スタートアップが知っておくべきファイナンス勉強会|Onlab Study Hour

Mina Akasaka
Jun 17 · 9 min read

Open Network Lab (以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、日本初となるSeed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。

5月20日にスタートアップが知っておくべきファイナンス勉強会と題し、資金調達で押さえておきたい基礎知識についてのセミナーを行いました。今回ご登壇いただいたのは、森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士 栗原 宏幸氏、みずほ銀行 執行役員イノベーション企業支援部長 大櫃 直人氏、DG Incubation 津田 祐実の3名です。ご参加いただいた方からも大好評でしたので、今回はその内容をお伝えします!

シード期のエクイティ調達について

DG Incubation 津田にシード期のエクイティ調達について、気をつけるポイントをレクチャーしていただきました。

左から大櫃氏、栗原氏、津田

VCの視点は、大きく分けて2つ

  • 結局何がすごいの?
    シード期のスタートアップは、まだ売上がついていないのは当然ですので、その点は重要視していません。事業のテーマが自分の原体験に基づくものであったり、その領域やお金儲けに執着があるかどうかなど、比較的直感に近い部分になってしまいますが、 “誰にも負けない軸”があるかどうかを見ています。
  • 本当にビジネスになるの?
    「シード:本当にユーザーに使われるか」、「アーリー:本当に売上がつくか」、「ミドル以降:利益を出せるか」が重要になってきます。ディスカッションをしながら、自社のサービスについて合理的な説明ができるかどうかをVCは見ています。

そもそも資金調達とは?

資本(資金調達)を、単に返さなくてもいいお金と考えるととても危険です。資本で調達するということは、株式を渡すこと、つまり会社の身の一部を渡すことです。相手とは契約以上の関係になるため、それ相応の協議義務や報告義務が求められます。昨今10億円調達などといったニュースを目にする機会も多いですが、(確かに凄いことですが)単に調達すればするほど凄いという訳ではありません。小さな元手でより大きい利益を生み出す方が事業的には優れているのです。

資金調達2つの側面

  • 誰から調達するの?
    どんな人からいくら調達し、何年後にいくらリターンとして返せるのか、将来に渡る構成計画を立てておくことが重要です。一度渡した株を戻すことは、はっきり言って困難です。資本政策は、不可逆的で全履歴が残りますので、慎重に計画を立てましょう。
  • どう使うの?
    事業計画を立て、いくら必要なのかを考えましょう。その際重要なこととして、事業計画は単なる目標づくりではなく、〇〇円という売上を目指すためにいくら資金調達が必要なのか?、そしてそれにはどのくらいのリソースが必要なのか?、因果関係を意識しながら会社が存続するための意味のあるシュミレーションをすることです。また、PL(損益計算書)だけではなく、支払いや入金サイクルも考慮したキャッシュフローも考えるようにしましょう。

資金調達のステップ

①まずはプランニング
VCに会いに行くにあたり、調達したい金額や時期をまず考えましょう。様々な変数がある中で、自社はどの部分が譲れないのかをしっかり考えると自ずと見えてきます。

②実際にVCに会いに行く
資金調達は営業と同じ交渉事です。相手が欲しいものは何か?どんなフローになるのか?大切なのは相手とのコミュニケーションです。そして、下図にあるような実際にVCから求められるであろう質問事項を想定し、予め準備をしておきましょう。

特にKPIと成長戦略、市場規模は大きなポイントです。自社が一番需要だと思っているKPIは何か、なぜ今そのKPIが必要なのか、そのKPIが積み上がることで次何に繋がるのか、そしてどのくらい大きな事業になるのかというストーリーを作りましょう。「市場規模はどう考えたらいいのですか?」とよく質問をいただきますが、VCが知りたいのは、市場から何%シェアを取ったらどれ位の規模の事業になるのか、KPIがどれくらい積み上がったら、どれ位のビジネスになるかということです。

また、VCから「バーンレートは?」「株主構成は?」と聞かれ、意外と答えられないケースもあると思いますが、すぐに答えが返ってこないとVCも不安になってしまいます。また、「今後どうやってユーザーを集めていくのか?」など戦略面での質問をされた際も、資料を確認しているようだと、この会社本当に大丈夫かな?と思われてしまいますので注意してください!

