海外から帰国、そして都内保育園入園を目指す!(その2:ルールを理解する)

T.H.
深く味わう:Appreciation of Life
12 min readAug 13, 2017
なぜかヨドバシカメラのエスカレーター脇に寝そべるはるお(仮)。「ルールとか、僕にはあんまり関係ないんですよね。」

※我が家の状況はこちら

保育園入園に向けて具体的に動き始める前に、ルールを知って、戦い方を決める必要があります。そこで今回は、「ルールを理解する」編です。

1.住む場所が大事

都内といっても、区によって待機児童の数や保育園の整備状況が全く異なっていることはよく知られています。待機児童の「数」だけでみると、世田谷区や江戸川区などの都心から少し離れたエリアで多く、一方で千代田区、新宿区などの中心地で少ない傾向があるようです。

でもせっかく住む場所をゼロベースで選べるなら、それだけで住む自治体を決めるのはもったいない!まず、海外からの保育園探しという厳しい状況で、認証保育園や無認可保育園も選択肢として本格的に考えるなら、それらの保育園の保育料にどれだけ補助があるかも重要です。千代田区のように(認証保育園で必要になる入園料などを考慮して)認証保育園の方が認可保育園よりも安くなる自治体もある一方で、多くの自治体では認証の方が認可よりも経済的負担が多くなります。さらに、港区目黒区中野区のように、認可でも認証でもない無認可保育園の保育料に補助をしている区もあります(いろいろ条件付きですが)。認証・無認可保育園への補助を、認可保育園の保育料との差額をベースに考える区も多いですが、そもそも認可保育園の保育料にも大きな開きがあり、月々の出費が数万円単位で違ってくる可能性があるということにも注意が必要です。長期的に住むことを考えるなら、2人目、3人目の保育料ですが、2人目半額の区が多い中、2人目無料の港区は特徴的です。もしかしたら高い家賃を払ってでも中心部に住む方が、保育料が安く済んでお得かもしれません。

さらに、園庭保有率や病児保育環境などもまとめてくれている日経Dualの自治体情報も住む場所を考える重要なヒントになります。文京区は認証保育園が次々に認可保育園になり、認証がほとんど残っていません。認証・無認可狙いの我が家(後述)としては住居の選択肢から外さざるを得ませんでした。インターナショナルスクールや教育面に力を入れている無認可園は地域的にかなり偏りがあり、港区、渋谷区、世田谷区などで多い印象でした。

2.認可保育園への申し込みは住んでいる区へ

認可保育園の申し込みは、住んでいる区が受付を行い、提出書類に基づいて申込者ごとにポイントを算出、そしてポイントの高い順に希望の園に内定が出る仕組みになっています。認定こども園や区立の小規模保育、事業所内保育所の地域枠なども同じように、「住んでいる自治体へ申し込み、自治体がルールに則って内定者を決める」スタイルです。

スケジュールはどこの区も概ね同じようになっていて、4月入園は11月から1月頃に一次申し込みがあり2月に内定発表、2月頃に二次申し込みがあり3月に内定発表が行われます。それ以外の年度途中入園は、前月1日に空き状況が公表され、10日前後に申し込み締め切り、15日~20日頃に内定がでます。

3.認可保育園への申し込みには住む場所の確定が必要条件!

上記の締切日までに住民票がないと認可保育園には原則として申し込みができません。例外として認められるのが、「転入予定」という身分での申し込みです。転入予定で申し込みをするには、持ち家があり固定資産税を納めている、または賃貸借契約書がすでにある、など、その区に住む予定であることが客観的に証明できなければなりません(単に「帰国したら〇〇区で家を探す予定です」ではダメ)。さらに、それらの証明が出せたとしても「転入予定」の申し込みは「住民票あり」の申し込みよりもポイントが下がるので、とても不利な立ち位置になります。

申し込みから内定発表までに1週間から10日前後の時間がかかること、申し込み時点で住所を確定している(住民票があるor賃貸借契約を交わしている)ことが求められことから、認可保育園に関しては入園の内定をもらってから家を決める、という戦略は成り立ちません。

4.認証・無認可の申し込みはそれぞれの園へ

認証園・無認可園(認可保育園などの、自治体が申し込みを受け付けるスキームではない保育園すべて)は、締切日も申し込み要件も園によってバラバラで、それぞれの園に確認する必要があります。申し込み方法などをHPに掲載したり、メールでの問い合わせに対応してくれるところもありましたが、多くは電話での問い合わせになります。

