Arriba X 深夜便 Vol.4 【ゲストはJPYC岡部さんが登場!!】

Ryotaa
Arriba Studio
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13 min readJun 27, 2023

※本記事はTwitter Space”Arriba X 深夜便 Vol.4 【ゲストはJPYC岡部さんが登場!!】”を記事化したものです。

Arriba深夜便について

Arriba Studio のファウンダー達がweb3領域で挑戦するキーパーソンに深夜突撃するトーク企画 ゲストの人物的ストーリーや、チームの話、変化の激しいweb3領域で直近の戦い方をどこまで広い視点から見た上で実行しているか、苦悩ポイントはどこか、投資家との向き合い方、などなど、Arriba社の投資・支援意思決定で重要な観点を交えつつキーパーソンに切り込みます。

(今回のスペースはこちらからお聞きください!)

今回のテーマ

【黎明期から規制と向き合いながらステーブルコイン領域で挑戦を続け、いよいよ離陸??規制動向やステーブルコインの果たすべき役割について議論します】

日本は世界に先駆けて暗号通貨の法制化に取り組んできた。6月1日から日本円ステーブルコインが国内で流通する。

JPYCとサークル、コインベースが規格を引っ張る。 USDCの日本上場は近い!?

苦労話をお聞きしつつ、岡部さん自体が今後チャレンジしていきたいこと、ライバルでもあり、web3を盛り上げる重要な盟友でもある他の取引所との関係値、その他、個人的な人物的ストーリーを交えながらお聞きします!

出演者

Guest🎙

Speaker🎙

Moderator🎙

「岡部さんについて」

南国:今回のゲストはJPYCの岡部さんです!佐藤さんはいつ頃から岡部さんとお知り合いなのですか?

佐藤:実は一緒に仕事をしたことはありませんが、1年半前にJPYC出身の起業家である「あるやうむ社」のCEOである29おじ さんに出資したことから、岡部さんと知り合いました。その後、新宿のサウナでArriba Founderのメンバーと一緒になったときに、岡部さんと仲良くなりました。

宮坂:サウナでの出会いには驚きましたが、実際に会ってみると、かなりエネルギッシュな印象を受けました。笑

南国:私も岡部さんに対して、芯のある野心を持った熱意のある方だという印象を持っています(笑)。今回は色々とお話を伺えることを楽しみにしています!さて、早速自己紹介をお願いします!

岡部:JPYC代表の岡部です。実は、2001年からビジネスをしている連続起業家で、当時からデジタルコイン(いわゆる現在のステーブルコイン)の事業を行っていました。途中でCTOを15年、CFOを3年など、色々なことをやってきました。現在は、JPYCの代表、ブロックチェーン推進協会の理事、iUの客員教授を務めています。ステーブルコインに関することであれば何でも答えられるので、本日もよろしくお願いします!

「JPYC社について」

南国:早速ですが、JPYCについてご紹介いただけますか?

岡部:はい、まずは会社としてのJPYCについてお話します。JPYCは2019年に立ち上げた会社です。ステーブルコインを始めたきっかけは以前作っていた「アルコイン」にありました。アルコインは、歩くとポイントが貯まるアプリで、貯めたポイントの価格が変動しすぎて企業が受け取ってくれなくなっていました。そのため、ステーブルコインのニーズを感じ、以前この領域に関わっていたこともあったので、自分で作れるのではないかと考え、2020年に本格的に開始することを決めました。

岡部氏: 日本の法律によると、ステーブルコインを出すことは難しいため、銀行なども出せていませんが、プリペイドのライセンスを使用することで出すことができることが分かり、それが現在のJPYCがプリペイドで出された理由です。

佐藤氏: 元々、JPYCを立ち上げた理由は、変動しない仮想通貨がなかったからですか?

岡部氏: はい、変動しない仮想通貨、もしくは仮想通貨と交換できるプリペイドが欲しいと考えていましたが、当時誰もやっておらず、またその流れもなかったので自分でやることにしました。

佐藤氏: そうだったんですね。ちなみに変動しない仮想通貨に関しては、どうやって稼いでいるんですか?

岡部氏: 難しさは確かにありますが、規模が大きくなればしっかりと収益を上げることができます。例えば、銀行のように両替で利益を上げることや、裏付け資産を運用して利益を上げることができます。

ただし、数十億円や数百億円ではあまり利益を上げることができず、数千億円や数兆円になると、利益が上がるという印象です。

佐藤氏: 何年後に、この目標を達成できそうですか?

