アバランチ 101:金融のインターネットの概要

Avalanche-Japanese
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18 min readNov 6, 2020

著:Ava Labs

この記事は新たにアバランチコミュニティへ参加する方にプロジェクトの概要を把握していただく事を目的として作成されたものですので、入門的なコンテンツとしてお役立てください。

アバランチは、世界中の人々や企業による分散型ソリューションの大規模な構築を可能にするプラットフォームです。アバランチプラットフォームがどのように機能するのかを理解していただくために、プラットフォームの概要をまとめてみました。

目次

アバランチとは?

アバランチは、分散型金融(DeFi)アプリケーションの構築やエンタープライズブロックチェーンの利用を、互運用可能で拡張性の高いエコシステムで実現するためのオープンソースプラットフォームです。

アバランチは、1秒未満でトランザクションを確認し、全てのイーサリアムの開発ツールキットをサポートし、何百万人もの独立したバリデーターがブロックプロデューサーとして参加できる初のスマートコントラクトプラットフォームです。

1秒未満のファイナリティをサポートしていることに加え、アバランチは既存のブロックチェーンネットワークに比べ桁違いのスループット(毎秒4,500を超えるトランザクション)と、他のネットワークの基準である51%をはるかに上回る安全基準を実現しています。

アバランチと他の分散型ネットワークとの主な違いは、コンセンサスプロトコルです。人々は既存のブロックチェーンの振舞いを見る事で、ブロックチェーンは遅く、スケーラブルではないものという誤った認識を抱くようになりました。アバランチプロトコルはコンセンサスに斬新なアプローチを採用しており、分散化を損なうことなく、強力な安全性保証、迅速なファイナリティ、高スループットを実現しています。

アバランチ(AVAX)トークンとは?

アバランチ (AVAX) トークンはアバランチプラットフォームのネイティブトークンであり、ステーキングによるネットワークの安全性確保、ピアツーピアの取引、手数料の支払い、プラットフォーム上に作成される複数のサブネットワーク間でユニット・オブ・アカウント(価値尺度)として使用されます。

アバランチのコンセンサスプロトコルの特徴は?

分散システムの45年の歴史の中で、コンセンサス問題に対するアプローチは3つしかありません:クラシカル、ナカモト、アバランチです。

世界はナカモトコンセンサスの利点(堅牢性、分散化)とクラシカルコンセンサスの利点(速度、規模、迅速なファイナリティ、エネルギー効率)の各利点を備えたプロトコルを求めていました。

アバランチはこれらの要求に応えるべく、分散型ネットワークの絶対的な基盤であるスケーリング、セキュリティ、スピードを併せ持つ新たなプロトコルを誕生させました。アバランチコンセンサスは、クラシカルとナカモトの、過去のどちらのプロトコルにもある欠点がなく、更に両方の利点を享受できることを示しています。

Avalancheに関する詳細な情報をお読みになりたい場合はAva Labsのホワイトペーパーをご覧ください。

トランザクションがネットワークにブロードキャストされると、アバランチ バリデータは独立して他のバリデータに投票する「反復ランダムサブサンプリング」と呼ばれるプロセスを経て、トランザクションが有効かどうかを判断します。バリデーターは、新しく何度もランダムに選択され、これを繰り返し行い、十分なデータが蓄積されると、正解の確率が非常に高くなり、間違いの可能性はないと判断できるようになります。アバランチのこのプロセスは非常に高速で、ネットワーク内のトランザクションを処理する能力は、大手決済システムに匹敵します。

既存のコンセンサスプロトコルより優れた性能に加え、アバランチはバリデーターとしてネットワークに参加するために高価な、または特殊なハードウェアを必要としません。あなたが普段使っているコンピュータでも、どこかのクローゼットでほこりをかぶっているコンピュータでも、アバランチノードを実行できます。さらに、ノードはバリデーション対象のトランザクションがある場合にのみトランザクションを処理するため、リソースの無駄がありません。

また、参加できる個人の数に上限はありません。クラシカルプロトコルのパフォーマンスは、参加者が増えると指数関数的に低下します(ノード数が100程度から)が、アバランチは、パブリックテストネットの時点で1,000を超えるブロック生成バリデーターが参加しており、メインネットにおいてもローンチから1週間でメインネット上に500以上のバリデーターを保持するようになりました。

これらの要素の組み合わせによってアバランチノードは非常に環境に優しく、経済的で、世界中の誰もが参加できるようになっています。

アバランチプラットフォームはどのように機能しますか?

