BCLの創業ストーリー

Okamoto Ken
BlockchainLock
Published in
6 min readJun 1, 2020

緊急事態宣言が開け、今日6月1日の月曜から急に慌ただしく街が動き出しました。3人が、4人が一緒に歩いている姿を良く見かけました。コロナ拡大に一抹の不安があるものの、やはり人間は繋がって生きていかないといけないと、強く心に思った一日でした。

さてそんな2020年6月1日ですが、実はKEYVOXスマートロックシリーズを初めて納品して丁度1年が経ちました。マーケットに出て一歳です。可愛い我が子の成長を祝うとともに、まだ一年しか経っていないのかと、振り返ると強力に凝縮された365日だったと思う次第です。

その一年を振り返って思うのは、先ず第一にまだ実績もない我々スタートアップの製品を、気に入ったと買って頂き、まだまだよちよち歩きの我々にチャンスを頂いたアーリーアダプターの偉大な経営者の皆様方への感謝です。多くのご迷惑をおかけし、時には厳しい叱責を頂きながらも、それでも使い続けて頂き、そしてまた追加購入して頂けるお客様が多いという事実に本当に胸を打たれます。中には諸先輩企業のサービスから乗り換えて頂いた事例も多数あり、それらの事例の蓄積が自分たちが提供しているサービスに日々裏書きを頂いていると感じております。新しいテクノロジーとはそのようなアーリーアダプターの皆様に支えられて成長するものであることを改めて実感させて頂きました。

このご恩を忘れないようにKEYVOXブランドを更に次のステップへと押し上げていくのが、我々の責務だと認識しております。

さて、このように多くの皆様に支えられるブロックチェーンロック社のKEYVOXサービスですが、実は私のひょんな思いつきから起業に至ったという事実は意外と知られていません。今日はそんな昔話をひとつ共有させて頂きます。

時は2016年、5年間赴任した楽天ブラジルから帰任して1年とちょっと経った頃です。当然ブラジル市場に外国人として徒手空拳で挑んだ、アドレナリンたっぷりの5年間に比べて、何かと刺激が少ない時期でした。そんな時期に民泊やらレンタルスペースやらが流行りだしました。昔から建築とか空間とかそういうものが好きでしたので、それらを無人でやれば、儲かるのでは、というより純粋に楽しいのではと思いました。調べて調べて調べても、無人でやるには相当のシステムを構築しなければならず、システム開発歴が長い自分が見積もっても1000万は当然、2000万円くらいかかりそうでした。これは副業でやるような投資ではないと思い留まったものです。しかし同時に、もしカギが自分のやりたいことを全部やってくれたらどんなに便利だろうと思い描きました。そんなことを考えている間に本業の楽天では楽天ブロックチェーンラボの責任者となり、2017年から2018年にかけて世界の分散化と共に何か新しいものが生まれそうな予感がしていました。

結局、ビットコインブームに始まった仮想通貨狂想曲は、バカが大バカに売るという理論を証明しただけのように世間一般ではとらえられています。しかし、私個人が思うビットコインの偉大な発明とは、決してその相場ではなく、皆が自分のことしか考えていない状態でコンセンサス(同意)が得られるという自律型システムそのものだと考えています。これはすごいことで、AさんからBさんに本物を送ったという証明が、自明にできるシステムはビットコイン以前には存在しませんでした。

このカギ自身がビジネスをできて、ビットコインを送るように空間を共有できたら、所有権そのものの定義が変わるのではと思いました。場所の定義が変われば生き方が変わる。好きな時に好きな所に住んでそれでも、しっかりと働きながら豊かな生活を送れる。このインターネットという素晴らしいインフラの進化した時代に何故そんな基本的な人間の欲望が叶えられないのかと不思議に思っていました。だからこそ、それを実現する力があるテクノロジーに没頭していったのです。この人々の生き方を変えたい、という熱意の続きがブロックチェーンロック社の創業であり挑戦です。

時代の進化とは面白いもので、時には予期もしない黒船が時代をあっという間に変えてしまいます。今回のコロナ禍は正にその黒船でしょう。世界中の多くの人が初めてのテレワークをすることになり、思ったよりも仕事が捗ると感じたはずです。テレワークは残酷で、アウトプットを出せるハイパフォーマーと、出せないローパフォーマーの成果を明確にあぶり出します。そんな過酷な一面を持つテレワークですが、今までの人を都心に集めてスマートシティと称して、労働力を酷使する仕組みから、一気に分散化への道筋が見えたという、世界の分散化を目指す立場の人間からみると非常にポジティブな一面もあったと思います。

これからの数年は大きく時代が変わっていくでしょう。それは、自分がブロックチェーンロック社を創業する前に思った、ロックだけでビジネスができる世界かもしれないし、ブロックチェーンが個人間の取引を裏書きするインフラになっている時代かもしれません。一つ明確に言えるのは、自分たちは自分たちが実現したい世界のテクノロジーを着実に開発しており、毎日一歩図ずつその世界に近づいているということです。もちろん人様から出資をうけているテクノロジースタートアップです。綺麗事よりもビジネスの結果を求められます。自分が思うにビジネスの結果とは、この1年間、実績の無い当社のシステムや商品を、「岡本さん、あんたの言っている事は面白いから買ってみるよ。」と言って頂いたお客様達のような、私達のストーリーを面白いと思って頂くファンを増やすことではないかと感じています。もし同じ機能の製品なら、ちょっと面白いと思った人間を応援してみたい。そんなピュアな動機の積み重ねが、どこかで化学反応を起こして一気に世の中を変えていくのではないでしょうか。自分たちの努力の方向性は、一にも二にも良いサービスを作ること、そおしてそのストーリーをファンの皆様に余すことなくお伝えしていくことだと認識しています。

次の一年もますます進化するKEYVOXの非対面サービスを宜しくお願い致します。

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