ブレンド型学習とは何なのか

ブレンド型学習(またはブレンディッドラーニング)とは、オンライン学習にそのルーツを持ち、個々の学生に最適化する可能性を秘めた学習形態である。それは、伝統的な教育が決してできなかった方法だ。これまでの間、学校はコンピュータとテクノロジーを使ってきたが、生徒主導の学びという、真の「ブレンド」を実施していなかったのだ。

どういったものがブレンド型学習と呼べるのだろうか。まずは、ブレンド型学習の定義として、下の3つを見てみよう。

①オンライン学習を一部に含む

第一に、ブレンド型学習とは、生徒主導で、時間、場所、過程およびペースを決定し、少なくともプログラムの一部はオンラインを通じて学ぶものである。ここで重要なのは、「オンライン学習は、生徒主導で進められる」ことである。ブレンド型学習において、生徒はインターネットを通じて学びを進めていく。これは単にGoogle Docsといったデジタルツール活用を意味しているわけではない。オンライン学習は、先生との対面的な学習からWebを基にしたコンテンツと指導への移行といった教育形態の変化を意味している。

ブレンド型学習において、生徒主導の要素は欠かせない。したがって、今までのオンライン学習で使われていたテクノロジーは何らかの形を変える必要があるだろう。すなわち、そのコンテンツと指導を生徒主導にし、生徒視点に立ったブレンド型学習へと舵を切るのだ。単に先生の都合で、コンテンツや指導法を考えてはいけない。テクノロジーと聞いて、生徒がオンライン学習で立ち止まったり、進んだり、飛ばしたりするなどの、単にペースコントロールをするものと考えるかもしれない。だが、ここでのオンライン学習はそれにとどまらない。生徒が、学習時間、過程、場所までも決めることができるのだ。

②対面式学習を一部に含む

2つ目の定義として、生徒は少なからずプログラムの一部を、自宅以外の場所で、対面式で学ぶということである。すなわち、生徒たちは、これまで通り学校に行き、先生と授業を行うのである。たいていは近所の学校に通うだろうが、ショッピングモールの一部を改造した学習施設のようなケースもありうるだろう。このように、ブレンド型学習において、生徒たちは少なからず教育施設へと集い、学ぶのである。

③総合的な学習経験

3つ目の定義は、コースや科目において、各生徒の学習過程に沿った、総合的な学習経験が提供される様式で学習することだ。基本的に、ブレンド型学習では、各生徒の進捗を管理するためにオンライン学習管理システムを活用している。そのデータを基に、各生徒に適したレベルやコンテンツを選定するのだ。大切なのは、ブレンド型学習はコース内であらゆる学習様式を実際にブレンドしているということだ。

定義を適用してみよう

どういったものがブレンド型学習の例なのか、実際にこの定義を使ってみよう。

太郎は国語の先生であり、彼は生徒が家でも授業計画や課題、クイズなどにアクセスできるように、オンラインにそれらを投稿してきた。最近、彼の学校は、各生徒がパーソナルデバイスにアクセスできるように、1対1の個別プログラムを実施した。授業にテクノロジーをてこ入れするために、彼は、音読の際や生徒と先生が一緒に文章を精読する際、生徒たちにデバイスを使わせた。その文章についてのディスカッションの後、彼は生徒にGoogle Docsを開かせ、文章の議論への賛否を書いてもらう。その間、彼は教室内を歩き回り、生徒たちがしっかり取り組んでいるか確かめるのである。

太郎はブレンド型学習を行っているのだろうか。答えはノーだ。なぜなのか。

・授業の教材をすべてオンラインへ投稿したことが意味するのは、太郎はインターネットを単に情報提供のためだけに使っているということであり、コンテンツや指導の伝達を管理するために使っていないのだ。

・太郎の学校で1対1の個別プログラムがあるという事実は、ブレンド型学習が行われているか否かと無関係である。1対1は生徒主導への移行を暗に意味しているわけではないで、ブレンド型学習と同義ではない。全ての生徒にデバイスを持たせることは、ブレンド型学習のプログラムを作成する上で不可欠な要素になりうるが、もし正しく実施されていないとしたら、デバイスそれ自体は単に従来の教育方法をサポートするだけのものになってしまうだろう。(太郎のケース)

・太郎の生徒は、読み書きをするためにすべてパーソナルデバイスを使っている。しかし、彼らは同時に同じことをしており、学びにおいて生徒主導での、時間、場所、過程、そしてペースの決定がないのだ。

・生徒がライティングをするにあたって、太郎のGoogle Docs使用方法は、生徒たちが鉛筆と紙を使ってライティングを行ったとしても何ら変わりがない。

太郎は、ブレンド型学習ではなく、「テクノロジーに富んだ」教室を作り上げている。たしかに、テクノロジーに富んだ教育は、従来の先生主導の教育方法にテクノロジーの増進をもたらす。例えば、電子黒板、デジタル教科書、Google Docs、VRなどだろう。これらのツールは学習経験を強化できるかもしれないが、単に導入しただけでは生徒主導の学習形態へと根本的には移行しないのである。

ブレンド型学習は、生徒主導の教育モデルであり、個人に最適化した学習機会を提供できるのだ。これらをしっかりと踏まえることによって、教育者はブレンド型学習の実践を進めることができるだろう。

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