Avalanche: 新しいDeFiブロックチェーンを解説
Avalanche-Ethereumブリッジのローンチは、DeFiコミュニティの注目を集めています。この投稿ではプロトコルとDeFiへの影響を検証していきます
著:LIESL EICHHOLZ
Avalancheとは?
Avalancheは、秒以下の取引時間と低手数料を実現した新しいブロックチェーンネットワークです。コーネル大学の研究者Emin Gün Sirer氏が率いるAva Labs社が作成し、2020年9月にメインネットをローンチしました。
Andreesen HorowitzやPolychain Capitalなどの著名な投資会社から1800万ドルを調達した後、2020年7月にAVAXトークンを公開し、スループットとレイテンシーの面でETH2.0を凌駕するという目標を掲げ、セールでは約4時間で4200万ドルを調達しました。
仕組み
Avalanche ネットワークは複数のブロックチェーンで構成され、新しいプルーフオブステークコンセンサスメカニズムを使用して高いスループットを実現しており、1 秒間に 4500 以上のトランザクションに達することができると推定されています。
Avalancheは、そのコンセンサスプロトコルが「ナカモトコンセンサス」(堅牢性、規模、分散化)と「クラシカルコンセンサス」(速度、迅速なファイナリティ、エネルギー効率)の利点を組み合わせて、革命的なコンセンサスエンジンを形成している点を主張しています。
“分散システムの45年の歴史の中で、新しいファミリーが登場したのはわずか3回だけです。Avalanche は、Satoshiが作り出したプロトコルがそうであったのと同レベルのブレークスルーであり、ナカモトの利点とクラシカルの利点を組み合わせた、全く新しいファミリーです。”
— Emin Gün Sirer
Avalancheモデルでは、各チェーンは個別の仮想マシンのインスタンスであり、EVMやWASMなどの複数のカスタム仮想マシンがサポートされているためチェーンはユースケースに応じた機能を持つことができます。これらの仮想マシンは、サブネットと呼ばれるカスタムブロックチェーンネットワーク上に配置され、「一連のブロックチェーンの状態に関するコンセンサスを達成するために協力して働くバリデータの動的なセット」で構成されます。
Avalancheはこのように何千ものサブネットで構成され、1つの相互運用可能なネットワークを形成する「プラットフォームのプラットフォーム」と表現することができます。
Avalancheコンセンサスの詳細な分析はこの記事の範囲外ですが、より詳細な説明はこちらの記事を参照してください。
Avalanche-Ethereumブリッジ
Ava Labsは、そのアクセラレーターであるAvalanche-Xを通じてDeFiプロジェクトへの助成金に多額の投資を行っています。その助成金の1つがChainSafeに行き、クロスチェーンのEthereumブリッジを開発しました。
先日発表されたAvalanche-Ethereumブリッジは「AvalancheとEthereum間でERC-20とERC-721のシームレスな転送を可能にする双方向のトークンブリッジ 」です。EthereumベースのアセットをAvalanche上のdappsで使用するために、ユーザーはこれらのアセットをChainBridgeコントラクトでロックし、Avalancheネットワーク上で同等のトークンをミントすることができます。
メリット
DeFi人気が高まるにつれ、ユーザーはEthereumの高額なネットワーク手数料に苦しめられているのが現状です。ETH価格の上昇に比例して基本的なトークンスワップの手数料でさえ、エントリーレベルのプレイヤーにとっては法外に高額になりつつあり、より複雑なDeFiコントラクトとのやりとりには0.1ETH(執筆時点で170ドル以上)を超える手数料がかかることもあります。さらに、これらのトランザクションの多くは失敗し、ユーザーは取引を実行することなく数百ドル相当のETHのコストがかかる可能性さえあります。
Avalanche-Ethereum Bridgeは、Ethereumの低速でコストのかかるDeFiインフラを、大幅に高速で安価なAvalancheネットワークに移行するための一歩となります。Avalancheでのトランザクション手数料では数セントを超えることはほとんどありませんし、複雑な計算の実行でも1桁ドル台のコストに抑えられかつ大幅に高速化されています。
エコシステム
このDeFiエコシステムにおける新たなプレイヤーの一つがPangolinです。迅速な決済、低トランザクション手数料、民主的な分配を実現したAvalancheとEthereum資産のためのコミュニティ主導の分散型取引所としてローンチしています。このDEXの採用は、過去24時間のこの一連のツイートを見てもわかるように急速に拡大しています。
