけがフォーラムで情報交換できるようにした他、紹介したメンバーが登録すればその数に応じて報酬を得られる紹介制度を設けることでコミュニティの拡大と収益化に成功。

2009年度は18万ドル(約2160万円)、2012年280万ドル(約3360万円)、2013年430万ドル(約5160万円)を売り上げ、2014年の5月時点で1万6000人以上のメンバー を擁するコミュニティとなったのである。

写真撮影を学ぶ女性のためのオンラインコミュニティサイト

Clickin Momsの利用者は女性が中心で、家族の写真を上手に撮りたいという母親から、ECサイトのための商品写真を撮れるようになりたい人まで幅広い層のニーズに応えるサイトとなっている。

サイトの機能は大きく分けて3つある。写真撮影に関する様々なトピックについて情報交換できる「フォーラム」、写真撮影に関する電子書籍や備品を販売する「ストア」、写真撮影を学ぶオンラインコース「ユニバーシティ」だ。まずはユニバーシティを見てみよう。

このサービスはClickin Momsに所属する講師によるオンラインコースを受講するというもので、期間はだいたい3〜5週間ほど。授業は週ごとに配布される動画や電子書籍ですすめる形なので、24時間好きな時間に受講できるのが特長だ。

これらのクラスはFull Participation(完全参加)とStudy Along(独習)の2種類の形態を選択することができる。たとえば「The World Around You」という風景写真を撮る4週間のオンラインコースでは、完全参加の場合は300ドル(約3万6000円)、独習の場合は150ドル(約1万8000円)という料金設定となっていた。

独習の場合は動画や電子書籍を通して一方通行で学ぶのみだが、時間やノルマなどの制約がなく、完全に自分のペースで安く学ぶことができる。

一方完全参加の方は、授業後には写真撮影の課題を提出して講師からフィードバックを受けたり、質問をすることができる。またオンラインコースの生徒用のフォーラムに投稿することもできるという。こちらはより自分の成果や成長を客観的に知りたい人に適したコースだろう。

登録会員同士が交流をはかる充実したフォーラム

Clickin Momsにはもうひとつ、利用者を惹き付ける大きな要素としてメンバー制のフォーラムがある。年60ドルのメンバーシップ料金がかかるが、初心者のバックアップやサポートから細かな写真技術まで、さまざまな学習や交流がはかることができるようだ。ちなみにメンバーになると、写真撮影に関する電子書籍を月ごとに受け取ることもできるという。

フォーラムはいくつかのカテゴリに分かれている。まずは初心者や利用者のサポートの機能を果たすものとしては、サイトに対する質問ができる「Clickin Moms Lobby」や自己紹介や初心者が写真撮影に関する質問ができる「New Member Corner」がある。

学習系のフォーラムはもっとも充実度が高いようだ。初心者やビジネス向けの写真撮影のノウハウ、フラッシュや照明の使い方などを学べる「Learning Library:Tutorial And Article」、写真撮影の一般的な知識やクリエィティブな写真のノウハウなどを学べる「Photography Chat」、写真に関連したビジネスにおいて、マーケティングや価格設定、顧客サービスなどを学ぶ「Business Matters」などがある。

また、より交流に重点が置かれたフォーラムもある。「Show Us What You’ve got」では自分の旅の写真や情報を投稿して意見をもらうことができるし、「Members Connect」では掲示板を通してのチャットが、「Products and Services」では共同購入や、良い商品の紹介などができるようだ。

フォーラムの内容は残念ながらメンバーでなければ閲覧することはできないが、ビジネス系の学習をするフォーラムでは「ユニークなマーケティングのアイデア」「ビジネスロゴやフォントを購入していますか?」「ハイエンドの価格設定で成功したあと、価格を下げたりしていますか?」など、直接写真と関係ないところでも専門性の高いトピックのあることがうかがわれた。

これらのフォーラムにはすでに300万以上の投稿がなされており、利用者を惹き付けるClickin Momsの最大の強みとなっている。

女性のニーズを上手く捉えたサービス。マネタイズのプロセスも注目。

Clickin Momsは女性にターゲットを絞り、ニーズをうまく捉えたオンラインコミュニティサイトと言える。世の中の女性には子供や家族の生活の記録を残すために写真撮影を学びたい、でも学べる場所もないし、あったとしても家事や子育てで出かける時間がない。

そのような女性にとって、在宅で好きな時間に、写真撮影に関して情報交換したり、相談できる相手を見つけることができ、オンラインコースを受けることができるサービスを提供するClickin Momsはマッチしていたのだろう。

またClickin Momsのマネタイズに関するプロセスも興味深い。同サイトはすぐにマネタイズをするとせっかく育っていたコミュニティの信頼を失う可能性があるので徐々にマネタイズを開始した。最初はしつこくない程度に運営のための寄付金を募るページを設置し、写真撮影に関してのコンサルテーションサービス(有料)、サイト上で写真撮影に関する教材を販売しはじめた。

その後、コンサルテーションサービスや教材に継続的にお金を払う人が十分な数存在すると明らかになった時点でメンバー登録の年会費60ドルの課金やオンラインコースの販売をスタートしたという。このようなClickin Momsのコミュニティを育てる方法も、参考にできるところは多いだろう。