日本福祉大学で講演してまいりました!

Arisa Nakano
TENGA Healthcare Blog
5 min readJul 11, 2017

スタミナをつけるためにガッツリ食にするか、薄着になるのでヘルシー食にするか、そんな葛藤を抱えながらシュークリームに手を伸ばす中野です。皆さま、夏バテし始めておりませんでしょうか?

先日、“人間と性”教育研究協議会でお世話になっている伊藤修毅先生がもつ講義『思春期のセクシュアリティ』の外部講師として、日本福祉大学美浜キャンパスに行ってまいりました。
駅を降りたら、見事なまでの大自然でした。安心して深呼吸できます。

今回、『ヘルスプロモーションとしてのマスターベーション』というテーマで、2コマの講義枠をいただきました。
1コマ目…子ども発達学部子ども発達学科(学校教育専修/保育専修)。2コマ目...子ども発達学部心理臨床学科(心理臨床専修/障害児心理専修)
各90分、120名ほどの学生が参加しておりました。

学生たちに「TENGA知ってる人!」と質問すると、大体勢い良く挙手してくれるのは、大体体育会系の男子学生たち。しかし、今回は女子学生もちらほらと挙手をしてくれました。嬉しいスタートです。

2コマともマスターベーションについて、ガッツリお話しさせていただいた訳ですが、いきなりマスターベーションやセックスの話をしたところで付け焼刃のようなメッセージにしかなりません。そのため、今回は子ども発達学部の学生ということもあり、思春期に起こる変化からお話をさせていただきました。

思春期は、自分の身体と心と向き合う最適の時期です。この期間は、第二次性徴という身体の変化から始まり、それに伴う性的欲求、恋愛を含む対人関係の変化など、コントロールしきれない身体と心の変化により、不安定な状況がしばらく続きます。そんな不安定な時期に、自分の今までいた世界が揺るがされるという、本人にとっては大変な時期なのです。

今まで自分がいた世界は、他者の“好き”でつくられていたことに気付かされます。他者と異なる自分の“好き”に向き合い始めると、物に対する“好き”(趣味)人に対する“好き”(好意)の思いが自分の世界をつくり始めていきます。(例:「この曲が好き!お母さんがよく聴いてた曲だから。本当に自分が好きなのは…何だろう」)

“好き”という感情は、自立に向かうための一歩と言っても過言ではないほど、大切なものなのです。自分という世界を築く一歩を踏み出すことは、他者が容認する安心安定の世界から放り出されてしまうような不安を伴います。自分と他者との関係の中で自分の“好き”に向き合いながら、葛藤しつつ、少しずつ自分の世界をつくりあげていきます。

要は、自分の身体と心をコントロールできる大人になる為に、自分の中にいる暴れ馬の手綱を掴む練習を試行錯誤しながら繰り返ししている落ち着かない時期なのです(余計にわからなくなったら申し訳ない)。

第二次性徴という身体に起こり得る変化を学んでも、心の変化や性的欲求への気付き、対人関係の変化などそういった肝心なところは置いてけぼりなのが今の性教育(もちろん、ちゃんと取り上げている先生もいらっしゃいますが)。見えるモノだけが全てじゃないのだけれど、見えないと扱いにくいというのもわかりますが、そこを扱ってみせるのが大人であり、専門家でしょう。

思春期の子も、関わる大人も、こういった思春期に起こる成長のための変化を肯定的に捉えられることが大切です。自分でコントロールできるもの、できないものに分け、コントロールできない身体の変化は発達過程のものと理解し、コントロールできるものは大人たちが見守り、寄り添いながら必要なサポートをしていく

そこでやっとこさ、『マスターベーション』の話。
ええ、長く長く引きずりましたとも。要領悪い中野の限界です。
『マスターベーション』を肯定的に捉え、性的欲求をコントロールできるようになるということは、本人の“自分をコントロールできる”という安心感や自信をつける行為にもなるのです。試行錯誤しながら、性的欲求という暴れ馬の手綱を掴むコツを見つけていくのです。行為を否定して、練習をさせないことはよろしくないと思いませんか?

『マスターベーション』と向き合う大切さを思春期の課題に近い感じで伝えた後、自分の性と向き合うことが今後の心地の良いセックスの為にも大切であることを伝え、膣内射精障害のリスク回避のマスターベーションルールを含む正しい方法を伝え…ちょっと詰め込みすぎたかもと反省中。

将来、子どもと関わる職に就くであろう学生を前に、性をネガティブな視点で見てほしくないという想い一心でした。性をネガティブに見て、得られるもの、残るものって何があるんでしょうか?性をネガティブに捉えてきた大人たちが築いた性教育や社会を全否定するわけではないけれど、性の本質に触れそうな時にその視点はろくなもんじゃないと感じてしまいます。その視点があるから気付けるというのもあるのですが…。

後日、学生さんたちの感想を送付して頂き、一枚一枚拝読させていただきました。マスターベーションに対して否定的に捉えていた学生、経験したことがなかった学生、色んな学生さんがいらっしゃいました。数名からメールで相談もいただきました。それぞれの学生さんが、自分なりに今回の話を捉え、今までの自分の性に対する意識に気付き、これから向き合っていく必要性を感じてくださったようです。中野はそんな学生さんたちを応援しております。

世の中に挑戦する仕事の醍醐味を日々感じております。
明日からも頑張ります!

ではまた。

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