【完全版】D2Cビジネス 成功へ導く5つの秘訣と事例集 Part2

DG Incubation
Feb 5, 2018 · 13 min read

事例集Part1Part3はこちら。
本記事は著者の許可を得て、CB InsightsのDirect to Consumer Strategies記事および個人リサーチ(Tetsuro Miyatake and @mikirepoによって書きました。

4. Dollar Shave Club(ダラーシェーブクラブ)

カミソリ界の巨人に勝つリテンションの生み出し方

Dollar Shave Clubは低単価のカミソリだけを提供しているわけではない。サブスクリプション型にすることで、時間・お金・体力の削減を提供し、C向けプロダクトの市場でもトップと言われるリテンション率を保つことができた。この圧倒的なリテンションの高さから大手カミソリ企業のGilleteの顧客単位を上回ることができた。

Dollar Shave Clubを利用するメリットは極めてシンプル。カミソリを安く定期的に買うことによって、時間とともにコスト削減となる。時間とともにバリューを発揮できるC向けサービスはその実績を見れば明らかである。Dollar Shave Clubの4年間のリテンション数字は一般のC向け定期購入プロダクトをはるかに超えている。Dollar Shave Clubに登録してから12ヶ月後では約50%のユーザーが課金し続けている。48ヶ月では25%の登録者が課金しているのだ。

比較すると、2017年6月にアメリカで上場した食品通販のBlueApronの12ヶ月後のリテンション率は22%、2017年11月に同じくアメリカで上場したHelloFreshでは12ヶ月後のリテンション率はたったの12%であった。

Recurring revenue(定期収入)と高いリテンションを組み合わせると非常に早い成長路線を描ける。満足度の高い既存顧客が離脱ではなく新規ユーザーを紹介してくれる。さらに、離脱率が低いため、CAC(顧客獲得コスト)を高く設定できる。iSpot.tvによると2014年末から2015年秋までDollar Shave Clubはテレビ広告で$64.5M(約64.5億円)使った。Gilletteは同じ時期には$43.4M(約43.4億円)しか使わなかった。同じ年にオンラインのカミソリ市場では大きくリードをとった。

”偶然”のための綿密なバイラル計画

Dollar Shave Clubのリリース用のPR動画の「Our Blades Are F***king Great」は2,500万回以上視聴されている。この動画から生み出された会話、シェア数、視聴回数を見ると非常に良いマーケティング事例となる。

バイラル動画は偶然と言われがちだが、そんなのは嘘だ。

この動画自体は1日で撮影し、コストは約45万円。動画の監督はCEOの友達で、二人はニューヨークコメディクラブで即興コントを勉強していた。

制作後、朝6時半にYouTubeにアップロードし、その3時間後にサイトがクラッシュ。復帰させたその1日後、一瞬で1万2千件の注文がきたという。

動画自体の成功は急ではあったものの、偶然ではなかった。ヒットするためのステップは以下の通り。

・事前に動画の公開日時をテックメディアに知らせておくこと
・それも動画も一緒に
・ターゲット男性の流行を作り出しているThrillistやUncrateなどのメディア、ブログにもお知らせすること
・深夜番組用により短いバージョンも編集すること
・SNSの広告費はお金のかけること(この時は約100万円以上)
・大きいスポーツやテレビで行われるイベントは避けること

5. The Honest Company(ホネストカンパニー)

1,100万人のインスタフォロワーを持つセレブ創業者の価値

セレブ起業家の多くはPR要素としてお金をもらっている場合が多いが、The Honest Company創業者のJessica Alba氏は違う。Alba氏は彼女の人気度と自らのストーリーを元に上手く利用して会社を伸ばしてきた。

The Honest CompanyはAlba氏が第一子で妊娠してた時に設立された。彼女は、幼い時に日常的な家庭用品に対してアレルギー反応を起こしていた。そのことがきっかけで、妊娠時に必死に赤ちゃん用の石鹸やおむつを検索していたのだ。その課題と経験の元にThe Honest Companyを始めた。

「一番後悔しているのはHonest Companyに投資しなかったこと。Alba氏はセレブビジネスモデルを覆した。プロダクトとただポーズするのではなく、創業者としての仕事を果たしている。」

Forerunner VenturesのKirsten Green氏はAlba氏についてそう語っている。過去には、MC Hammer氏や有名司会者Ryan Seacrest氏など数多くのセレブレティ達が起業をしたが、そのプロダクトを使い続けることはなかった。対照的にAlba氏はプロダクトへの熱意や思いを日常的に発信し、会社へのコミットメントなどをファンが信頼した結果、Alba氏の1,100万人のフォロワーにリーチすることができた。

隠れた検索ワードを探せー化学製品の検索ランキング1位に

Alba氏がThe Honest Companyを始めるきっかけの一つは赤ちゃん用の洗剤など家庭用品をリサーチしている時だった。リサーチしている中、多くの家庭用品は子供に危険な化学製品が含まれていることを知った。ただ、リサーチするほど見たことない化学製品が増えて、毎晩グーグル検索でそれが安全かどうかひたすら調べていたそうだ。

その課題を解決するためにThe Honest Companyは各化学製品に対してのブログを書いている。現在その化学製品で検索をすると、かなりの確率でThe Honest Companyのブログ投稿が検索トップに出てくる。

教育コンテンツにもなり、The Honest Companyではリードジェネレーションのプラットフォームともなる。実際に、そのブログからThe Honest Companyのサイトへ毎月10万人以上のユーザーが流入している。

ブログ投稿は恐怖や不安を抱くような投稿にはなってなく、ポジティブな効果も紹介している。

ポジティブな意見の方がより効果的なマーケティングになっている。その化学製品が安全でThe Honest Companyプロダクトでも使われているので、そのプロダクトへのリンクを紹介することができる。