アバランチは、ブロックチェーンネットワークのあらゆるレベルでイノベーションを起こしています。画期的なコンセンサスプロトコル始め、その後もネットワークや仮想マシンモデルのような、従来十分に手が付けられていなかった分野をレイヤーごとに継続して進化させてきました。

システム全体で一律のネットワーク参加条件を強制する他のネットワークとは異なり、アバランチは個人や企業が、複雑なルールセットを持つ強力で信頼性と安全性の高いアプリケーションやカスタムブロックチェーンネットワークを作成したり、ユースケースに合った既存のプライベートネットワークやパブリックネットワーク上で構築を可能にします。

例えば、デジタル資産を発行したいと考えている金融機関について考えてみましょう。どのノードがネットワークアクティビティを検証するかを制御できないシステムでは、金融機関はコンプライアンスを完全に遵守することができません。アバランチを使えば、金融機関は実行する仮想マシンと、カスタムサブネットワーク上でノード実行条件を完全に制御することができます。

アバランチは、重要な機能の役割を分割し、異なるデータ構造を採用する3つのブロックチェーンを持つマルチチェーンフレームワークを採用しており、開発者はアプリケーションに対して最大限の制御を柔軟に行うことができます。

まず、エクスチェンジチェーン(Xチェーン)があります。Xチェーンは、アバランチのネイティブトークンAVAXを含む、個人間のピアツーピアでの資産の作成と交換を容易にするものです。トランザクションが時系列やブロックの高さによって編成される従来のブロックチェーンとは対照的に、アバランチのXチェーンは有向非巡回グラフ(DAG)です。

DAGは、トランザクションのブロックが順番に検証されるのを待つのではなく、個々のトランザクションを他のトランザクションにリンクします。大量のトランザクションに対して最適化することで、DAGはスケーラビリティにおいて大きな優位性を持ちます。

次に、コントラクトチェーン(Cチェーン)があります。Cチェーンはアバランチのデフォルトのスマートコントラクトブロックチェーンであり、イーサリアムヴァーチャルマシン(EVM)の超高速実装です。CチェーンはSolidityによるスマートコントラクトやイーサリアムツールとの完全な互換性を持つため、イーサリアムの開発者はアプリケーションをアバランチエコシステムにシームレスに移植することができます。

XチェーンがDAGであるのに対し、Cチェーンはアバランチコンセンサスの修正版を使用しており、スマートコントラクトに必要な従来のブロックチェーンの順序付けを可能にしています。

最後に、プラットフォームチェーン(Pチェーン)があります。Pチェーンは、ステーキング、ネットワーク間のバリデータの調整、カスタムサブネットの作成を担当します。全てのアバランチのバリデーターはPチェーンのステーキングに参加してコアネットワークのセキュリティを確保しますが、各バリデーターは、ダイナミックまたはプライベートなバリデーターセットを形成してサブネットを運用することができます。

これらのサブネットでは、バリデーター、エコノミーモデル、ヴァーチャルマシンなどを完全に制御することができます。つまり、バリデーターセットは、他のブロックチェーンネットワークからヴァーチャルマシンを移植して、ベースとなるコンセンサスメカニズムを置き換え、ネットワークのパフォーマンスとスマートコントラクトロジックを最適化することができます。

アバランチのステーキングはどのように機能しますか?

