生の声を聞ける異文化交流。そして大学無償の裏側

日本にいても海外のニュースについて聞くことができます。

しかしそれは日本語に翻訳された情報であって、まずその段階でいろいろと情報が他者によって取捨選択されています。

そんな取捨選択される前の情報について聞くことができるのが海外渡航、海外から来た人と直接会うことの最大の魅力だと思います。

そんな魅力を自分は9月いっぱい最高に楽しむことができました。

授業が英語とデンマーク語の同時進行ということもあり、言葉通り世界中から生徒が集まっています。

面白いのはグローバル化の流れとヨーロッパという地理的な理由でデンマーク生まれでも親が移民だったり、ドイツ人とデンマーク人の国際結婚だったりとデンマーク人といえどいろんな国のルーツを持っている人がいます。

例えば片方の親がドイル人であればもちろんその国の文化や言葉に接しているのでいろいろ教えてもらえます。

こっちに来てから何か国語もしゃべれる人が多いんですが、実はそういうからくりもあるんですね。

トリリンガルというと驚きますが、親の出身国の言葉＋英語みたいな。

そして親がルーツを持つだけではなく、ほんとにその国から来ている人もいます。

あと香港から来た子から聞いた話では香港ではフィリピン人の人を家政婦として雇うことが結構一般的みたいです。

さらに9月の2週目からは10人の留学生も一時的に一緒に生活を共にしています。国際機関の留学プログラムでデンマークに来て、ホストファミリーを見つけるまでフォルケで滞在しているのです。

そして今回もう一つ感じたのが、大学無償の怖さです。

誰もが大学に行け学びたいことを学べる。最高のことではあるんですがそんなデンマークに来ることで思いもよらない落とし穴を見てしまった気がします。

大学に行くということはホワイトカラー職を目指すということ。

しかしホワイトカラー職というのはほかの人が手に入れるのが難しい知識を習得したことによって優位性を持ちそれを武器に仕事をする人のことだと思います。

会計士や弁護士など普通の人ができないからこそ地位を獲得している。

しかし現在デンマークでは大学が無償ですし日本でもなりつつある。

アメリカは莫大な学費がかかるもののみんなあの手この手を講じて大半の人が大学に行っている。

さらに今まで先進国の特権だった大学は今や中国やインドで急速に増えています。

みんなが大学に行くと何が起きるのか。

そう、価値の低下です。

つまり今までは大学を出ていれば何とかなったけど、これからは大卒＋aの時代なのです。

さらに今後はAIの台等によってほとんどのホワイトカラー職は置き換えられるといわれています。

そんななかデンマークではだれもが行けるからこそみんな大学を目指してしまう。

大学を出ればほとんどの人はそれを生かした専門職・資格職を目指すでしょうが、その将来にはAI・途上国の大卒優秀人材が待ち構えている。

またスティーブジョブスとappleの共同経営者であるスティーブウォズニアックも以前インタビューで

「大学で学んだ勉強はappleで仕事をするうえで役に立っていない」

と述べています。

日本の企業はよくも悪くも大学で学んだ内容を会社で使えるとは毛頭考えていないので企業で育てようと言う精神があります。
しかし海外の企業は大卒の人材を即戦力として採用しているんです。

でも実際は大学で学ぶことと現場の仕事ではギャップがある。これによって大学で成績優秀で卒業したのにもかかわらず卒業後企業でこのギャップに苦しむ若者がいます。

自分は放送大学に在籍して大学で勉強していますが、学んでいるのは一般教養です。

一人の大人として社会で暮らすうえで知っておかねばならない教養を学んでいて、「特別この職業に生かせる！」というものではありません。なのでもちろん放送大学出れば万事うまくいくとは微塵も思っていません。（放送大学でたくさんの資格が取れます。あくまでも自分の個人的なケースです）

むしろ飛び入学したことによって生み出した時間を使い学校では得られないいろんな経験を積もうと思っています。

放送大学の学長自身も、今学んだ知識はあっという間に古くなってしまう。大切なのは「学び方・学び続ける姿勢」を学ぶことであるとおっしゃっています。

自分は大学卒業の学士という免許は世界・日本においてもまだ一定の価値を持っていて、そして何より放送大学は単純に授業が楽しいから通ってる。

大学に無償で行ける国、デンマーク。

誰もが平等に学びの機会をもているのは本当に最高なんですが、これからの時代は大学で学ぶだけでは不十分の時代が来ています。なので

「デンマークは大学無償だから天国だ！」

「大学出れば将来安泰だ」

とは単純に考えれないです。

フォルケに来てから2か月。友達と将来について深く話せたからこそこんなことを考えている今日この頃です。