DAICO

Ethereum開発者の提唱する新たなICOの概念

概要

2017年はICO元年として、多くのICOが行われ、多額の資金が流入しました。これはブロックチェーン関連プロジェクトの開発チームにとってはとても幸運なことですが、投資家目線では以下のような問題が生じています。

・資金調達後にサービスを開発しない詐欺的なICO

・必要量よりも過剰に多額な資金を調達してしまい、資金を有効に活用できていないICO

そこで近日、Ethereumの共同開発者であるVitalik Butelinが、既存のICOの問題点を克服するために改善案である「DAICO」を提唱しました

DAICOとはDAOとICOを組み合わせたVitalikの造語です。

その名の通り、DAOの「集合知の活用」、「複数の組織の中で、一つの組織だけを全面的に信頼することがない」「分散される」という性質と、ICOの「一つのプロジェクトを支援する」「51%攻撃のリスクがない」という性質を統合した概念となっています。

出典:https://ethresear.ch/t/explanation-of-daicos/465

DAICOのメカニズム

DAICOは2段階で進行します。
フェーズ1:投資家からETHを調達し、引き換えにトークンを渡すフェーズです。この調達においては、CAP(トークン発行量)を設定することも、しないこともできます。また、入札やKYCの取れた大口投資家にのみトークンを付与するなど、あらゆる方法での資金調達が可能です。資金調達期間が終了したら、受付を締め切り、初期トークン発行量が決定されます。

フェーズ2:資金を調達したプロジェクト運営者が、資金を引き出すフェーズです。ここで、新たにTAPという概念が登場します。TAPとは「蛇口」という意味です。

TAPは開発チームが引き出すことのできる資金量を決定します。単位はwei/秒です。

tap: num(wei / sec) last
Withdrawn: timestamp # Make sure to initialize this to the contribution period end time
@public 
def withdraw():
send(self.owner, (block.timestamp - self.lastWithdrawn) * self.tap)
self.lastWithdrawn = block.timestamp
@private
def modify_tap(new_tap: num(wei / sec)):
self.withdraw()
self.tap = new_tap

TAPの値はDAICOに参加しているユーザーによる投票で決定されます。

そして、開発チームは、DAICOで調達したETHを、1ヶ月ごとにTAPから引き出すことができるのです。

参加ユーザーは、支援先プロジェクトの開発進捗状況などを見て、信任投票を行います。
信任された場合、TAPの上限(月次のETH供給量)が上昇し、開発チームはより多くの資金を引き出すことができます。
信任されなかった場合、その時点でTAP(蛇口)は閉じられ、出資者はプロジェクトに投資した残りのETHを回収することができます。

TAPは投票で「引き上げる」か「閉じる」の2つしか選べません。開発チームは自主的にTAPを引き下げることができますが、ユーザーは投票でTAPを引き下げることができません。

これは、ユーザーが常に開発チームに必要最低限かつ合理的な額の予算を与え、浪費を防ぐとともに、開発チームが期待通りにプロジェクトを進行している場合は開発促進のために予算を増やすことができるように仕向けることを目的としています。

ここで、不正なユーザーが存在した場合について考える。
・51%攻撃(信任投票の過半数が悪意あるユーザーだった場合)が発生し、不正にTAPの量がが引き上げられた場合。
→良識のある開発者は、TAPを自主的に元の値に引き下げることで、攻撃を回避することができます。

・開発チームがプロジェクト資金を濫用し始めた場合
→DAICOの支援者は、不信任投票でTAPをクローズすることで、資金の濫用を防ぎ、投資資金を回収することができます。また、先述のようにTAPを早い段階であげすぎないように、システマチックに調整することもできます(DAICOはまだ構想段階なので、最適なTAP上昇率についてはより考察が必要でしょう)。

・51%攻撃によって、TAPが不正に閉じられてしまった場合
→良識のある開発チームであれば、再びDAICOを立ち上げることができます。

結論

今回Vitalikが提唱したDAICOは、未だ構想段階の概念ですが、既存のICOに存在する

・詐欺的なICOや資金調達後に全く進行が見られないICO

・開発チームの必要な量の資金を超えて遥かに多く資金が調達されてしまったICO

などを防ぐ画期的な手法として、検討の余地がありそうです。

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