内定を出す優先順位としては、多くの園が、兄弟がすでに通っている子を優先、という点では共通していました。それ以外では、申込が早かった順に内定を出すという園、クラス内の男女比や月齢のバランスをみて決めるという園、抽選を行う園など、いろいろありました。

4月入園は12月~2月に申し込みというところが多いです。年度途中入園については、4月入園とあわせて申し込みを受け付けるという園、年度途中入園は原則申し込みを受け付けず、空きがでた場合のみHPで告知し、募集を受け付ける、という園があります。そもそも、年度途中に空きがでることはほとんどなく、出たとしても4月から待機している子で埋まるので、年度途中の入園希望なんて何を言っているんですが、と非常に冷たくあしらわれることも多数。我が家のように6月入園希望だと、年度を超えて5月にならないと状況がわからないので、その頃にもう一度かけなおしてほしい、と言われることも多かったです。

5.見学に行かないと申し込ませてもらえない?!

最も困ったのが、「見学に来てくれた方にしか申し込み用紙を渡しません」という認証・無認可園が多かったことです。そして、我が家のような1歳児の年度途中入園の場合、見学に来てもらって申し込んでもらっても、入園は厳しいと思います、というのがほとんどの園の反応。夫の両親が関東圏に住んでいるとはいえ、入園できる可能性がほとんどない園にわざわざ見学に行ってもらうわけにはいきません。

「海外に住んでいて、見学に行けません。1歳児の年度途中入園で、難しいこともわかっていますが、もし空きがでたらご連絡をいただきたく、申し込みだけさせていただけませんか。」というスタンスでとにかくたくさん電話をかけました。そういった形で受け付けてくれた園にはせっせと申込書を国際郵便で送ったり、FAXをしたりしました。

6.認証保育園は地元区民優先?

電話をした多くの認証保育園で言われたのが、「(園が所在している)●●区から、●●区民を優先して入園させるように、と言われているので、帰国後に●●区に住むつもりであれば申し込みを受け付けてもよい」ということでした。きっと多くの区が、区内の認証保育園に自区民を優先するように依頼をしているのでしょう。ここで「●●区に住むつもりであれば」というのは、認可保育園のように賃貸借契約までが求められるわけではありません。「こちらの園から内定をいただければ●●区に住みます」と言えば、「そうですか、わかりました」と納得してくださることが多かったです。

7.認証・無認可園はどう探す?どう選ぶ?

認証保育園は、各区がHPに一覧を掲載しています。新宿区は、認証園に関しても各園の保育時間や保育方針、保育料などの詳細をまとめてくれていて、とても便利。日経Dualの保育園検索も、詳細表示は有料会員限定ですが、無料の検索機能だけでも便利でした。

一方、認証にもなっていない無認可園は、各区のHPにも日経Dualの保育園検索にも出てきません。私が使っていたのは東京都HPで公表されている認可外保育施設一覧。私が見ていたときはエクセルでアップされていましたが、今はPDFになってしまっていますね。ソートをかけたり、気になる園に色を付けたりするのに便利なので、東京都さん、ぜひともエクセルでアップしてください!

「認可外保育施設」と一言で言っても、本当に様々な園が含まれています。小規模の家庭的なところ、英才教育、お受験重視、主に従業員向けの事業所内保育施設、日英バイリンガル、英語オンリー、スポーツ重視、親にとっての利便性重視、など本当に多様。保育時間も、毎日午後4時くらいに終わってしまう幼稚園的な園から24時間対応の園まであります。もちろん保育料も、認証保育園とあまり変わらないところから、月20万円を超えるところまで。何を重視して保育園を選ぶのか、よく考え、夫婦で話し合う必要があるのは当然ですが、無認可園選びではなおさらこれが重要です。

8.認証・無認可の空きの探し方

認証・無認可を狙うとしても、認可のスケジュールは頭に入れておく必要があります。認証・無認可の空きの多くは、在園児が認可保育園に移ることで発生します。ある認証保育園に通うお子さんに、認可保育園6月入園の内定が出るのが5月15日~20日ですので、その認証保育園は5月15日~20日頃になってようやく6月の空きが一人分できることを把握します。ということは「6月から入園したいんですが」と電話をして「あ、ちょうど空きが出ました」というお返事がもらえる可能性が高いのは、5月の最後の一週間ということになります。

