なぜIT企業がオフライン店舗を展開するのか?〜小売KPIから見るオフラインの重要性について〜

DG Incubation
BLUE DOTS
Published in
4 min readSep 21, 2018

昨今、D2Cスタートアップが大きく注目されていますが、同時にオフライン店舗を持つ企業が多くいます。インターネット企業にオフライン店舗は必要なのか?今回はオフライン店舗の重要性についてKPIに基づき確認してみたいと思います。

侮れないオフライン店舗の凄さ

Eコマースの王者Amazonでさえも、オフライン店舗に注力していますが、Net salesの面からその理由がわかります。Amazonの2018年第2四半期の財務諸表では、「Physical stores(オフライン店舗)」の売上が巨大な額に。すでにオフライン店舗だけで、$8.5Bの売上にも及びます。2006年から16年まで大手米国デパート5社Sears、JCPenney、Nordstrom、Kohl’s、Macy’sはAmazonの影響もあり、$75Bの市場価値を失いました。

出典:Amazon 10-Q for Quarter Ended June 30, 2018

Amazonでは、オンラインとオフラインの境目をなくすことで、獲得できていなかったユーザーを獲得しています。Whole foodsが有名な例です。他にも小売企業を買い取り、自社でもAmazon Go、Amazon Booksなどを立ち上げています。しかし、オフラインを攻めているのは、Amazonだけではありません。2012年以降からオフライン店舗をディスラプトする企業が増えてきました。

2018年のECファッション市場は約$500B。しかし、全体の小売店の市場から見ると、9割の売上が未だにオフライン。まだまだオフライン店舗の伸びしろは多いことがわかります。

出典:Shopify

ここでのKPIは、Revenue per square foot(坪販売効率)という売場の1坪当たりの売上高、つまり売場の生産性を示す、小売店舗の重要なKPI指標のひとつです。以下のデータを見てみると、テクノロジー企業のAppleが他の小売店より(ティファニーなど高級ブランドよりも)売上高が大きいのがわかります。

オフライン小売店のKPI(Revenue per square foot) 一覧

参考:TIME、(※Revenue per square footとは1平方メートルの約10分の1)

日本はというと、ユニクロ(ファーストリテイリング)が首位、次に、ZARA(インディテックス)、良品計画、セブンイレブンジャパンと続いています。

出典:日経新聞

IT企業が小売をアップデートできた理由は、今までにない新しい購入体験。よりユーザー目線に立ち、パーソナライズされたスモールスケール店舗を作り、オンラインとオフラインの体験を最大化させるUXを実現したこと。どんなにテクノロジーが進歩したところで、ユーザーは実際に触ったり、着たりしてみたいニーズはまだまだ大きいようです。

ちなみに日本では現状このように既存の小売業者が上位を占めていますが、今後ZOZOTOWNや新たなIT企業がリアル店舗を持ち、上位に食い込む可能性が大いにあるのではないでしょうか。
次回は、D2Cブランドの例を紹介していきます。

10月17日(水)16:00–18:00に事業相談会を開催します。ご興味ある方は、こちらのフォームまで!D2Cスタートアップなど起業されている、もしくは準備中という方の募集お待ちしております。(もちろん他領域もWelcomeです!笑)

Research by Tetsuro Miyatake, Miki Kusano

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