先生、質問です!

情報処理学会誌に「先生、質問です」というコーナーがあります。以下は私の担当回、小学生の方からの質問にお答えした文章です:

質問:先生教えてください! 人工知能がくらしの中に入ってきたら 授業も宿題もやってくれるかも もしそうなったら 僕らはどんなことを勉強したらいいでしょうか.

暦本:人工知能が宿題をしてくれたら便利ですね.そうやって時間が空いたら自分 の好きなことをしましょう.料理をしましょう.スポーツをしましょう.工作 をしましょう.旅行に行きましょう.本を読みましょう.詩を書きましょう. 絵を描きましょう.楽器を習うのもいいかもしれません.人工知能も楽器を弾けるかも? でも,それは自分で楽器が弾けるようになるのとはやっぱり違いますよね.自分で,これができたらいいなと思うものはなんでしょう? それを,人工知能を使ったらもっと楽しくすることはできないだろうか,と考えることもいいですね.たとえば人工知能に伴奏をしてもらって演奏をすることが できるかもしれません.そういうことを考えるのも「勉強」なんです.そして,もし興味がわいたらプログラミングをしてみましょう.人工知能がどうして宿 題をしてくれるのか,調べてみましょう.そうしたら,自分が好きなことをす るための人工知能を作れるようになるかもしれないですよ.

2023.4.11 追記

以上は2019年の記事ですが、4年が経過して、chatGPTが宿題をしてくれることが現実味を帯びてくるようになりました。そこで当のchatGPT(GPT4)に全く同じ質問をしたときの返答を追記しておきます:

chatGPT: 先生ですか。わかりました、アドバイスをしますね。

人工知能(AI)が日常生活にどんどん浸透していく中で、確かにAIが授業や宿題のサポートをすることが想像できます。しかし、AIが全ての勉強をしてくれるわけではないでしょう。それに、学ぶこと自体が人間にとって重要なスキルであり、自己成長や将来のキャリアに影響を与えるからです。

AIがくらしの中に入ってきたとしても、僕らは以下のような分野を勉強すべきでしょう。

  1. コミュニケーション能力: AIと人間が協働する社会で、効果的なコミュニケーションがますます重要になります。人間同士のコミュニケーションだけでなく、AIとのコミュニケーションも重要です。
  2. 論理的思考力・問題解決能力: AIは多くの問題を解決できますが、最終的な意思決定は人間が行うことが多いでしょう。そのため、論理的に考えて問題解決ができる能力は引き続き求められます。
  3. 創造性・イノベーション: AIは既存の知識を基に解決策を提案できますが、新しいアイデアや独自の視点は人間が持つべきです。創造性を養い、イノベーションを起こすことが重要です。
  4. 情報リテラシー: AIがもたらす情報の波に対処するため、情報の収集・分析・評価ができる能力が求められます。
  5. 倫理観・道徳性: AIが社会に浸透することで、倫理的な問題や人権に関する問題が生じることがあります。倫理観や道徳性を持ち、適切な判断ができることが重要です。
  6. 自己学習能力: AI技術は日々進化しており、新しい知識やスキルを習得し続けることが大切です。

AIがくらしの中に入ってきても、これらのスキルを身に付けることで、自分の成長やキャリアに役立てることができるでしょう。

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Jun Rekimoto : 暦本純一
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人間とテクノロジーの未来を探求しています。Human Augmentation, Human-AI Integration, Prof.@ University of Tokyo, Sony CSL Fellow & SoyCSLKyoto Director, Ph.D. http://t.co/ZG8wEKTvkK