Sharing Session #02
Guest Speaker:YANG, Chun-ting(東京藝術大学大学院博士課程)
Sharing Sessionとは、移民(※)の若者たちが持つ多様性を活かす社会づくりのために、今、私たちにどんなアクションができるか、何が必要とされているかをゲストを招き、共に考える場です。
※本事業では、多様な国籍・文化を内包し生活する外国人を『移民』と呼んでいます。
Date
2017/06/30
内容
第2回目は、東京藝術大学大学院博士課程の楊淳婷さんの研究を発表してもらいました。楊さんの出身地 台湾では、移民・他民族が移住してきた歴史があり、また昨今、社会の中でも多文化共生が課題として浮かびあがっています。楊さんはkuriyaが取り組む「アートを用いた学び合い型エンパワメントの構造」に着目し、多文化社会の抱える課題の解決の一助として研究を進めてこられました。
Sharing Session #02では、これまでの研究や分析について共有してもらいい、参加者で「Betweens Passport Initiative」の持つ可能性について、どのような場や機会を提供しているのかディスカッションを行いました。
アートプロジェクト、インターンプロジェクトを含む全体の特徴として、「学び合い型エンパワメント」があげらる。多様性を尊重し、学び合うという姿勢は、他の多文化の若者支援に見られる、教える>教えられるという上下関係を打破できるものだと考えられる。
人材育成に膨大な時間・尽力・資金がかかり面的な展開(事業の規模を大きくして、より多くの若者をエンパワメントすること)の難しさ。そしてそれを実施する上では団体として安定した財政基盤が必要という課題がある。
一方、そもそも膨大なリソースを使って、エンパワメントの需要層の全てのニーズを担う必要があるのか?福祉につなげたほうが良い場合の線引きについて。
このようなことが話し合われました。
私たちの役割は「育成のモデル」と「事例」を作り、前例をつくること。そして他の団体も取り入れやすいようなパッケージにすること。そうすることで、事業自体を大きくするのではなく、社会に対するインパクトを上げていくことができるのかもしれません。
登壇者プロフィール
楊 淳婷(東京藝術大学大学院博士課程)
モデレーター
徳永 智子氏(研究者)
慶應義塾大学国際センター特任講師。筑波大学国際総合学類卒業、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、米国メリーランド大学カレッジパーク校より博士号(教育学)取得。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て現職。専門は異文化間教育・教育人類学。日本・アメリカ・インドネシアで育った背景を生かし、日本とアメリカで多文化の若者の居場所づくりやエンパワメントの研究・実践を行っている。アメリカでは、NPOと協働し、アジア系移民の高校生を対象としたエンパワメント・プログラムに従事した。複数の文化や言語のはざまを生きる子ども・若者の力や強さが発揮できる教育支援・社会のあり方を模索している。
新井 セラ(kuriya理事)
kuriyaではユースメンバーやスタッフを特に企画の立案段階でサポート。本業はワーク・ライフバランスコンサルタントとして企業の働き方改革の支援をしている。仕事だけでもなく家庭だけでもなく、「心の柱になる大切な場所は複数持つ」ことをモットーに、様々な違いが多様性として組織や社会の強みになる日本を目指して日々邁進中。