コワーキングの備えはいいか?

企業に求められるコワーキング対応能力

ito tomio
cahootz
8 min readSep 22, 2017

--

Photo by WeWork

本当は別のテーマを考えてたんだが、いざ書こうとしたらMacのストレージがもうほとんどないことに気づき、あわててファイルの掃除や整理にあたふたと時間を費やしてしまったので、軽くこのネタで。

昨日、こんな記事を見つけた。「用意はいいか?」というタイトル。(OGPが出ないのでリンクをクリックしてください。)

Are You Ready?
https://www.linkedin.com/pulse/you-ready-andrew-jones-ph-d-

書いたのはAndrew Jonesで、彼は2013年に今後のワークスタイルを占うこんな本を書いている。

彼も一時(テキサスだったかな)コワーキングスペースの運営に関わっていたので、机上の空論ではない実践的な印象が濃い。

で、この本でも結構紙幅を費やして主張しているのが、企業のコワーキングについて。フリーランサー(だけ)ではなくて、これからは企業が積極的にコワーキングを利用するようになる、という話だった。

ただし、企業が社内でコワーキングスペースを運営する、という方にウェイトが置かれてて、それは例えばGoogleだとかがそれらしき動きを見せたことからも、きっと追従する企業が出てくるだろうという予測だった気もする。

だが「用意はいいか?」では、ちょっと違うことを言っている。ざっくりこういうことだ。2段目以降が上記の本と違うところ。

過去4年間、つぶさにメインストリーム(大企業)の動きを見てきたが、当初フリーランサーだけのものと思われていたコワーキングを、彼らは新しいワークスタイルとして積極的に受け入れつつある。

昨今のWeWorkの例を見れば、複数の大企業の社員が同じフロアで仕事するようになっている。これは10年前には誰も予想しなかったことだ。実のところ、S&P 500の企業の社員の10%がコワーキングしている。例えば、Dell、GE、HSBC、Merck、Microsoft、Silicon Valley Bank、Amazon.com、Unilver、Marriott、KPMGなどがそれだ。

これは何を意味するのか?今まで、コワーキングが個人的にも、会社組織的にもどれほど影響を及ぼすか考えたことがあるだろうか?コワーキングへの用意はできているか?

違う、と書いたが、当時も企業が社内に開設したコワーキングスペースを、社員でないコワーカーも利用するようになるという論考だったので、これはこれで間違っていなかったし、それも確かに新しいコラボレーションを起こすなどの効果はあったはずだ。

しかし、純然たるコワーキング事業者が開いたスペースを企業が共同で利用するという発想は、確かになかったかもしれない。WeWorkは2010年設立だから、すでに存在していたが、それでもまだこの路線へは移行していなかったんじゃなかろうか。

「用意できてるの?」、そう問われて、「あ〜、いや〜、どうかな」と戸惑う企業に対して、これを試しなさいとこの短い記事の最後にリンクが張ってある。それはここ。

Coworking Readiness Score | Helping companies transition to coworking

その名も「コワーキング準備度スコア」、て、なにそれですね。これがオモシロイ。あなたの会社が、自社の社員がコワーキングを利用することについてどれぐらい対応できているかを判定するツール、らしい。

トップページの右下にチャットボットのアイコンがある。これをクリックするとすぐにチャットが起動して質問が始まる。それに答えていくことで判定する仕掛け。

試しにやってみた。こんな感じ。

・従業員は何名?>500名以下

・これまでにコワーキングで仕事したことや、ミーティングに参加したことは?>NO

・もし機会を与えられたら、時には自宅かコーヒーショップで仕事したいか?>YES

・もし機会を与えられたら、コワーキングで仕事したいか?>YES

・いまの社内規定ではコワーキングで仕事をすることは許されているか?>YES

・いまのオフィスでは決まった席があるが、できればフレキシブルに働きたいか?>YES

・いまのオフィスは十分にコラボを組めるようにデザインされているか?>YES

・いまのオフィスはオープンでプライバシーが守られていないと感じているか?>NO

・職場ではカフェのような場所やランチやセミナー、ついでにハッピーアワーなど、もっとソーシャルな感じがほしいか?>YES

・働く場所はバラエティに富んでいたほうが生産性が増すと考えているか?>YES

あとで、もうちょっとひねくれた回答をしたらよかったかも、と思ったが、とりあえずここまでやってみた。

すぐに判定されるのかと思いきや、メールアドレスを入力して送信、しばらく返事を待て、と表示された。それから小一時間経つがまだ来ない。来たら、あとで追記しよう。

まあ、ちょっとしたお遊びだが、それはさておき、これからの企業はリモートワークがどんどん導入されていく中、いかにうまくコワーキングを利用するか、これは結構大きな課題になる。

くだんのWeWorkはそのトレンドをいち早く嗅ぎ分けて、うまくその流れに乗ったと言える。

彼らの主眼は新しいワークスタイルを取り入れざるを得ない大企業であって、そうした企業同士をユーザーに取り込み、企業の固定費削減に貢献する一方、企業同士をつなぎ合わせてイノベーションを起こすことに積極的にコミットしている。ソフトバンクがWeWorkに莫大な投資をするのも、その動きの中で自社に有利なポジションを確保するためだろう。

このへんのことについては、先日、ここでも書いたので参照されたい。

話題のコワーキングスペース”WeWork”の何がそんなにスゴイのか?

ちなみに、来週の25日のこのイベントに、WeWork日本法人CEOのChris Hill氏が登壇されるので、そのへんの話も聴けたらなと思っている。

ところで、日本の、とりわけ東京圏のコワーキングの中にはWeWorkの動向が気になって仕方がないという方もおられるかもだが(お気持ちはよくわかります)、当面、彼らは海外のグローバル企業の日本進出への足がかりとしてWeWorkをいうアウトポストを提供する、まずそれだろうとぼくは踏んでいる。なので、うまく棲み分けができるポジションをきちんと抑えておけばいいのじゃないかな、と思います。

ということで、今日は軽くこのへんで。ホントは「移働」のことを書こうと思ってたのだが、それはまたあらためて。最後までお読みいただき有難うございます。このブログは、ブログJelly Vol.77 Revengeで書きました。

もし、このブログを愉しんでいただけたなら、左下にある♡のマークをクリックしてやってください。そうすれば、他の方の目にも触れるきっかけになるので。

他にも、「カフーツ式BlogMagazine」に書いていますので、よろしければチェックください。

--

--

ito tomio
cahootz

コワーキング・プロデューサー。メディア企画、執筆、翻訳、編集。2010年、日本で最初のコワーキングスペース「カフーツ」を神戸に開設。2012年、経産省認可法人コワーキング協同組合設立、代表理事就任。2014年、コワーキングマガジン発行。2016年、コワーキングツアー開始。訳書に『グレイトフルデッドのビジネスレッスン』他