Takeshi Inoue
blogescala
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2 min readNov 26, 2018

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昨日仙台のJILセミナー2日目で海老原さんが出演した『風は生きよという』を撮った宍戸大裕監督が完成させたばかりの新作『道草』のお披露目があった。
見た誰もが訊くととてもよかったと言っていて、ぼくもとてもいい映画だと思った。 ぼくらの仕事は、拘束されている人がいればそれを解き放ち、分離されている人たちを統合して自由を確保することを目的としている。この映画はこの社会のどこにその線が引いてあって暗黙にここからは外れてはいけないということが決められているのか明らかにしている。 ここに登場する知的障害者の人たちは、こうした社会とは別のコミュニケーション手段を持つがゆえにこの線の内側に抑え込もうとする圧力とつねに軋轢を生じさせ、彼らが受けている抑圧を増大させ、さらにそれが新たな軋轢を生んでいる。彼らの自由を確保しようとする支援者たちもあるときは彼らを解放して自由にする存在であったり、またあるときは線の内側に誘導して社会の側で制御する存在であったりもしている。
ときおりインサートされている石神井公園の動物たち、鳥や草花、木々の映像がとても示唆的だと思う。人類学者のエドゥアルド・コーンは、森の中では人も動物も植物や木々もすべての存在するものたちが互いに記号を介してコミュニケーションをとっていることを明らかにしている。私たちが、逆に「人」のとても狭い世界の中で汲々と生きており、そこを飛び出して動物や木々の世界に生き繋がろうとする人たちを許そうとせず抑圧するのは誰なのか。
(5月29日仙台のJILの全国セミナーでの上映の直後書いた文章。フェイスブックへの投稿を下書きしたメモが出てきたので再喝しておく)

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Takeshi Inoue
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障害者自立生活センター勤務。障害者の世界と健常者の世界、スペイン語の世界と日本語の世界の仲介者。現在コスタリカの自立生活センターで働いています。 Un japonés que trabaja en el centro de vida independiente MORPHO en Costa Rica.