視点を変えて見てみる

黒田旬
Ashoka Japan
Published in
4 min readMay 31, 2020

緊急事態宣言がついに解除されましたね。

第2波に襲われているところもあり予断を許さない状況ではありますが、少しづつ様々なところでウィルス対策を講じながらも活動を再開する動きが出てきています。

みなさんはどのようにお過ごしですか?

先日まで続いていた外出規制の中、自分は映画や本を読んで過ごす日々を送っていました。

視聴したたくさんのうち一つに始まりへの旅とという映画があります。 アメリカの奥深い森の中で暮らす家族を描いた映画です。親の強烈な思想の元、学校へは通わずに勉強は本を読み、運動もロッククライミングや格闘術の訓練をして暮らしています。子供の一人がアメリカのトップ大学へ合格しても、お父さんからは「大学に行っても学ぶものなんてない。すべてもう本で読んだだろ?」といわれてしまうほどです。

現代文明への皮肉がいろいろと込められいてとても面白い映画でした。この映画の中でチョムスキーのことが何度か出てきて、大学でもいま教育関係の授業を取っているのでこの機会にチョムスキー教育論という本を読んでみました。なかなか読み応えのある本で1回読んだだけでは完全には理解していませんがすごい興味深かったです。

彼は生徒を空っぽの器ととらえてそこに知識を詰め込むのではなく子供が本来持っているものを伸ばすのが教育だととらえています。先生から言われた通りに知識を記憶してテストの時に解答用紙に吐き出すという作業ではないということです。

反対に常に物事を批判的にとらえることこそが大切だとしています。これに関していえば、チョムスキー自身が右左を超えてアメリカの外交政策、そしてそれを都合よく伝えるメディア・知識人を厳しい目で見ています。

リベラルなほうのケネディのこともキューバでのCIAの工作は明らかなテロ行為であるし、ベトナムへの侵略も国際法の違反であると追及しています。

イラク戦争などについていえば、自分も映画などでみてきましたがいつも問題にされているのは大量破壊兵器がないのに侵略したことでした。これはチョムスキーから言わせれば「もし大量破壊兵器があれば侵略してもよい」とすることになり、そんなのはおかしいといっています。アメリカ側であるイスラエルは核を保有しているわけですから。それが周辺国を刺激して武装に走らせている。

9/11についても、タリバンはそもそもアメリカの支援の下でできたわけで、ビンラディンの気に障ることをアメリカがしたから矛先が変わっただけだと言及しています。これは日本で目にする現代史の本ではかなり一般的な解釈かもしれません。

アメリカと敵対する国をたたこうとするときはすばらしい愛国心をもつ反政府組織として支援するのに、アメリカに歯向かった瞬間にテロ組織認定というわけです。

こういった矛盾があるにもかかわらず、私たちには知らず知らずのうちにメディアや教育を通じてプロパガンダが刷り込まれていると彼は主張しています。

以前留学生の話としてアメリカの学校では授業で繰り返し真珠湾攻撃のことをやると聞いて驚きましが、この本ではアメリカの学校で先住民への扱い方がでてきました。

アメリカの教科書では先住民の虐殺をした指揮官が英雄のように教えられる、と。

日本でも最近教科書における慰安婦や南京大虐殺をめぐって議論が起こりましたが、さすがにそれを自慢するような記述は想像できません。

つまりは勝者の側だから何でもありというわけです。

彼は本の中でアメリカの状況について述べていますがこれはなにもアメリカだけの問題ではありません。私たちは自分が暮らしている社会や普段接しているメディアの情報、教育によって物事を見る視点が絶対影響を受けています。

特に日本の学校は進むスピードが速く、疑問を持ってなんかいないで先生の行ってることを従順に覚えるほうが効率的です。

しかし大人になれば市民の一員として政府が発表すること、メディアが言うことをしっかり見極めていかなければなりません。

簡単なことではないかもしれませんが、実践していきたいと強く思いました。

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