レガシーな不動産業界に挑む、世界で活躍する注目のResi-Techスタートアップ3社
Open Network Lab (以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、日本初となるSeed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。
今回は、11月15日にDigital Garage(以下DG )米本社が運営するコワーキングスペース、DG717で開催されたイベント「New Context Conference」で登壇したResi-Techスタートアップについてレポートしたいと思います!
近年注目の不動産テックのその先へ — 暮らしを支えるResi-Tech
近年、不動産に関連したスタートアップの数は上昇傾向にあり、世界中でその数は176社(2008)から1,274社(2017)、累計投資額も約$300億と2008年当初から15倍の伸びをみせています。そんな不動産テック領域から、更に一歩踏み込んだ分野が、DGが提唱するResidential Technology (Resi-Tech)です。
Resi-Techは「生活者を起点とした住宅・暮らしに関わる業界課題や従来のライフスタイルを変えようとする価値や仕組みのこと」を指します。不動産テック成長の背景を受け、今後スマートホーム、街づくり、インフラ、施工管理といった、生活にかかわるすべてのものにおいて、最先端技術を活用した新たなサービスやプロダクトの開発が更に進んでいくのでは、と期待が集まっています。
New Context Conferenceとは?
Open Network Lab(以下Onlab)の母体であるDGでは、インターネット技術や最先端のビジネス動向について議論を深めるイベント、「The New Context Conference」を年に2回実施しています。
2005年の初開催から今回で18回目となるこのイベント。DGの取締役 共同創業者でMITメディアラボ所長を務める伊藤 穰一とInamoto&Co.の創業パートナーであるレイ・イナモト氏が共同ホストとなり、SFのインキュベーションセンター「DG717」設立5周年記念の一環として、11月15日にイベントを開催しました。
カンファレンス前半はAIとデザインの収束を意味する新しいコンセプト「Design Intelligence」にフォーカスし、ゲストスピーカーによる登壇やパネルディスカッションを実施。後半は、前述したResi-Techに関連するスタートアップを支援するアクセラレーター、Onlab Resi-Techローンチにちなみ、世界各国から招集したResi-Techスタートアップによる、ピッチセッションを行いました。
世界のスタートアップエコシステムを支援する、Global Incubation Stream
Global Incubation Streamは次世代を担うスタートアップ企業をいち早く発掘し、投資、事業育成することを目的とする、DGがリードするインキュベーターネットワーク。日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアを繋ぐこのネットワークを通じ、スタートアップがより早くグローバル企業として成長していけるような体制、支援といった基盤を提供することを目指しています。
今回のイベントでは、AI関連スタートアップの支援スタジオAll Turtles社や、香港を拠点としアジアにネットワークを持つMind Find社、北欧の有力スタートアップ企業の創業者らが集まり組成したファンドであるbyFoundersらなど、DG Family10名がJudgeとして参加。(上図参照)
各インキュベーターから選出された7社のスタートアップによるピッチに対しライブフィードバックが行われ、Judgeが選ぶJudges’ Choice Award、オーディエンスが選ぶAudience Award、そして特別枠としてSpecial Awardの3つの賞が贈られました。
異なるResi-Tech領域の3チームが受賞へ
【Judges’ Choice Award】
Pod Room (from GW Ventures)
— Sleeping pods for people to stay in cities affordably
アメリカには日本のようなカプセルホテルという形態の宿泊施設はなく、都市部であっても日本のビジネスホテル、漫画喫茶など手軽に安く宿泊できるオプションがほとんどない現状です。Pod Room(ポッドルーム)は、プライバシーが確保されたカプセルホテルを立地のよいロケーションに展開し、ホステルよりも快適に、またホテルよりも手頃な価格で宿泊を可能にし、都市部での宿泊課題を解決します。現在はサンフランシスコ市内の中心部と言われるUnion Squareから徒歩2分の場所でサービスを提供しており、2,000人以上ものユーザーに利用された実績があります。
【Audience Award】
Tellus (from All Turtles)
— Eldercare reimagined
Tellus(テラス)は、ウェアラブル端末やカメラを使用せず、高齢者の睡眠、脈拍、行動、転倒といった健康に纏わるアクティビティを継続的にリアルタイムでモニタリングできるサービスです。プロダクトを直接コンセントに接続するだけで、アクティビティのデータだけでなく健康状態についての情報も収集する機能を持ち、緊急時にはアラートを携帯端末に送信することが可能。高齢者のケアを画期的に改善することを目指し、日本市場への展開も検討しています。
【Special Award】
Nimble Wireless (from BEENEXT)
— IoT Solutions for Food and Pet Safety
Nimble Wireless(ニンブルワイヤレス)は温度・湿度管理といった品質のコントロールが難しい商品を扱う顧客(レストラン、倉庫、小売店等)を対象に、彼らの資産を正確にモニタリング・管理するためのIoTプラットフォームを提供しています。Nimble Wirelessのリアルタイムモニタリングソリューションを使用することで、さらなるオペレーションの効率化を実現できます。現在22ヶ国でサービスを展開しており、今後プロパティマネジメント、 畜産環境コントロールや屋内の高齢者モニタリングといった、彼らの技術の応用が期待できる、その他Resi-Tech領域にも参入を検討し、更なる事業拡大を目指しています。
また他にも、世界を舞台に活躍する4社のスタートアップに登壇いただきました!
・Spiio — リアルタイム土壌計測・灌漑IoTプラットフォーム
・Zeep — 不動産売買・賃貸における取引フローを シームレスにするAIチャットボットサービス
・Switch Automation — 施設のエネルギーパフォーマンスを向上する クラウド x IoT型管理プラットフォーム
・DouZen — 家族で写真や動画を共有するためのIoTサービス「Hale Orb」