南紀白浜の「起業合宿」であらためて気づいた「自分」というリソース

「C-Corp」Vol.0 〜南紀白浜で「起業合宿」編〜

ito tomio
cahootz
10 min readOct 3, 2017

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”Innovation Springs”

9月30日(土)〜10月1日(日)に、起業家育成プログラム「C-Corp」Vol.0 として南紀白浜で一泊二日の起業合宿をしてきた。

会場は、クオリティソフト社が運営する”Innovation Springs”。同社はここに本社を置くIT企業だ。この施設の環境が素晴らしい。まず、こちらのページのビデオをご覧あれ。(注意:音が出ます)

なんと、5,530坪の土地にプール付きの750坪の本社社屋を持ち、社員はフリーアドレスのオフィスで日々仕事に励んでおられる。120名が収容できるカンファレンスルームに、地域の方も食事できる社員食堂、それになんとバストイレ付きのベッドルームが10部屋ある。ウラヤマシイ。

おりしもカフーツでは、ローカルの課題をビジネスで解決する、いわゆるソーシャルビジネスを含めた「C-Corp」という起業・創業カリキュラムを編成し、起業家育成プログラムに取り掛かったところ。

「C-Corp」のCは、Community、Communication、Collaboration、Coworking、Contribution、それとちょっと Cooperativeの要素も、ついでにCahootz のCを取って名付け、基本的にはチームで起業創業するということを前提にしている。ややこじつけに聞こえるだろうがホントです。白状するとあの「B-Corp」をもじった、というのもホントです。

そんなところへクオリティソフト社の浦社長が、この施設での起業スクール(と、実はコワーキングもだが、それは追々お話しする)の構想を持ってうちにご相談に来られた。

浦社長は元々和歌山のご出身で、東京で創業されて30有余年、事業は成功されてそろそろ地元の活性化に一役買いたいということで、このアイデアを想起された。ちなみに、同社のスローガンは”Think Global, Act Local.”。

不思議な事だが同じ想いを持つ者は必然的に出会うことになっているのだろう、じゃ双方のリソースをかけ合わせていっちょうやりましょうよ、とお誘いいただき、おお、ぜひぜひ、とりあえず一度使わせていただけませんか?どうぞどうぞ、となった次第。このへんのスピード感は大事ですね。

で、今回は、日頃の都会の喧騒から離れ、自然に囲まれた環境で心身ともにリフレッシュし、新規事業のアイデアを見える化してアタマの中を整理し、ついでに新しい発想を得ようというのが合宿の目的。

あいにく運動会シーズンで参加者は想定より少なかったが、嬉しいことに浦社長が「私も」と参加されることになり、講師役の林さんともうひとりの受講者である村田さん、そしてオーガナイザーであるぼくの4人が、非常に密接な距離感でディスカッションでき、これが各自の思索を深めることになった。

もとより、「C-Corp」では対話を中核(軸)とすることを意図しているので、実は最初からその効果を狙って、この2日間では、マインドマップとBMC(ビジネスモデルキャンバス)の実習を行った。

ビジネスアイデアを思いつき、その実現のための要件と課題と解決策を片っ端からひねり出し、顧客が求めるプロダクト、サービスは何かを冷静に考える。そのためには、まずこのふたつを使いこなす術を身につけるのがいいと思ったからで、講師の林さんは、その両方のファシリテーションのエキスパートだ。

マインドマップもBMCも、「ああ、あれね」という方は多いと思う。だが、講師に手引きしてもらって実習してみると、ただ本を読んだだけでは絶対に気づくことのないゾーンに入り、思いもしない思考の展開を見てゾクゾクしてくる。

それをひとりで閉じこもってやるのではなくて、他の人と一緒にやる。そこで対話が生まれる。その対話がトリガーとなりスパークすると、新しい展開がまた生まれる。この循環がスゴイ体験となる。

実は今回参加された浦社長も村田さんも、コワーキングというものをいかに事業化するか、をテーマとしていた(そう仕組んだのではなくて偶然)。一方でぼくはそのコワーキングをもう7年もやってきているわけで、なりゆき上、情報や知見、ノウハウをご指南する立場にもなる。

勢い、この場がコワーキングスペース開業講座みたいになってくるのだが、しかし、この起業合宿の趣意はそれではない。全然違う。ビジネスの要諦はモノじゃなくてコトと言うが、この場合、ハコじゃなくてコト。

