LINEのチャットボットはこのままだとうまく行かない

KENZO OKANO
APOLOチームブログ
9 min readFeb 1, 2017

LINEのMessaging API(https://business.line.me/ja/services/bot)が解放されてから幾分か時が過ぎました。

様々なBOTが開発されるも、なかなか一般人に受け入れるものができていおらず、APIが解放されてから爆発的にヒットするボットはまだ誕生していいません。(もちろんMicroSoftのりんなちゃん(http://rinna.jp/)は友人数が400万人を超えるなど成功は納めているがユーザーにヒアリングしても相当リテンション率は低いように思います。残念ながら使い続けるようなサービスにはなっていません)

その理由は今のLINEのチャットボットに、ヒトモノカネの3種類が圧倒的に足りてないからだと考えています。

(1)ヒト

まずは、開発者に限った話をすると海外のディベロッパーがほとんど参入していません。(将来的にも、 ドメスティックな市場が立ち上がると思っています)

何故ならば、LINEの主な利用国は日本、タイ、インドネシア、台湾の4カ国で、利用者の使用言語が分散しています。これはBOTという性質上(言語処理が非常に重要。利用者にとっていかに違和感なく、快適に使ってもらえるかにつながる)とても致命的で開発者はその国々で使用されている言語に対応せねばならず、負担が大きいです。

そのため、英語圏を中心とした海外のディベロッパーは英語圏で使用されているFacebook MessengerやSlackを目標に定めるのは当然です。わざわざ市場の小さな国々を狙うよりも、市場の大きな英語圏を狙うのは避けられません。

実際、Facebookグループの開発者コミュニティー(https://www.facebook.com/groups/messengerplatform/)や(https://www.facebook.com/groups/chatbot/?fref=ts)も8000人や20000人近くいるのに対しLINEの開発者コミュニティーは存在していません。(一応日本ではBOTという括りのhttps://www.facebook.com/groups/1684644661776706/?fref=tsは1500人近くの人が所属している)

日々Facebookグループでは、BOTを開発しているディベロッパーがノウハウや知見を交換している一方で、日本では、リアルな勉強会などは一部存在するが活発なものとはなっていません。

開発者がそもそも少ないことは、プラットフォームの発展に繋がりにくいことを意味します。

そして、開発者に限らず、サービスプロデューサーやデザイナー、より大きなくくりでいうと企業がLINEのBOT開発に取り組まないのは、すべて儲かる仕組みが確立されていないからだと考えています。

スマホ上のアプリ開発が盛んになったのも、3割と安いとはお世辞に言えない手数料を取られながらもお金になるからでした。

現状、LINEのBOTは利益の確保が難しいため営利を目的とする企業は進出しにくいです。

一方他のチャットボットプラットフォームはどうなんだという話をすると、Facebookは一部アメリカの週内で利用可能な、メッセンジャー上での決済機能に乗り出して、いち早く収益化の助けをしています。

現状LINEのBOT上で決済機能がないとなると、ユーザーからのマネタイズが不可能となり、考えられるマネタイズ方法としては、hachidori(https://hachidori.io/)やDOCOMOのRepl-AI(https://repl-ai.jp/)のようなノンコーディングでボットを作れたりするようなそもそものBOT用ツールを提供したりや第三者に夜広告などに頼るしかありません。

以上のような弱い収益基盤では、大きな資本による参入は難しいためLINEのBOT開発に対する熱が低くなっているのだと思います。

(2)モノ

次にモノという観点から話をすると分析ツール、アドネットワーク、言語処理のライブラリなど様々な開発・運用する上での使うツールが整っていません。LINE上でも一部LINE@の機能で利用者の属性などを判別するアナリティクス機能がありますが、月額利用料を払わないと利用できない仕組みとなっています。

