シード起業家が次回ラウンドに向け越えるべきハードル| Onlab Meetup Report

Mina Akasaka
BLUE DOTS
Published in
9 min readNov 30, 2018

Open Network Lab (以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。

活動資金やオフィススペースなどの設備を提供すると共に、国内外のスペシャリストによるメンタリングを通じて、これまで90社以上のスタートアップを支援・育成してきました。

11月21日のMeetupでは、Onlab卒業生のmaricuru 高木紀和さん(12期生)とmatsuri technologies 吉田圭汰さん(14期生)、500StartupsJapan 吉澤 美弥子さん、DG Incubation津田 祐実に起業家・投資家各目線でお話いただきました。その様子をレポートします!

左から、津田、吉澤さん、吉田さん、高木さん

起業家が語る、シリーズAまでの道のり

第1部では、maricuru高木さんとmatsuri technologies吉田さんにお話を伺いました。

左から吉田さん、高木さん

−まず最初に、今のプロダクトに行き着いたきっかけを教えてください。
高木(以下、敬称略):ウエディングの領域を始めたのは、自分の経験がきっかけになって います。ウエディングの準備をしようとすると、式場の提携先しか選択肢がなく、ユーザー側がとても弱い立場で、ふと「この産業構造って変だよな〜」と思いまして。あとは、バイトの女性が結婚するっていうのでその様子を見ていると、Instagramで先輩花嫁にアドバイスを聞いているんですよね。ユーザーが実際に行動しているのを見て事業を始めました。Onlabでは、ユーザーヒアリングを大切にするんですが、当時は「そんな面倒臭いことやってられるか!」って思っていました(笑)。でも結局はそこが大事で、ユーザーが欲しがるものを突き詰めたので、今も続いているということですね。

吉田:元々やりたい事業や夢を持ってやっていましたが、結局ユーザーのペインと直結していなくて、40回くらいはピボットしました。最近は、仕掛ける人間のポテンシャルによって事業はいくらでも拡張できると実感してきました。僕もOnlab生の時は、ユーザーヒアリングとか「何だこれ!?」って思っていましたが、やはり一番大事ですね。

−OnlabのDemoDay後、資金調達まではどのように進んでいったのでしょうか?
高木:プログラム終了後もOnlabメンターとは、定期的に会っていて、調達をするタイミングになった時にVCを色々紹介してもらいました。

吉田:僕は13期でOnlabに入ったのですが、留年して14期で卒業したので(笑)、時間がかかった分すぐに調達した方がいいなと思い動き出しました。事業自体は黒字だったので少額の調達をして、気づいたらプレシリーズAが終わっていた感じです。でもシリーズAはキツく、競合は先に5億円とか調達していて…。そんな中イベントに登壇した後、あるVCの方がTwitterで投資したいとつぶやいていたのを見つけ突撃しました。その後も半年くらいかけて約50社のVCの方とお会いしました。

−投資家との関わり方で気をつけていたところは?
高木:会うべきタイミングですね。何もない状況でむやみやたらに早く会うことはやめた方がいいと思います。時期を間違えると、再度話を聞いてもらえないこともあるので。

吉田:最初の調達の時は、フィーリングで決めた部分が大きいですが、3回目の調達は戦略をガチガチに練りました。僕たちの事業はかなり特化したものなので、事業内容を理解してくれてハンズオンしてくれることと、バックファイナンス等金融的なスキームを考えられる方をベースに探しました。

−投資家とのミーティングの中で、求められた実績やハードルなどがあれば教えてください。
高木:僕の事業は、コミュニティサービスなので投稿数が主な指標になるのですが、結婚式自体が特殊なイベントですし、特に男性の投資家に『プレ花嫁』を理解してもらうことに苦労しました(笑)。ユーザーの気持ちを理解してもらうのは無理だと感じたので、ハッシュタグ数など客観的事実を積み重ね説明していきました。

吉田:民泊新法が施行される直前の非常にリスクの高い時期に投資を受けたんですが、ほとんどの投資家がリードを取りたくないので、リードの調整が大変でしたね。ただ僕たちも、新法施工後はバリュエーションが倍になりますよと強気で交渉を進めていきました(笑)。これは半分踏み絵だと思っていて、各VCと同じ船に乗っているかどうかの確認をしたのが印象的で、越えるべきハードルでもありました。