デットファイナンス入門

続いて、森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士 栗原氏にスタートアップのためのデットファイナンスについて、説明していただきました。

エクイティファイナンスとデットファイナンスの特徴

日本の会社には株式会社の他にも種類がありますが、株式会社の次に有名なのは合同会社です。合同会社と株式会社はほぼ同じような中身で作ることも可能ですが、VCから調達と考えると株式を発行する株式会社を設立していた方が良いでしょう。

上図のエクイティファイナンスの項目は、普通株式の特徴を一覧でまとめたものです。
デットファイナンスは、形式としては大きく分けて貸付と社債の2つがあります。社債は、有価証券になりますが、現在は実際に券を発行する訳ではないので、中身としてはほぼ貸付と変わらないと思って良いでしょう。また、負債に関しては、1年以内に返すものに関しては流動負債、その他は固定負債となります。会社経営の発言権に関しては、銀行からお金を借りて金銭消費貸借契約を結ぶ際、誓約事項が設けられる場合があります。貸付人の承諾が無い場合は配当してはならないなど、会社経営が誓約されることもありますので、しっかり契約書を読むことが大切です。

※この表はあくまでも理念型です。メザニンファイナンスのようなデットとエクイティの間に含まれるようなファイナンスも存在します。

銀行融資の基本条件

「貸付金額」「返済方法・期間」「利率」の3つが経済条件となります。返済方法の典型としては、元金均等返済方法と期日一括返済方法があります。元金均等返済方法とは、毎期ごとに一定金額の元本を返済する方法でアモチとも呼ばれています。それに対し期日一括返済方法とは、例えば3年の貸付期間を過ぎたら3年後に全額返済する方法で、俗にブレットと呼ばれるものです。
また、毎期ごとに一定金額を返済しながらも、最終回に残元金を一括で支払うバルーンと言われる返済方法もあります。

その他、「期限の利益喪失事由」は注意をしなければなりません。期限が来るまで債権者は、債務の返済をしなくても良い(=期限の利益)ことになりますが、何かイベントが生じた場合、この「期限の利益」を債務者が主張できなくなるようなことがあります。大きく分けると2つあり、1つ目が会社が破産した時のように回収が不可能な場合の当然喪失、2つ目が債務者が債務の履行を一部でも遅滞した場合などに発生する請求喪失です。返せなくなる前に銀行としっかり話し合いをしましょう。

債務者が一定の事実を約束する表明保証に違反があった場合や、誓約事項に違反があった場合も、期限の利益を喪失することもあります。

借入額が大きくなると契約書も100ページ以上に及ぶこともありますので、その際は弁護士に相談するのをオススメします。

まとめ

・デットファイナンスと一口にいってもその条件は様々
・金融機関とよく話をし、条件を十分理解した上で取引を行うこと
・弁護士など専門家のアドバイスを得ることも有益

ベンチャーファイナンスについて

ベンチャー向け融資の考え方について、みずほ銀行 大櫃氏にご説明いただきました。

銀行との付き合い方

スタートアップのみなさんが、事業・業績説明を行う際に、端折って説明してしまうと、銀行は理解できないかもしれません。自信を持って赤字理由の業績根拠(開発のために人件費投下が先行しているなど)をありのまま説明すれば、銀行の理解も進みます。誠実に銀行と向き合うことが大切です。

資金調達をスムーズに行うためのアドバイス

これまで出会ったスタートアップで、今も勝ち残っている会社の特徴は、4人以上のボードメンバーを集めている会社です。シードは社長の情熱とビジネスモデル、シリーズAはプロトタイプができて具現化できているか、シリーズBはチーム、組織を作れているかを見ています。4人いると資金調達もスムーズになりますので、会社を急成長させるためにチーム作りは非常に大事だと個人的には思っています。


今回は、普段なかなか聞けないVC、弁護士、銀行といった方々をお呼びし、ファイナンスについての勉強会を行いました。今後もOnlabでは、スタートアップの皆様のお役に立てるような勉強会を企画していく予定です!


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