Mobility as a service (MaaS)
「都市モビリティにおける6つの問題」今まさに注目したい事柄がまとまっていました。
- 公平な輸送(公平性)
- ストリートデザイン(街路のデザイン)
- サービス
- 自動配達(貨物)
- モビリティのUX
- 共有データ
このうちの1つに「サービス」があげられています。この場合のサービスとはいわゆる「MaaS (Mobility as a service)」ということになると思いますが、「移動サービス」と直訳することができると思います。
移動する手段には、自転車からスクーター、自動車や電車、航空機なども含まれます。またその移動には、モバイル端末を携帯している人が多いため、モバイルアプリを介したサービス提供を指す場合がほとんどです。最近では、そうした交通機関の利用料をサブスクリプションモデル(つまり定額支払い制)にすることで、別のインセンティブ(たとえばポイント換金とか)を付加価値として提供するものが増えています。
交通機関を一括して複合利用できることを「マルチモーダル・サービス」と言うらしいですが、その利用ができるようにするためのモビリティ・プラットフォームについては前の記事にも書きました。
そのうえで MaaS の代表例とも言えるのがフィンランド発の「Whim」アプリです。2019年には、日本でも利用できるようになるというニュースが飛び交う一方で、同じようなサービスが国内でも展開されているのか気になるところです。
自動車業界における MaaS
Mercedes Benz を展開するドイツの大手自動車メーカー Daimler AG もいち早く MaaS に参戦しています。ダイムラーは、鉄道以外のあらゆる交通サービスを傘下に収め、それを「moovel (ムーベル)」というアプリで提供しています。今やその利用者は500万人を突破したらしいです。つい先日、BMW Group とのモビリティサービス事業の合併が発表されていました。残念ながら日本では利用はできないようですね。
ダイムラーは、カーシェアリングサービス「car2go」や、タクシー配車サービス「mytaxi」を買収しているため、それらの利用と地図とをアプリ上でシームレスに連携して目的までたどり着くことが可能です。Uber とも契約をしているため配車サービスは、Uber でも利用できるようです。
こうした交通機関の統合は、都市モビリティにも影響していきます。2018年のCESで発表されたフォードのモビリティ・プラットフォーム TMC (Transit Mobility Cloud) は、スマートシティを実現するためのテクノロジーとして注目され、公共交通機関の運営受託を開始したそうです。また、アメリカのロサンゼルスでは2016年から行政サービス「goLA」として MaaS を展開しているようです。
そして少し前に、トヨタとソフトバンクの提携が発表されましたが、その際にも「MaaS」という言葉が使われていました。トヨタは西日本鉄道などと複数の移動手段を組み合わせたルート検索・予約・決済ができる MaaS アプリ「my route (マイルート)」を発表。実証実験を11月から福岡市で開始しています。
実際にどのようなサービスと連携しているのかトヨタのニュースリリースを見てみると興味深いです。提携している企業との連携はもちろんですが、福岡市が提供している公共交通機関(西鉄バス)の利用にもつながっていることがわかります。
実際に、MaaS によって公共交通機関の利用率が増えた例は Whim も moovel もありますので、MaaS アプリの提供と公共交通機関の利用率向上の関係性は良好だと言えます。
福岡市の実証実験では、シェアサイクルのメルチャリと、タクシー配車サービスのJapanTaxiと連携しており、ルート検索後にそれぞれのアプリが起動され予約などを行うことができます。レンタカーはトヨタレンタカーです。西鉄は自社が運行するバスの位置情報を提供し、my routeアプリ内限定で福岡市内フリー乗車券のデジタル版を販売します。
そのため、ここであげた例はいずれもエリア限定の取り組みとしてのニュアンスが強いのと、地域によって利用されるサービスが異なるため、地域特性に合わせたサービスとして MaaS を見ることができると思います。
最後に、Mellow がまとめた「MaaS カオスマップ 2018」を引用しておきます。