ステーキングはオープンネットワークに参加するためのメカニズムです。ステーキングノードは、経済的なインセンティブを受けて、誠実に行動し、ステークの価値を損なう可能性のある行動を避けるよう動機づけられています。

ネットワークへの参入を希望するノードは、まず、一定量以上の保有トークンをステークすることで、自由な参入が可能になります。一度受け入れられたステークは自由な出し入れができません。PoS(プルーフ・オブ・ステーク)メカニズムを提案している他のシステムとは異なり、アバランチではスラッシングを使用することはなく、ステーク期間満了時に全てのステークが返却されます。

スラッシングはプロトコル主導のアクションであり、ネットワークが不正または機能不全と判断された行動を起こした場合に、バリデーターがステークしたトークンの一部を没収するシステムです。このような罰則は、人の判断の介入なしに課され、停電でノードがオフラインになるような偶然のアクシデントに対しても実行されることがあります。

スラッシングについては大きな議論がありましたが、実際にはステークを予測できないものにしてしまい(参加者の意欲を削ぐ可能性がある)、クライアントソフトウェアやハードウェアの無実のバグに対してまで罰することは求めるべきではないという結論に至りました。私たちは、パワフルでありながら予測可能な「穏やかな技術」を構築するという信念を持ちます。完全な条件への準拠を過信するのではなく、実世界の課題に対応して設計された技術で対応していくことを目指しています。

アバランチでは、ステークトークンはネットワークのクラックダウンの欠陥のリスクを負うことはありません。アバランチ ウォレットでAVAXをステークする方法については、こちらのチュートリアルをご覧ください。

Avalancheチームとは?

AvalancheプラットフォームはのAva Labsチームにより構築されています。コーネル大学教授Emin Gün Sirer、博士号候補のKevin Sekniqi、FacebookのLibraで使用されているHotStuffプロトコルの最初の著者Maofan 「Ted」 Yinにより共同設立されました。

現在、ニューヨーク市とニューヨーク州イサカにオフィスを構え、世界中にチームメンバーを擁し、コンピュータサイエンス、ビジネス、経済、金融、法律の専門家によって構成されています。私たちは、人々が金融アプリケーションを構築し、使用する方法を再定義することで、金融サービスのシームレスかつ新しい世界を創造する情熱的な個人であり組織です。

アバランチと ビットコインやビットコインキャシュとの違いは?

ビットコインやビットコインキャシュ、およびフィアットの代替として競合している他のPoW(プルーフ・オブ・ワーク)コインと比較すると、アバランチは全く別の種類の産物のように見えるかもしれませんが、実際にはいくつかの共通点があります。

アバランチは固定キャップで最大7億2000万枚のAVAXが流通しています。アカウントモデルではなく、支払いを容易にするためにナカモトサトシのUTXOモデルを採用しています。また、アバランチはSegwitのようなトランザクション構造を持ち、下位互換性の問題がなく、エラーを最小限に抑え、可読性を最大限に高めるためにBech32アドレスフォーマットを使用しています。

しかし、ビットコインとは異なり、アバランチのコンセンサスは、スピード、スケーラビリティ、実装の柔軟性を最大限に考慮して設計されています。

  • ビットコインのトランザクションのファイナリティは約1時間ですが、アバランチファイナリティのは1秒未満です。
  • ビットコインのブロックチェーン生成は、多くのマイニングプールとソロマイナーを中心に行われています。アバランチは、システムから価値を流出させることなく、数千人から数百万人のブロックプロデューサーを受け入れることができます。
  • ビットコインは毎秒~7件のトランザクションを処理することができます。アバランチは毎秒6,500トランザクションを達成しており、Visaレベルのスループットに対応できることを実証しています。

アバランチ はネットワークセキュリティにPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を使用しており、環境に優しく、マイニングの中央集権化につながるような高価かつ高度に専門化されたマイニング装置を必要としません。つまり、一般的なコンピュータとインターネット接続があれば、数千人から数百万人の個人がアバランチに参加することができます。

アバランチでは、ビットコインの良い部分はいくつか実装していますが、スマートコントラクトとアセット発行のためにシステムの残りのは最適化されています。

アバランチとイーサリアムの違いは?