D2C成長ポイントのまとめ

1) プロダクトデザインは少数精鋭、より豊かに

ほとんどの成功しているD2C企業は少数もしくは1つだけの商品で始めている。Casperは1つの「パーフェクト」なベッド、Allbirdsでは1足の靴を売り始めた。

インターネットのコンテンツ量が劇的に伸び、アマゾンなどのECプラットフォームでの商品の比較や選択肢が多い中、市場に「勝つ」方法とは他の選択肢を圧倒的に負かすクオリティそしてブランディングである。

2) ローンチ時にはプラットフォームを上手く利用せよ

今回紹介しているD2Cはマットレス、カミソリなど、多くのプレイヤーが参入していて、レッドオーシャンだと思われていた。

そこに参入するには、早くそして、大きく注目を浴びなければならない。成功するD2C企業はコツコツ、小さく成長していくなか、最初から衝撃的なストーリーを描いて伸びてきた。

大手に勝つには同じような動きをせずに、型破りなやり方でアテンションを取って行った。今回紹介する全事例では早めに名前を出してアーリーユーザーおよび将来的な顧客に対して高い評価を得ていた。

3) 端から端までの顧客満足度をあげろ

今回紹介しているD2C企業では「クオリティ」がフォーカスポイントとなっている。これはプロダクトのクオリティだけではなく、プロダクトの購買体験などすべてのことを表している。

例えばアマゾンでスピーカーを探していたとしよう。アマゾンは売上データなどをベースにできるだけ選択肢を絞らせ複数のスピーカーを抜擢して比較できるようにしている。

アマゾンでは安くてクオリティがそこまで高くない商品もあれば、高くてクオリティが高いものもある。ユーザーはそのトレードオフを選び抜いてスピーカーを購入してくれると思っている。

D2Cで成功している企業はクオリティのアプローチの仕方が全く違っている。興味度やモチベーションに合わせた売り方(機能1と2がある低単価のものと機能1、2、3がある高単価のもの)よりはシンプルさを重要視している。選択肢を無くしてクオリティが良いものだけを提供している。ただ、プロダクトの比較をすると圧倒的に競合には勝っていない。

ユーザーのプロダクト自体に対して満足度が他社のものと比べて圧倒的に高くないかもしれないが、成功しているD2C会社はそこが優位性のポイントではない。ユーザーがCasperで一番喜んでいるポイントはデリバリーのプロセスだ。Dollar Shave Clubでは常に新しい刃があること、The Honesy Companyでは石鹸を購入するプロセスのシンプルさ。大事なポイントはプロダクトが「must have」(必ずなければならない)商品ではなく、「good enough」(十分)な商品となっているが、「good enough」のようなプロダクトは全てのユーザー体験、選択プロセス、購入プロセス、カスタマーサービスがプロダクトよりも大事ということなのだ。

1つの商品で「十分」ということを聞くと、アマゾンみたいなバラエティー溢れるプロダクト品数に負けるのではないかと思うが、アマゾンは品数が多すぎるというデメリットもある。アマゾンで「soap」と検索すると、5万件以上の検索結果が表示されるのに対し、The Honest Companyでは5つだけ。赤ちゃん用にプロダクトを買う際には買うプロセスをシンプルに、アマゾンより早く簡単にしている。

D2C企業では一つのカテゴリーに絞ることによって、購入から配送からアフターケアを含め全ての体験にフォーカスができて、アマゾンや従来の小売店より優れた体験をユーザーに提供できる。

4) 物理的な商品にバイラルループを組み込め

D2C企業と大手企業の一番の違いはSEO、オーガニックトラフィック、バイラルなインフォグラフィックなど、インターネットの理解度だ。D2C企業は様々なインターネットチャネルを活用して成長している。物理的商品をインターネットでプロモーションするのは難しいが、上手く出来れば一気にスケールできる。

一つ目の戦略は検索とソーシャル重視のトップダウン戦略。Extole調査によるとCasperのリファラープログラムはSNSで1回シェアされるたびに5人の新規ユーザーをCasperに招いている。さらに、Casperはサードパーティーサイトより同じく紹介の仕組み作りを行っている。最後に、Casperはマットレス業界で一番重要と言われているSEOにかなり投資をしている。

Casperに訪問する前のページ(左)と訪問後訪れるページ(右)を示している。

次に2016年ぐらいから人気になった「マイクロインフルエンサー」やアンバサダーを囲い込んでそのコミュニティから口コミしてもらう方法がある。次回ご紹介するGlossierはSoHoにある店舗がある。Glossier店舗に来てもらいたいわけではない。Glossierは店舗の写真をとって、インスタグラムにアップしてもらうことによって世界中の人がGlossierプロダクトを買ってくれるようにしたい。

どちらの戦略をとっても成功しているD2C企業は、上手くそのリファラープログラムやプロモーションをプロダクト体験のコアの部分としている。

5) ソフトウェアのようにデータドリブンな改善を

スタートアップにとってECプラットフォーマーや大手CPGメーカーとの違いは圧倒的なスピードがあるということだ。そのスピードとユーザーからのフィードバックデータを利用してソフトウェアのように頻繁に商品の改善・アップデートが必要だ。一つのプロダクトしか売ってなければ早くピボットできたり、バーンを減らしてバージョン1、2、3、4とすぐに展開できる。大手CPGのナイキなども同じようにスタートしている。


いかがだったでしょうか?
次回Part3では、日本のD2C企業にも注目していきます。
事例集Part1Part3はこちら。

Translated by Tetsuro Miyatake, Edited by @mikirepo

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