−最後に、今後の目標を教えてください。
高木: 直近では、コミュニティを強くしていこうと思っています。オンラインだけではなく、リアルな場所で僕らのサービスの価値を上げたいんですよ。花嫁が集まって情報交換できるリアルな場と、オンラインのプロダクトを組み合わせてコミュニティとしての強固さを確保していきたいです。その先も考えていますが、それは次の調達で行おうと思っています。

吉田:直近で調達した分に関しては、短期的には人材と組織基盤を固めることに使っていこうと思っています。

投資家が語る、投資を決めるポイント

第2部では、500StartupsJapan 吉澤さん、DG Incubation津田が投資家目線でお話をしました。

左から津田、吉澤さん

−投資のステージやジャンルについて教えてください。
吉澤(以下、敬称略):私たち500Startups JapanはシリーズAまでラウンドに投資しています。投資金額は5,000万円までなので、シードにしては大きめ、シリーズAにしては小さめという微妙なラインです(笑)。事業案もチームもない経営者のみというところには投資は行っていません。あと、領域は問いません。

津田:自社の資金で投資を行っていますので、割とフレキシブルに出資をさせていただいています。アイデア段階の会社からレイターまで様々です。領域も制約があるわけではなく、何かしらインターネットを活用していればという感じですね。Onlabについても、特に領域に縛りがある訳ではありません。

−投資のステップや期間を教えてください。
吉澤:うまく決まれば、最短で1〜2週間でお返事、着金まで1ヶ月以内というケースもありますが、これは企業側も調達準備をされているパターン。こちらから連絡をしてみたけれど調達を考えていなかったとという場合だと、数ヶ月先ということもあります。投資委員会などもなく最終的にはパートナー2名で決めるので、スピードは速い方だと思いますね。

津田:Onlabに関して言いますと、出資は年二回のプログラムに準じてということになります。プログラム参加時点で出資し、当初はプロダクトが出来上がっていないことも多いので、そのチームの尖った良い部分を軸として我々メンターとディスカッションして事業内容をブラッシュアップしていく流れとなります。
DG Incubationでは、アーリーステージ以降のご出資をさせていただいてます。ステップとしては、現場メンバーでのディスカッションを踏まえて、その後社長を含む投資委員会に通すようなイメージです。比較的シンプルな方かなと思います。

−投資家の方とは、どういう接触方法だとスムーズなのでしょうか?
吉澤:ソーシング経路としては、インバウンドで起業家から来ていただく場合と、アウトバントで私たちから連絡をする2軸があります。インバウンドでしたら、チームと誰かしら繋がっていればダイレクトに連絡をいただければOKです。紹介者は挟まず、普通に連絡してもらって構いません。アウトバンドの場合は、このマーケット面白いなと思ったら、こちらからガンガン連絡します。

津田:接触経路は様々ですが、できるだけVCの目に触れるところにいるようにするということは重要だと思います。特に若手のVCの方だと、アクセラレーターのDemoDayで接触できるケースが多いですね。

−投資基準や重視しているポイントはどんなところですか?
吉澤:基本的な投資基準は、 「WHY THIS, WHY NOW, WHY YOU」です。プロダクトや資料がなくても構わないのですが、事業戦略やリスク要因などはよく考えておいてほしいです。ディスカッションでは、その業界について私たちより詳しいかどうかを重視します。私が重視しているところでいうと、マーケットのポテンシャルサイズが相当大きいところですね。

津田:マーケット等に加え個人的には2点あり、1点目は起業という道を選んだ理由を伺います。理由は何でもいいのですが、普通の人なら選ばない大変な選択肢だと思うのでやり抜ける強さがあるのかを知りたいと思います。2点目は、ビジネスとして成立するかどうかをロジカルにお聞きします。

−最後に、どういう投資家を選ぶべきか教えていただけますか?(笑)
吉澤:結局は、合うかどうかなんですよね。各VCのスタイルを見て決めてほしいと思います。あとは、VCと話すことで自社の相場観も見えてくるので色々な方と会う方がいいと思います。私が起業家の立場だったら、会う前に起業家の知り合いなどから、VCの評判はリサーチしておくと思います。

津田:部屋選びと同じで、家賃、部屋の広さ、立地など様々な条件の中から「あなたにとって一番譲れないところは?」と考えておくことが重要だと思います。資金面や各種支援が強い投資家など色々ありますが、譲れない条件を自分の中で洗い出し、優先度をつけてVCと話すと良いと思います。

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Mina Akasaka
BLUE DOTS

Open Network Lab HOKKAIDO program director / D2 Garage, inc.