イーサリアムと比較した場合のアバランチの類似性は表面的には明確です。アバランチは、イーサリアム・ヴァーチャル・マシン(EVM)とそのツールの全てをサポートしていますが、その下では、共通の課題に対して異なる方法のアプローチをとっています。

現在、イーサリアムはビットコインと同様にPoW(プルーフ・オブ・ワーク)のマイニングを使用しており、イーサリアム 2.0のリリース時にプルーフ・オブ・ステークへの移行を予定しています。PoW(プルーフ・オブ・ワーク)は堅牢なプロトコルの優れた基盤ですが、ネットワークの動作や確認を意図的に遅くすることで、この安定性を実現しています。ビットコインの「デジタル・ゴールド」というテーゼの中では完全に許容できるトレードオフですが、活況を呈しているDeFiの世界ではこの形は非常に厳しいものがあります。

イーサリアムがPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を使用している限り、多額の手数料とネットワークの混雑を発生させずに参加を拡大するのは困難です。イーサリアム 2.0でのPoS(プルーフ・オブ・ステーク)アプローチは助けになるでしょうが、スケーリングへのアプローチである「シャーディング」(連続してではなく同時にトランザクションを処理することを目的とする)によって、大きな複雑さと実行リスクがもたらされます。

アバランチは、分散型ネットワークの絶対的な基盤であるコンセンサスの段階からスケーリングの課題に取り組んでいます。アバランチファミリーのプロトコルは、1秒間に4,500以上のトランザクションをサポートし、コンセンサスには数百万のバリデーターノードを擁する規模までスケーリングすることができます。

アプリケーションがネットワークリソースの同じ有限のプールを争わなければならないイーサリアムとは異なり、アバランチ上のアプリケーションは、サブネットとして知られるバリデーターのダイナミックなカスタムセットによりバリデーションされる独立したブロックチェーンで実行することができます。これらのサブネットは、アバランチ上のチェーンのより広範なエコシステムに接続されていますが、その関係は競争的ではなく、純粋に付加価値(クロスネットワークの価値移転など)を高めるものとなっています。

これにより、プライベートサブネットの作成が可能になるだけでなく、開発者は実装のルール、経済性、参加者、セキュリティを柔軟かつ詳細に定義設定することができます。

つまり、ビットコインのお気に入りの部分をピックアップし、イーサリアムとEVMの驚異的なイノベーションの一部を実装しながら、コアメカニクスを変更して、より速く、より軽く、より安く運用できるようにしているのがアバランチなのです。

アバランチと他のイーサリアム キラーとの違いは?

私たちは自分たちを「イーサリアムキラー」であるとは見ていません。アバランチで働く人たちの多くは、イーサリアムの存在によって暗号通貨への第一歩を踏み出しました。実際、時価総額第2位の暗号通貨であるイーサリアムがイーサリアム2.0に移行する際のリスクを軽減する、セーフティネットのようなものとしてイーサリアムを補完する存在であると、私たちは考えています。

イーサリアムキラーと呼ばれてもおかしくないプロジェクトは、古典的なコンセンサスプロトコルを取り扱うファミリーを中心に集まっています。これらのプロジェクトは、トランザクションのスループットとスピードについて大げさに公言していることが多く、分散化やセキュリティ上のトレードオフについては、あまり触れられたくないようで黙っていることが多いのが現状です。

これらの自称イーサリアムキラーとは異なり、アバランチは分散化やセキュリティを犠牲にすることなく、秒単位のファイナリティ、高いスループット、効率性を実現しています。

アバランチリソース:

アバランチソーシャルメディア:

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ホワイトペーパー & ドキュメンテーション:

ツール:

  • Avalanche Wallet: アバランチの各資産を保管するためのシンプルで安全な、非保管型ウォレット
  • Avalanche Explorer: アバランチネットワークでトランザクション、アドレス、およびその他のプラットフォーム活動を検索できる分析ツール
  • Avascan: アバランチの為の独立したブロックチェーンエクスプローラー
  • VScout: アバランチサブネット(ダイナミックバリデータプール)を探索するための分析ツール
  • AvaxMap: アバランチ上で実行されているアクティブなノードを確認できる探索ツール

アバランチと協力関係にあるプロジェクト:

アバランチについて

アバランチは、単一の高い相互運用性と拡張性を持ったエコシステムを持ち、Defiアプリケーションとエンタープライズブロックチェーンを展開するためのオープンソースプラットフォームです。アバランチ上にプロダクトを構築する開発者は、複雑なルールセットを持つ強力で高い信頼性と安全性を持ったアプリケーションやカスタムブロックチェーンネットワークを複雑なプロセスなく作成したり、既存のプライベート/パブリックサブネット上に構築することができます。

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