アドネットワークの仕組みもそもそも広告出稿の仕組みができていなため、開発に取り組むスタートアッップも出て来ていません。仕組みさえ整えられれば、新たなユーザーとのチャネルが誕生することにより取り組み企業も出てきそうです。(LINEはスマホでいうGoogleのAdmobのような仕組みを整えるはず。)

また言語処理の部分でも、Docomo雑談対話APIやユーザーローカルのユーザーローカル人工知能ボットAPIなどの利用可能なライブラリも登場していますが、その会話の精度は十分に行くものではなくさらなる技術革新が必要そうです。

他にも様々なスマホでは一般的に利用されているツールが、LINEのBOT開発では依然として使うことができないので、企業がサービスを運用する上で様々なことを自社で行わざるを得ず、BOTに対する取り組みを躊躇させてしまっています。

(3)カネ

ここでいう金というのは、LINEのBOTプラットフォームの発展に寄与する企業に対する投資を指しています。

スタートアップの間でビジネスチャットとしての知名度をあげているSlackでは、専用のファンドを組織してまでBOTプラットフォームの発展に貢献しうる企業にどんどん投資をしています。

Slackが200万ドルをSlack Fund経由で14社のSlackbotスタートアップへ投資、アプリ数は600に到達(Tech Crunchより引用)

FacebookもWit.aiという自然言語処理技術を持つAIスタートアップを買収するなど、様々な要素技術に対する投資が盛んです。

もちろんこういった投資が成り立つのも、英語圏を対象にサービスが提供できれば、収益も莫大な量が見込めるからです。

一方LINEはチャットボットコンテストで優勝賞金1000万円と国内開催の大会の中では、目を引く額だか企業が進出したりするには圧倒的に足りません。

そもそも大会に出場し、本格的なサービスを開始することを目指すとお金が月々かかってしまう仕組みになっています。(50人以上の利用者を見込み、Pushメッセージを利用するサービスは以下のようにお金がかかってしまいます)

LINEの公式より引用

BOTプラットフォームの発展を目指す中、こういった月額制の利用料がかかる体系は理解しがたいと思っています。発展を目指すのであれば、アプリのような基本無料で全ての機能を解放し、API利用者が得た収入の中から手数料のような形で収益を確保すべきだと思っています。

長々とLINEのチャットボットに対する批判を述べてきましたが、もちろんLINEのチャットボットも可能性を秘めていると思っています。

それは、LINEビーコンです。

公式BLOGより引用

LINEビーコンとは特定のアカウントを保持するユーザーが近くにいるか判別するツールであり、これを使えば認識したユーザーだけに特定の情報をサービス運営側から送れるような仕組みが簡単にできます。

LINEのチャットボットは、現状オフラインでのマネタイズはかなり難しいですが、LINEビーコンをリアルなイベントの集客ツールとして使い、第三者にお金を払ってもらえば、収益確保もできるのではないかと考えています。

ユーザーはポケモンGOではありませんが、そこでしか得れない情報やクーポンなどがもらえれば足を運んでまで利用すると思っています。

それが無駄な新しいアプリをDLせず、LINE上で友達追加するだけでいいならなおさらです。

例えば、アーティストの限定音楽・PV、好きなアイドルの動画、スマホゲームの限定アイテムなどがあると思っています。

実は、自らもLINEのチャットボット開発に取り組んでおり本日新しくチャットボットをリリースしました。

「みんなの音楽コンシェルジュ」APOLOです。

「ポアルン」と呼ばれるキャラクターと会話をしながら音楽を探すことができます。

「ポアルン」とたわいもない会話をしながら、その時の気分にあった音楽をレコメンドしてくれます。

個人のみならず、グループでも利用可能なので是非ともグループに所属しているみんなで「ポアルン」を介して音楽をお勧めし合う体験をしてみていただければと思います。

ゆくゆくは上にある通り、LINEビーコンを用いてライブ会場にいる人限定でそのライブに参加しているアーティストの曲や動画を届けるような仕組みを作っていければと思います。

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是非とも使っていただいて、フィードバックや相談などをしていただければと思います。

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