【骨が折れやすい?】骨折を防ぐ食事とは!
「骨折を治すためにカルシウムをたくさん摂っています」
「骨粗鬆症と言われたので、意識して小魚を食べたり、牛乳を飲んだりしています。」
多くの患者さんを外来で見ていると、時々そう言われることがあります。
骨にとってカルシウムが大事な栄養素であることは広く知られていますが、カルシウムをたくさん摂取すれば骨が丈夫になるかと言われると、そう単純な話ではありません。
実はカルシウムだけでは骨の生成には不十分なのです。
例えばビタミンD。
カルシウムは腸管から吸収されるためにはビタミンDが必要となります。その他にもビタミンK、タンパク質などの栄養素も必要になってきます。
ではそれぞれの栄養素は1日にどれくらい摂取すればよいのでしょうか?
カルシウムは700〜800mg/日以上の摂取が推奨されています。
カルシウムを多く含む食品には牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆、大豆製品があります。
「カルシウムの摂取量」と「骨塩量や骨密度」との間には有意な正の関係が認められている研究は多く、日本の疫学研究ではカルシウム摂取量が少ない集団は多い集団とくらべて骨折の発生率が低いとも言われています。
ですが海外の報告ではカルシウム摂取量と骨折発生率の間に関連は認めれれていなかったりもします。人種差、生活習慣、食生活などが影響しているのかもしれません。
ですが、カルシウム摂取量が少ないことが骨粗鬆症、骨折のリスクを高めている可能性は否定できないため、適切な摂取量を維持する食習慣は大事だと思われます。
ビタミンDは10〜20μg/日の摂取が推奨されています。
ビタミンDの多い食品としてはまいわし、シロサケ、うなぎの蒲焼、さんまなどがあります。
またビタミンDは食事として摂取するだけではなく、紫外線に当たることによって皮膚からも合成されるため1日15分ほど日光にあたることも大事です。
そしてカルシウムとビタミンDのは併用すると骨粗鬆症の治療を受けている人にとっては骨折予防効果がより高い可能性も示唆されていたりします。
ビタミンKは250〜300μg、タンパク質は女性は50g、男性は60gが推奨されています。
逆に摂取を控えた方がよい食品には加工食品、一部の清涼飲料水に含まれるリン、食塩、カフェイン、アルコールなどがあります。
リンは腸管からカルシウムの吸収を阻害する可能性があります。
リンはカルシウムとともに骨の無機成分であり、欠かすことのできない栄養素ではありますが、通常の食生活で不足することはあまりありません。
むしろ食品添加物として加工食品などにおおく含まれており、過剰摂取に気をつけたほうがよいと考えられています。
食塩やカフェインはカルシウムの尿中排泄量を増やし、利尿作用のあるアルコールも同様の可能性があります。これらも適度な摂取がよいでしょう。
骨と栄養に関して、簡単に説明させていただきましたが、結局はさまざまな栄養素をバランス良く摂取するのが大事です。
骨粗鬆症の食事におすすめの食品、過剰摂取を避けたほうがよい食品
おすすめの食品
カルシウムを多く含む食品(牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品)
ビタミンDを多く含む食品(魚類、きのこ類)
ビタミンKを多く含む食品(納豆、緑黄色野菜)
タンパク質(肉、魚、卵、豆、穀類など)
過剰摂取を避けたほうがよい食品
リンを多く含む食品(加工食品、一部の清涼飲料水)
食塩
カフェインを多く含む食品(コーヒー、紅茶)
アルコール
参考文献・書籍)
・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
・整形、災害外科61:1011–1019,2018 骨粗鬆症と栄養 上西一弘
Writer
どくしょー先生(整形外科医) Twitter : @ShoichiroMizuno