東南アジア最大のスタートアップイベントStartup Asia Singapore 2014のピッチバトルに登壇した10社まとめ

Yusuke Obinata (Obi)
Asia Tech
Published in
8 min readNov 24, 2017

注)こちらのオリジナル記事は2014/5/17に公開されました

先週の5月7日-8日シンガポールにて、Tech in Asiaが主催するアジア最大級のテックカンファレンスStartup Asia Singapore 2014が開催されました。
日本、韓国、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、香港等、本当にアジア各地から100チーム以上のスタートアップがブースを出し(+アメリカやヨーロッパのチームもいました)、多くの入場者で賑わう、まさに今の東南アジアの盛り上げりを象徴するようなイベントだったと思います。参加者も1000人以上はいたんじゃないかという肌感です。

プロダクトの展示が行われていたエリア シンガポール政府の貿易産業省大臣が初日のキーノートスピーチを務める等、政府からのバックアップも強い印象を受けました。 日本からはWantedlyの仲さん、gumiの国光さんらがセッションのスピーカーとして登壇。

Tech in Asiaより イベント中はスタートアップブースでのネットワーキング(2日間で100人以上と出会えました)に勤しんでいたのでセッションは殆ど聴けなかったのですが、 2日目の目玉ともいえるピッチコンテスト”Startup Arena”で登壇していた10社をまとめます。
※サービス名の次のカッコ内は拠点の国・事業ドメイン

優勝

Bindo(香港&アメリカ・決済/EC)

香港とNYをベースにする、中小規模事業者向けの実店舗とオンラインショップを融合するクラウドベースのiPad POSアプリ。オフライン・オンラインどちらの商品在庫も一括で管理出来る。 POS上で登録した商品群がそのままオンラインショップになるアプリもリリース予定。これはすごく良いなと思った。 商品数、ユーザー数に応じた$89, $149, $249の月額課金プランで、現在米国には既に200の課金事業者が存在。

2位

Kairos Watches(韓国・ハードウェア)

スマートウォッチのイメージを覆す、ラグジュアリーなスマートウォッチを生み出す韓国のスタートアップ。SMS, WhatsAppやLINEなどのメッセージアプリ、Twitterの@ツイートなどを確認できる。
価格帯は$1,100〜と高め。プレオーダー期間中の今なら$499〜!オーダーはこちらから。

3位

Asli Goli(パキスタン・医療)

パキスタン国内の約25%の薬品は偽物であるという。 薬ビンにスクラッチできるラベルをはり、削って出てきた数字をSMSで送信することで真贋を判別するソリューションを提供するスタートアップ。 一回のテストにつき0.01ドルを製薬会社に課金する。

4位

FaceRecog(シンガポール・ハードウェア/広告)

FaceRecogは、屋外広告に設置し、広告が実際にどれくらいのインプレッションを得ているのかを人の眼球から測定する小型デバイスを開発している。 年齢、性別などを認識し、リアルタイムでGoogle Analyticsで分析可能だという。広告に眼を向けていても、実際には意識をしていない場合も多々あると思うので、その部分はどう判別するのだろうという疑問は残った。 Global Brain賞を受賞。

5位

MergePay(タイ・決済)

中小規模事業者向けに会計管理アプリとモバイル決済アプリを提供している。 通常のPOSの機能に加えて、財務状況も分析出来るようになっている。150B(約500円)以上の決済に1%のトランザクションフィーを取るモデル。 世界中(主に東南アジア)で12000以上の金融機関と提携し、現在までに2000事業者が登録。ファウンダーはシカゴ出身のアメリカ人。

その他出場チーム

Astroscale(シンガポール・宇宙)

(via Tech in Asia)

大蔵省を経てマッキンゼー等で勤務し、起業経験もある日本人の岡田光信氏が立ち上げた宇宙問題を解決するスタートアップ。 人工衛星故障の原因になりかねるロケット打ち上げの際に発生する宇宙ゴミを、小さな衛星(上の写真)を使って掃除しようという壮大な事業。 話的には一番面白くて、多くの人の喝采を得ていたプレゼンテーションだった。$15Mを調達中とのこと。

HAYSTAKT(シンガポール・EC/クラウドファンディング)

デザイナープロダクト向けのクラウドファンディング・”クラウドプライシング”サイト。 工場に発注する際にはロットが小さいと単価がかなり高くなってしまうが、事前購入制度にすることで、購入者が集まればその分価格も下がっていく”クラウドプライシング”の仕組みが機能するようになっており、個人的にはとても面白いと思った。 成立プロダクトの売上の5%を取るビジネスモデルで、既に数件プロジェクトが成立している。

StudyPact(日本・教育)

全ての学習者の学習へのモチベーションをあげることを目標に掲げた、オーストリア人のToby氏による東京ベースのスタートアップ。 目標学習時間と掛け金を設定し、それが達成出来れば報酬を得ることが出来、出来ないと没収されてしまう。Duolingoなど14の学習系アプリと提携しており、それらのアプリで費やした時間が加算される。 先月β版のAndroidアプリをリリースしたばかり。 怠惰な人がいればいるほど儲かるサービスでは、というジャッジからの厳しいツッコミもw

AppVirality(インド・グロースハック)

モバイルアプリ開発者向けのグロースハックツール。アプリ内抽選キャンペーンなどのグロースハッキング施策を簡単に導入出来る。サービスのクオリティとしては正直まだまだな感じ。

Propertify(シンガポール・不動産)

不動産業者向けの案件管理サービス。Web, iOS, Androidアプリで提供。 リスティングを作成し、PropertyGuruなど複数の不動産ポータルにポスト出来る。 現在までに37,000件のリスティングが作成。サービス内でのアップグレード月額課金モデル。 — — — 以上、10チームでした。ここからも分かるように非常に国際色豊かで、かつそれぞれの地域の課題やユーザー行動に沿ったユニークなスタートアップも数多く見られました。 当日は「Investor」と書かれたパスをぶら下げていたのですが、それを見るとスタートアップのファウンダーたちがすぐに話しかけてきて、その場でエレベーターピッチが始まるようなケースが多々ありました。日系も含めた外資企業の東南アジア投資が増えてきているとはいえ、シード・アーリーステージでは資金調達したいチームはまだまだ沢山ある印象を受けました。

もう一点感じたのは、Startup Asia初日のキーノートスピーチに象徴されるシンガポール政府からの手厚いITスタートアップ支援です。現地滞在中に、現地で知名度の高いJFDIというインキュベーターを訪れたのですが、彼らが入居している建物は、シンガポール政府がスタートアップ支援のために賃料の大部分を支払っているところでした。(下の写真の白い建物)

(via JFDI.asia

この建物には他にも多くのスタートアップ関連オフィスが入っており、多くのイベントも開催されているとのこと。 こういった政府のバックアップもあり、英語さえ話せれば資金調達を含めチャンスを狙ってアジアを中心に世界中から人が集まりつつあるという意味で、「アジアのシリコンバレー」に近づいている流れを感じたシンガポールでした!

Originally published at asean-tech.blogspot.com on November 24, 2017.

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