岡部氏: USDCも同じようなことが起きましたが、伸びる時は大体年間10倍くらい伸びます。現在、JPYCが発行している額は約17億円なので、理論上はあと3年ほどで兆円の単位に達すると思います。また、兆円になると、裏付け資産を1%で運用しても、約100億円の利益が得られるため、十分だと思います。

佐藤氏: 収益モデルに関して、集めたお金を運用することや、交換に関しては、交換業になると思いますが、これらは規制が入ってくる恐れがあり、新規参入が少ないんですか?

岡部氏: 規制の方向性はだいぶ前から示されており、また交換業に関してはかなり明らかになっています。問題はUSDCを日本に持って来ることができるかどうかです。JPYCはUSDCを発行しているCircle社から出資を受けており、規格も合わせているため、これを持ってくることができれば、少ない手数料で両替可能になると思います。また、裏付け資産の運用に関しては、日本の法律ではほぼ国債しか買うことができません。正直、今の日本の金利だと厳しいですが、金利が上昇すれば、こちらでも十分利益を上げることができると思います。

「ステーブルコイン業者のライセンス」

宮坂:1兆円規模まで成長するためには、前払い式で行くべきか、ライセンスに関連する問題など多くのハードルがあると思われますが、どの分野が重要になると思いますか?

岡部:1兆円までは、資金移動業と連結業が重要だと考えています。100兆円まで行くと、さらに3つの分野が重要になると思います。まず、資金移動業に関しては、ステーブルコインを発行して円に戻すライセンスが必要になります。現在のJPYCは日本円に戻すことができず、使いにくいという問題点があります。ですので、この問題を解決したいと考えています。また、今年6月の改正資金決済法でステーブルコインの発行が正式に認められたので、次のステップが始まると思います。

連結業とは、ステーブルコイン同士の両替が可能になるライセンスのことです。USDCとJPYC、日本円とJPYCの両替ごとに手数料を取ることができるようになります。1兆円まで近づくことができるのではないかと思います。

100兆円まで行くと、銀行的な動きができるようになると思われます。この分野に取り組むのは、2~3年後になるかもしれません。

宮坂:一般人が利用できる環境整備は、誰が主導してどのように進めるのでしょうか?

岡部:早い段階では、「ポケモンGO」のようなキラーアプリが登場し、一般の人々に浸透することでしょう。また、docomoさんなどの大手キャリア会社がウォレットを作ったり、AppleやGoogleがスマートフォンに標準装備するなどすれば、浸透しやすくなると思いますが、時間がかかることが予想されます。

USDCとJPYC

南国:JPYCを今後は円に戻したり、簡単に資産運用ができるようにするために、今後ライセンスを取っていくのですね!

岡部:はい、その通りです。Defiなどを使えば現時点でも可能だと思いますが、公式に政府が認めた形で、銀行振り込みで直接USDCやJPYCを購入できることが理想的だと考えています。この方法が一番手数料が安いと思われ、また日本円での売買は税金の計算などにも簡単で、日本円ステーブルコインは事業者や投資家にとって本当に便利なものになると考えています。

佐藤:現在、USドルが強すぎるため、USドルベース以外の通貨が流通する姿が想像しにくいのですが、どうなっていくのでしょうか?

岡部:まず、税金などの計算上、日本企業は日本円ベースの通貨で持つ方が良いです。また、インバウンドや海外送金などにおいても、少ない手数料で使用できるメリットがあります。JPYCはUSDCなどと同じ規格を使用しているため、完全なステーブルコインになった場合、海外旅行中に支払いをスムーズに行うことができ、手数料もかなり安くなるでしょう。

佐藤:つまり、Circle社の共通規格に沿って開発されているということですね。

岡部:はい、共通規格を使用することが非常に重要です。例えば、USDC決済が実現したメタバースがあった場合、JPYCを導入することは非常に簡単です。共通規格を使用することで、手数料を抑えることも可能で、空港で高い手数料を支払って両替する必要がなくなるかもしれません…

佐藤:なるほど、わかりました。

南国:先ほどの金融ライセンスという話があったと思うのですが、銀行がライセンスを取得し、銀行がステーブルコインをやっていくことはあるのですか?