スタッツはPangolinのダッシュボードで継続的に更新されており、流動性は執筆現在で4500万ドル以上に達しています。
Pangolinの他にも、様々なユースケースでAvalancheのエコシステムに参加している多くのdappsがあり、それらはローンチ直後から既に完全な機能を備えたネットワークとなっています。
このアプリケーションには以下のようなものがあります:
- bZx(分散型証拠金取引、レンディング)
- Prosper (分散型の非カストディアル予測市場)
- Jelly Swap(Avalanche、Bitcoin、Ethereum、Harmony、Binanceスマートチェーン間でのアトミッククロスチェーンスワップと取引)
- UNION(担保最適化ツールとバンドルされた保険適用)
- e-Money(透明性の高い担保型のステーブルコイン)
- Reef(クロスチェーンのスマートリクイディティアグリゲーター)
- YIELD(自動化ポートフォリオとウェルスマネジメント)
- Frontier(AVAXステーク、NFT、TrueUSDをサポートするアグリゲーションレイヤー)
- Aleph.im(ファイルストレージやコンピュートなどの分散型クラウドサービス)
- Ankr(アバックスのノードホスティングとバリデーションサービス)
Ava Labsチームは、新しいパートナーシップの締結や新しいdappsの導入を継続しており、Avalancheネットワークのユーザーのためのアプリケーションが豊富な環境への道を切り開いています。
インプリケーション
Avalanche ネットワークと Avalanche-Ethereum Bridgeの出現の意義は広範囲にわたります。
アクセス性 — Avalancheでのトランザクションコストが低いことは、小規模取引の方が資金的に有利であることを意味し、小規模なプレイヤーやエントリーレベルの投資家にDeFiのエコシステムを開放します。ユーザーエクスペリエンスはまだ複雑で、新規参入にとって大きな障壁となっていますが、この分野の改善によりDeFi領域でより広範な参加者の流入につなげられる可能性があります。
低スリッページ — Ethereumブロックチェーンの速度は遅くオンチェーン取引を行う際には、大きなスリッページや処理の失敗が発生します。Avalancheネットワークの高速なトランザクションレートと高いスループットは、最小限の価格スリッページとインスタント取引への扉を開き、DEXでのトレードエクスペリエンスを中央集権型取引のそれに近づけます。
ETH2.0 — ETH2.0の登場と、それがコミットしているスケーラビリティの向上については、Ethereum上でのトランザクションが高価になっていることからもわかるように大きな期待を受けています。しかし、その間Avalancheなどの既にその点を解決しているネットワークの人気が高まっているため、ETH2.0の登場は予想よりもインパクトが薄いものになるかもしれません。
Avalanche Bridgeコントラクトでは、すでに3000万ドル以上のEthereumベースの資産がロックアップされておりローンチからわずか1日後には強力な採用が示されています。
Avalancheへの移行
ユーザーエクスペリエンスのための重要な動きとして、AvalancheはMetaMaskを通じて既存のEthereumアドレスの使用をサポートしています。しかし、移行プロセスはまだ複雑なものであり経験豊富なDeFiユーザーでも混乱するかもしれません。
移行方法については、以下のツイートスレッドをチェックしてください。
注:ChainBridgeのコントラクトはConsenSysの監査 を受けています。しかし、投資家の皆様におかれましては注意が必要であり、ご自身の責任で調査及び利用を行っていただく必要があります。
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免責事項:本レポートは投資アドバイスを行うものではありません。全てのデータは情報提供のみを目的として提供されています。ここで提供された情報に基づいて投資判断を行うことを推奨するものではありません。
Avalancheについて
Avalancheは、1つの相互運用性と拡張性の高いエコシステムで分散型金融アプリケーションとエンタープライズブロックチェーンの展開を開始するためのオープンソースプラットフォームです。Avalanche上に構築する開発者は、複雑なルールセットを持つ強力で信頼性が高く安全なアプリケーションやカスタムブロックチェーンネットワークを簡単に作成したり、既存のプライベートまたはパブリックサブネット上に構築したりすることができます。
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