新たなトレンドなるか?メディテック市場の解決を目指すスタートアップ

Chika Takei
BLUE DOTS
Published in
6 min readNov 15, 2018

Open Network Lab (以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。

活動資金やオフィススペースなどの設備を提供すると共に、国内外のスペシャリストによるメンタリングを通じて、これまで90社以上のスタートアップを支援・育成してきました。

今回は、医薬品の市場がどのようにリプレイスされていくのか、まとめてみました。

日本の医療費は過去最高へ、負担の見直しが急務に

日経新聞(2018/9/17付)「国民医療費とは 15年度42兆円、1人当たり33万円」より

近年、社会保障費、医療費、介護費といった国民が負担する医療費は増加傾向にあり、2015年度には42兆3,644億円、政府の推計では2040年度に68兆5,000億円まで膨らむ見通しといわれています。最大の要因は、高齢化に伴う社会保障費の負担増。本来、本当に使われなければいけない治療に医療費を使う余裕がなく、負担の見直しや伸びの抑制が急務になっている状況です。

院内残薬を減らす医薬品管理サービス「9lione」

医療費増加が懸念視される医薬品市場の中、Onlab17期の廣田さんが注目したのは医薬品の不良在庫と言われる「院内残薬」です。

現在、医療機関の大半が2,000品目もの医薬品を手書き、エクセルで管理しており、消費予測もできず、過剰な発注を繰り返しています。こうした煩雑な管理が原因で廃棄されてしまう残薬が生まれ、その損失は実に7,700億円と言われています。
そんな医薬品管理を効率化し、院内残薬ゼロを目指すのが9lione(クリオネ)です。9lioneが提供するのは、クラウド上で医薬品の在庫、消費期限の管理ができるサービス。 特徴は3つ、

1)処方箋を撮るだけで医薬品の在庫一覧を自動作成
2)バーコードで消費期限を管理し薬価改定を自動でアップデート
3)在庫消費データを元に最適な発注提案を実施

これにより過剰発注・コスト削減を可能にし、薬剤師の負担や店舗の廃業要因をなくすだけでなく、本来必要な治療にコストを使える環境づくりを整えていくことを目指しています。

アメリカでも飛躍を期待されるヘルステック領域

今年の8月に開催されたY CombinatorのDemodayでも142社の内、実に1/4がBio・Healthcare分野のスタートアップとなり、今後このカテゴリーのポートフォリオ数は拡大の一途をたどると言われています。

今年のDemodayに参加したスタートアップの中から1社をピックアップしてみましょう。9lioneが院内残薬の課題に焦点を当てる中、異なったアプローチでヘルスケア・システムに存在するペインを解決しようとするのがMedinas Healthです。

Medinas Healthは、病院などの医療組織が使用済み、もしくは不要となった「医療機器」を再販売することを助けるプラットフォームを展開しています。9lioneが取り組む院内残薬の課題同様、医療機関で使用される機器や消耗材(例:注射器、サージカルマスク)は使用期限が短いものが多く、まだ使える状態にあったとしても廃棄されてしまうという状況にありました。

こういった中古医療機器の流通はトータルで750億ドルにものぼると言われており、今後この分野をターゲットに、セカンドハンドのマーケットプレイス事業を展開することで医療機関での大幅なコスト削減を可能にしていくことをMedinas healthはめざしています。将来的には僻地の病院にも十分なequipmentの供給を可能にし、本当に必要とする人の手に、必要な備品が行き渡る環境をつくることが彼らのミッションです。

9lioneの強みは膨大な蓄積在庫データ

9lioneもMedinas Healthも、医療機関における「不良在庫」に着目していることが共通点として捉えられます。無駄になってしまっているコストを本来使われるべきものへとシフトさせるビジョンは類似していますが、今後9lioneが同じフィールドで戦っていくにあたり、強みになるのは“膨大な在庫データ”になっていくのではないでしょうか。在庫データを起点にユーザーの利用履歴や位置情報といったマーケティングデータも共に蓄積・保有することで9lioneの事業拡大の幅は大きく広がっていくと考えられます。

将来的にはMedinas Healthが注力する医療消耗材や医療機器の売買や医療品卸市場参入も視野にいれる9lione。医療機関のAmazonへと成長するべく、ぜひ今後ともプラットフォーム確立に向けて頑張ってほしいと思います!

既存の解決方法が次々とスタートアップの創るビジネススキームによってリプレイス・ディスラプトされていく現在。今回は注目のメディテック領域からOnlab生とY combinator卒業生の事例をご紹介させていただきました。彼らのように自分のアイディアで既存産業のリプレイスに挑戦したいと考えている人、Seed Accelerator ProgramでOnlab teamと事業のブラッシュアップをしてみませんか?

Seed Accelerator Program 18期を募集中!

Onlabでは創業期の起業家をご支援しています。
シードアクセラレータープログラムに興味がある方はこちらからご応募ください😊(11/22〆切)

また、11/21(水)にはOnlab卒業生を招いてイベント「Onlab meetup 〜シード起業家が次回ラウンドに向け越えるべきハードル」を実施しますのでぜひご参加ください!

その他、事業の壁打ちをさせていただく事業相談会はいつでも受け付けておりますのでご連絡お待ちしております😆

Twitter/Facebookも更新中!

--

--