岡部:銀行さんもMUFGさんがやっているProgmatやDCJPYなど様々なものが登場しています。ただ正直現在の銀行の規制だと本人確認済みでないと使えないなど、実証実験レベルになっているかと思います。私たちはパブリックチェーン前提で動いており、そこの違いが一番大きいかと思います。

もう一つの違いは銀行が銀行が信用創造できてしまうため、裏付け資産の必要がないという点です。我々は裏付け資産が必要になってしまうものの、先日のシリコンバレー銀行破綻などのリスクがある中で私たちのコインを選ぶ人はいるのではないかと考えています。

宮坂:1兆円の世界観になった際、1兆円の資産価値を持つ何かが必要ということですか?

岡部:基本的には何かしらの金融資産を金融庁に預ける形になります。おそらく国債を購入する形になりますかね。

佐藤:他のお金を持っている会社が大量にお金を投下して始めた時にはどうなるんですかね?

岡部:例えばPaypayさんが参入する可能性はかなり大きいと思います。ただpaypayは2%の手数料をとっている中で我々のサービスは手数料が0なのに、このサービスをやるのかな?とは思います。特に現在資金回収フェーズの段階で手数料を0にするのかはわからないですよね。

「青ヶ島について」

南国:岡部さんが青ヶ島にいる理由をお伺いしたいです!

岡部:起業家というのは最悪のシナリオを想定して動くものだと考えています。3年後の未来を考えた時、例えば大銀行が本気でステーブルコインに参入してきた時にどういった対策をすればいいかと考えた時に見つけたのが青ヶ島でした。

現在水産業の共同組合を作ろうとしていて、この共同組合でステーブルコインを出してもいいという法改正が出ています。これにより銀行と同じスタートラインに立つことができます。それと同時にBlue Econnomyにも手を出していこうと考えています。銀行はこの領域で利益を大きく出すことが難しいと考えています。

南国:これまで規制との戦いが多かったかと思うのですが、実際その動きかけを岡部さん自身も行っていたのでしょうか?

岡部:はい、ここ2年ほどはかなり動いておりました。規制が厳しくなればできなくなる可能性もかなりありましたね…。何を動いていたかというと、ライセンスを階段上に上がれるようにできるようにしていました。例えば資金移動業から銀行のライセンスまで上がっていけるように金融庁が反映してくれるなどになりましたね。

佐藤:その傾向は岸田政権になってからなんですかね?

岡部:一番大きかったのは自民党の政策として正式にweb3が取り上げられたことですね。他にも金融庁がステーブルコインの規制でリードしていることをG7でアピールする目的などがあったのではないかと考えていますね。

宮坂:数年かけて金融庁の動きを見つつ行うのはスタートアップにはすごく難しく、参入障壁となると思います。どう言った姿勢で臨んだのですか?

岡部:基本的に金融庁などは過去の出来事を重視するので、使える過去の資料などを全て使っていくなどはとても大切だと思います。またビジネスAは大丈夫、ビジネスBも大丈夫とき、ビジネスABはどう?と言った提案をするのが効果的なような気がします笑。

佐藤:色々なトークンとスワップする時にしっかり価値が担保されるような仕組みはどのようなものだったのでしょうか?DEXの世界でJPYCが価値を保てている工夫を知りたいです。

岡部:JPYCは小口証券ビジネスをしていました。いわゆる金券ショップのライセンスなのですが、現金で金券が交換できるのと同じように、JPYCでビザのプリペイドカードを買うができるので、仮に下落した際は割安でプリペイドカードを買うことができるからお得になり、需要が高まるのでその価格が安定すると言った流れですね!

南国:そろそろお時間となりました!岡部さんに告知等あればお願いします!

岡部:JPYCは現在資金移動業のライセンスを狙ってこれから急激に便利になっていくと思います。こうした時に一緒に何かやりたいという方がいればぜひお話させてください!Twitterのメッセージもオープンにしているのでいつでもご質問ください! 南国:本日はお忙しい中、深夜便に来ていただきありがとうございました!佐藤さんいかがでしょうか?

佐藤:岡部さんとはお会いする機会が多かったのですが、今回Cricleとのお話も聞けてとても面白かったです。今度IVSにも来られるとのことだったので色々とまたお話をお伺いしたいですね笑。僕もIVSに参加するのでぜひ皆さんお会いしましょう!

今後も「Arriba X 深夜便」を行っていくのでぜひTwitterのフォローをお願いします!

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