テクニカル・アルファ:Aptosブロックチェーンに訪れる革新
Aptos
今月初旬、世界中の数百人に及ぶトップビルダーが韓国ソウルに集結して、web3の根幹に2日間浸る「The Aptos Experience」に参加しました。
このイベントでは、Aptos上でweb3の未来を形成する主要な革新と、その背後にあるパイオニアが数多く登壇しました。
共通するテーマは明確です。オンチェーンの未来は明るく、Aptosエコシステムは、支払い、DeFi、ロイヤリティ、広告媒体のために技術的ソリューションを通じて、それを現実のものにします。
ここではAptos Experienceで発表された画期的なツール、機能、製品を紹介します。どれもweb3をよりアクセスしやすく、拡張性のあるものにするものです。
Moveプログラミング言語の未来
Aptosエコシステム内の開発者による貢献によって、Moveプログラミング言語の次なる時代が到来しました。今回発表されたMoveプログラミング言語の拡張機能であるMove 2は、DeFiアプリケーションの作成をさらに容易にすることを目的とした数多くの新機能を実装しています。
Aptos Labsの最高技術責任者(CTO)であるAvery Ching氏は次のように述べています。「Web3の開発者体験は今日、根本的には変わっていないと私たちは考えています。Moveはそれを根本から解決するチャンスです。Aptosチームは、その分野におけるイノベーションを担うことを誇りに思います。」
新機能
- DeFiアプリケーションのスマートコントラクトで管理されるデータを、新しい要件やアプリケーションロジックに合わせて柔軟に進化させるための列挙型
- 新しいMoveコンパイラは、Move 2を強化し、より迅速なイノベーションサイクルを実現するMove Proverとの統一アーキテクチャを完備
- MoveフォーマッターおよびMoveリンターは、Moveコードのセキュリティと可読性を向上させる既存のツールセットをサポート
- 動的ディスパッチ(Fungible Assets用)は、資産固有の転送機能を登録する際に、DEXなどのアプリケーションをサポート
- 改善された構文は、レシーバスタイルの関数呼び出し、インデックス表記に対応
Aptos LabsのMove言語およびツール部門の責任者Wolfgang Grieskamp氏は、Moveについて「期待通りの機能に加えて、さらに少し上の機能」を備えていると述べています。DeFiアプリケーションの重要なコンポーネントであるAptos Intentsなど、さらに多くのアップデートが間もなく発表され、AptosにおけるMoveを最も先進的なスマートプログラミング環境としてさらに確固たるものにする予定です。
ブロックチェーンの合意形成におけるエンドゲームの導入
パフォーマンスを向上させる提案によって、Raptr(次世代のBFT合意プロトコルとなる可能性を秘める)とAptosを組み合わせた大幅なアップグレードが可能になります。Aptos Labsのリサーチ部門責任者Sasha Spiegelman氏は、Raptrを「ブロックチェーン合意の最終局面」と呼び、Raptrは、サブ秒のレイテンシと高スループット性能を維持しながら、ネットワーク負荷が大きい場合でも、ブロックチェーンインフラストラクチャを変革する予定です。
世界最大の決済およびDeFiユースケースがAptosに集まる中、Raptrは今後100年にわたってスケーラビリティと安定性を維持できる可能性を秘めています。これにより、Aptos上でグローバル経済を拡大する上で不可欠なストリーミングや自律型決済など、まったく新しいユースケースへの扉が開かれます。
次世代のBlock-STMによる並列処理の主導
「動的並列処理は、2つの要素に基づいています。Block-STMとパイプライン化されたインフラストラクチャです。どちらもAptosがパイオニアとなりました」とAvery Ching氏は語りました。「今日、 Block-STM v2の登場によって、Aptosは並列処理の推進とWeb3のスケーリングへの取り組みを強化しています。」
業界をリードする並列実行Block-STMのv2は、256コアのマシンで効率的にスケーリングできるように設計されており、並列トランザクション処理を改善し、スループットを向上させます。この動的なインフラによって、Aptosは膨大なネットワーク負荷がかかっている場合でも、低いガス料金(取引あたり約0.00005ドル)を維持することができます。Block-STMは、Aptosエコシステム内およびそれ以外でも、すでに安全でシンプルな並列実行の標準となっています。この技術は、スケーラビリティとパフォーマンスの面で革新的であると認められ、Polygon、Sei、Monad、Starknet、Flowなどによって採用されています。
web3へのアクセスを簡素化
web3のユーザー体験を簡素化することを目的とした3つの主要なイノベーションが、Aptos Experienceの主役となりました。Aptos Build、Aptos Card、そしてPetraウォレットの進化です。
例えば、Aptos Buildは、あらゆるレベルの開発者がAptosネットワーク上でdAppsを迅速かつ効率的に立ち上げ、拡張するための包括的なツールキットです。Aptos Labsが開発したこのワンストップスイートは、ビルダーがAPIキーを生成し、NFTを作成し、安全なIDソリューションを構築することを可能にします。Avery氏は次のように述べています。「Aptos Build を使えば、ボタンをクリックするだけで一万個のNFTを作成できます。複雑な作業を必要とせずにアプリケーションを拡張できるワンストップショップです。
一方、Aptos Labsが設計したユーザーエンゲージメントを革新する一連の新機能が、AptosネイティブのPetraウォレットにまもなく登場します。ユーザーとアーティストは、次のような新機能を利用できるようになります。
- Petra Earn: 米国以外のユーザーがステーブルコインのDeFiレンディングプールにアクセスしやすく
- Petra Pay: 迅速なピアツーピア決済を促進
- Petra Nudge: お金を借りている友人へのリマインダーを送信
- Petra Groups: スムーズな決済とコミュニティ構築によってユーザー間の交流を促進
- Petra Drop:アーティストのファンエンゲージメントを効率化
同様に、Arculusは安全でシームレスな暗号管理を実現するコールドストレージのハードウェアウォレット「Aptos Card」を発表しました。このウォレットは、1回のタップでグローバルな送金を容易にし、ブロックチェーンをユーザーフレンドリーで安全なものにするというAptosのミッションに貢献します。ソーシャルログインやパスキー(パスワードや従来のキーが不要)などのAptosの革新的な機能と組み合わせることで、これらの革新はWeb3のユーザーエクスペリエンスをさらに合理化することを目指しています。
ブロックチェーンの未来への道筋
Aptos Experienceは、ストリーミング決済からDeFiに至るまで、あらゆるものを動かす低コストで高効率な取引を通じて、新しいグローバル経済を結びつけるというAptosのミッションを強化するものです。
Avery氏は次のように総括しました。「2024年は、迅速なリリース、素晴らしいインフラの展開、そしてエコシステム内でのDeFiの拡大に焦点が当てられてきました。」そして、Aptos Experienceで発表された技術革新は、Aptos上で構築された、人々による、人々のための次の1兆ドル規模の経済への道筋を整える準備ができています。
Aptos LabsはMo ShaikhとAvery Chingによって共同設立され、分散化のメリットを世界にもたらすために、より優れたネットワークツーリングとシームレスなユーザビリティの実現に取り組んでいます。
Aptosの各コンテンツや、学習材料へはこちらからアクセスできます!
今後もウェビナーや新しいコンテンツを、技術者および非技術者向けに日本語で提供していきます。Aptos Japanの活動にご協力ください🤝