いつも言うようにコワーキングは目的を果たすための手段であって、それ自体が目的ではない。場所を提供するのが事業の目的ではなく、そこから生み出すものをどうサポートするか、それが事業の目的になるはずだ。

そういう視点で、あなたの目的は何なのか、それを実現するためにコワーキングはどういう役割を演じるのか、他にはどんなリソースが必要か、パートナーは誰か、そもそも顧客は誰なのか、そして、あなたが彼らに提供できる最も価値あるものは、それは一体何なのか、を考える。

で、これはなにもコワーキングに限った話ではない。ビジネスプランを創案する時に必ず通らねばならない道なわけで、先の文章の「コワーキング」を、あなたが考えているビジネスに置き換えて読んでもらえればいい。

うっかりすると堂々巡りするこの思考を、マインドマップとBMCでひとつずつ整理して見える化していく。時にはピースを置き換えることで考え方を変えてみる。するとそこでまた違う展開が見えてくる。例えば、パートナーだと思っていた人が、実は顧客になる、というように。こうなってくると、否が応でも脳髄がグイグイ活性化する。

で、このプロセスを経て、参加者各自のビジネスの「本当の価値」は何なのか、「自分のやるべきこと」は何なのか、そのヒントを掴めることになった。いやぁ、やってよかった。二日間、おつかれさまでした。

で、この合宿でBMCを作成していく中で、ああ、そういうことだったのか、と気付かされたのは、一言で言うと「自分」というリソースだった。

今までの人生で何をしてきたか、それによって積み重ねてこられたもの、それがこれからの自分の目的を実現するためのリソースとなり得ているかどうか、それを検分する貴重な機会となった。

それも林さんがリードしてくれたから判ったことだが、これが意外にもちゃんと繋がってきているので、少なからず驚いた。というか、「ああ、そうか、それをやるためにここまで来たのか、知らなかったなぁ」という感じだ。人生に無駄ってものはないのですね。感謝。

余談だが、この本で著者のLinda Rottenberg氏は、こう言ってる。

事業に乗り出すときに必要となる、誰よりも重要な支持者は誰か。それは両親でもなければ、配偶者や友だちでも、上司や銀行でもない。他でもない自分自身なのだ。

ホント、そうですよね。

ところで、”Innovation Springs”では、スタートアップや起業家の育成スクールと併せて、企業のイノベーション促進、新規事業開発のためのカリキュラムも編成してその任にあたる社員をエンパワーするべく、もう準備を始めている(実は、この合宿でその構想が明確になった)。ぼくはその全般に関わっていて、年内にひとつクラスをスタートさせる予定。

前述の通り、宿泊設備があるので、5日間ぐらいホントに「合宿」して、集中的な講義と実習、そして対話を通じて、価値あるビジネスプランを作ることに専念する。ただし、遊びの要素も盛り込んでリフレッシュも忘れない。これは内容、濃いですよ。

もしかしたら、その場でアライアンス組んでコラボする、なんてことも起こるかもしれない。勝手な想像だけどワクワクするなぁ。またあらためて告知しますので、お楽しみに。

なお、”Innovation Springs”では、いずれ滞在型コワーキング(コワーケーション)や、ついでにColivingも、というアイデアもあるので、追々、ご紹介していきたいと思う。

あそうそう、今回、我々が宿泊したのは、”Innovation Springs”ではなくて、白良浜を望む絶好の位置にある同社が所有するリゾートマンションの一室だった。なんと、一階にかけ流しの温泉まである。夜は静かに波の音が聴こえて、心安らかに熟睡できる。そのベランダからの風景をご鑑賞あれ。

さて、カフーツの「C-Corp」もあと少しスケジュールを調整して、年内にスタートさせるつもりだ。一学期を3ヶ月でまわす予定。その中で、ここ”Innovation Springs”での合宿も盛り込むかもしれない。南紀白浜、いいところですよ。是非、ご参加ください。

ということで、今日はこのへんで。最後までお読みいただき有難うございます。今回は、ブログジェリーと関係なく書きました。

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他にも、「カフーツ式BlogMagazine」に書いていますので、よろしければチェックください。

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ito tomio
cahootz

コワーキング・プロデューサー。メディア企画、執筆、翻訳、編集。2010年、日本で最初のコワーキングスペース「カフーツ」を神戸に開設。2012年、経産省認可法人コワーキング協同組合設立、代表理事就任。2014年、コワーキングマガジン発行。2016年、コワーキングツアー開始。訳書に『グレイトフルデッドのビジネスレッスン』他