認可保育園の空状況は毎月各区が集計して、HPに掲載してくれています。新宿区中野区は認証保育園の空き状況も同じように毎月公表してくれています。こういうところから入園希望月の前月に空きを見つけるのも有効だと思います。ただ、こういった一覧も各月1日時点での状況でしかなく、翌月の入園者がすでに決まってしまっている場合もありますので、結局は気になった園、一軒一軒に電話をして聞くしかありません。そして「空いているわけないでしょう」と、結構冷たくあしらわれます。(そもそも、認可・認証・無認可にかかわらず、空き状況が一覧になっていて、毎日更新されていけば、こんな大量の電話をかけなくて済むし、保育園側も「空きありませんか?」なんて電話を受けなくて済むと思うんですが・・・どなたかお知恵のある方、そういうのってできないんでしょうか?)

9.事業所内保育所という救世主

私の職場には事業所内保育所がありました。事業所内保育所といっても、区の認可を受けているところと、そうではないところがあります。私の職場の事業所内保育所は前者でした。認可保育園と同じ保育料で通える、仕事の状況に応じて臨機応変に対応していただける、そして認可は受けているけれど申し込み先が職場になるので、スケジュール面も帰国にあわせて柔軟に対応してもらえるなど、利点があります。また、定員が職員・従業員に多く配分されているため、一般的な認可・認証園よりは入りやすくなっている場合もあります。

一方、オフィスビルの中にあるため、住宅街にある保育園と比べ、園庭・児童公園など、小さい子が遊ぶ環境が整っているとは言い難いです。毎日、満員電車の中で子供と荷物を抱えて通勤しなければならないというのも、子供が大きくなるにつれてハードルが高くなります。

10.認可を受けた事業所内保育所に入るには、保育認定が必要

認可を受けた事業所内保育所の場合は、入園時に居住する自治体の保育認定を受けていることが入園の条件になります。保育認定を受けるには当然、その区に住民票を置いている必要がありますので、帰国・住居決定のスケジュールと調整が必要になります。また、保育認定申請には勤務証明書などの書類が必要になるため、夫婦両方の勤務先に書類を書いてもらうなどの準備が必要になります。

いくつかの区役所に、保育認定に必要な期間(申請から認定書発行まで)がどの程度かを問い合わせました。そもそも認可を受けた事業所内保育所というのが多くはなく、区役所職員さんによっては「認可保育園に申し込まないけれど保育認定がほしいってどういうこと?事業所内保育所って何ですか?本当に保育認定が必要ですか?」という方もいらっしゃいました。(さらに我が家の場合は、「夫が育休中で、私が働いていて」と言うと電話口の職員さんがパニックになってしまうことも・・・笑。)

また、保育認定は、認可保育園の入園申請とあわせて、月に一度の判定会議にかけるため、認可保育園と同じスケジュール(10日前後締め切り、15日~20日に決定)でなければ対応できない、という区もありました(役人なので、気持ちはわかるのですが・・・)。一方、事業所内保育所入園のために急ぎで保育認定が必要なのであれば、認可保育園の審査とは別に対応する、と言ってくださる区もありました。事業所内保育所をお考えの場合も、保育認定が必要な園の場合には、事前に区役所にスケジュール面を確認・調整しておく必要があります。

まとめ:地道に手広く情報収集

細かいことも含めてたくさん書いてしまいましたが、やはりいろんな区役所、保育園に電話をして問い合わせる、HPを見て情報を収集する、という地道な作業が必要になってきます。これは、都内に住んでいる場合の保活も同じことだと思いますが、海外在住・日本非居住の不利な状況ならなおさらです。(ちなみに我が家は日本への電話はSkypeの国際電話を利用。)海外からの保育園探し、それも1歳児、年度途中入園となると、厳しい現状と冷たい保育園の対応に、気持ちが折れそうになります。断られ続ける証券会社の電話営業の気分です。それでも親身になってくれる保育園や区役所の職員さんはいらっしゃるので、そういう方々にお世話になりながら我が家にとってベストな計画を立てていきました。

次は、上記を踏まえた我が家の作戦について書こうと思います。

※上記はすべて、我が家が各方面に取材をして把握をした情報です。区によって、園によって、申し込みスケジュールなどは違ってきますので、その点ご理解の上、ご参照ください。

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T.H.
深く味わう:Appreciation of Life

Working Parents who have a 3-yrs-old boy & a newborn baby girl in Tokyo. 妻の留学先であったNYで当時0–2歳だった息子と育休生活を送っていました。帰国後も夫婦それぞれの視点で、夫婦のこと、子育てのことを綴って行きます。