日本のネットショップを
ざっくり世代別に
見てみた。

日本のネットショップもここまで来た、という話。

ito tomio
cahootz

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こんばんわ。ブログジェリーに、(いつものように)まったく準備なしで臨んでいる伊藤です。

実は昨年から関わっているあるプロジェクトの関係で、ネットショップについて色々と調べることになったのですが、最近の(日本の)ネットショップのありようにオドロキつつも関心し、かつ、感慨深いものを感じたので、それをやや無理やりに個人的観測で世代別に分けて考察してみたいと思います。ごく、カンタンに。

で、第一世代を、楽天市場やヤフーショッピングなど大手のショッピングモールに当てはめようとしたら、高橋さんが「いや、その前に、単体のショッピングカート利用世代もあるじゃないですか。彼らをどうするんですか」と、至極ごもっともな突っ込みがあったのですが、あえてここではそれを第ゼロ世代とします。

仰るとおり、ぼくも1999年にネットショップを起ち上げた時、ショッピングカートなるサービスはいろいろありましたし、サイトとカートを切り離して(というか、つないで)開業するというパターンは極普通にありました。

ありましたが、やはり運用するにも使いにくいし、第一、ページを遷移させることで消費者に不審がられることも、インターネットちゃらいうおかしなものに懐疑的な人が大勢いたその当時、当然そうでありながらも、そんなことにお構いなしてのはどうなのか、と考えて、実際に使ったことは一度もありません。

そういえばと思って、試しに、ショップギアさんのサイトを開いてみたら、Pink Floyd の”One of these days”のイントロのような寂しい風が吹いていました。

わ、カンタンに貼り付けられた。Mediumってスゴイな。(この「カンタン」というのが、本稿の主題でもあります)

実はこの、消費者であるネットユーザーが「どう感じるか」というところにショップ側(そして、そのショップを構築する仕事をする側)の気が回っているかどうか、というところはウェブでビジネスする際には非常に重要なポイントだと思っています。

ウェブは紙のポスターでも、一方的に画面を見せる機械装置でもなく、ユーザーが操作するインターフェイスなので、そのデバイス利用者がいかに心地よく使えるかどうかがキモです。

なので、ショップのコンテンツページと決済画面がシームレスに表現できているのは、(実はその当時においても)必須(だったの)です。

で、次、第一世代ですが、これはさきほど例に挙げたように、文字通り「ショッピングモール」です。

ショップ側とすれば、そこに「出店」すれば、モールが集客してくれる、つまり集客に時間と労力をかけなくてもいい(実際はそうではないのですが、そう思われている)、いわば駅前のデパート方式です。

消費者にすればネット上であちこち探しまわらなくても、そこに行けばたくさんショップがあって、買いたいモノが見つかる、という簡便さが受けました。

しかし、そこはそれ、駅前のデパートですから、販売手数料やモール内の広告料など、それ相応にあれやこれやと経費が嵩み、当初の目標の利益(売上ではなく、利益です、利益)を上げるにはなかなか骨が折れそうだと気づいたショップオーナーも現れ、さっさと損切りして退店するショップも出てくるわけです。

そこで現れるのが第二世代の、個店型ネットショップ構築ASPです。ASPというのは、「これ使って自分で作ってね」という、いわばキットです。ここでは、「ネットショップ構築キット」ですね。

日本で言えば、MakeShopカラーミーおちゃのこネット、などがそれですね。これらのサービスは、ショップサイトを開設するためのありとあらゆる機能が満載で、サーバごとレンタルできるようになっています。

このASPの大きな特徴は、モールを形成しないので、モールとしての集客をASP提供側はしない、という点です。つまり、自分で集客する。

どうやって?

例えば、GoogleやYahooのような検索サイトからキーワードを頼りに消費者を誘導するリスティング広告を利用するのは、だれでも一度はやったことがあるんじゃないでしょうか。

そうこうしてるうちに(このへん、時系列的に前後がおかしいかもしれませんが、そのまま進んでください)、mixiが広まり始め、Twitterが上陸し、その亜種もにょきにょき生まれ、へ〜と言ってるうちにFacebookが乗り込んできたわけで。

ぼくはこの頃、あるネットショップ構築ASPに関わっていたのですが、こうしたソーシャルメディアの登場を心から喜んだ一人でした。なぜなら、個店型ネットショップにとって、ソーシャルメディア上での情報交換が、いわゆる「お金に糸目をつけない広告」よりもリアルな説得力を発揮し顧客獲得に与する、と思ったからです。しかも、(ほぼ)無料ですし。

ついでに、そのソーシャルメディア上でネットショップがどんどん開設され、ネットユーザーがもっと自由にショッピング情報を共有・交換し、クチコミのパワーで、まっとうなショップがまっとうに評価されて、まっとうにビジネスになる、そういう世界を夢見ていました。

当時、それをマジで検討したソーシャルメディアもあるにはあったのですが、しかし、それは実現しませんでした。ま、いろいろ事情があるのですよね。世の中には。

ま、それはそれとして、ここまではどちらかというと正業としてネット通販を営む利用者層がそのメインである印象が強いのですが、ここへ来て、ネット通販そのものが、もっとカジュアルになってきます。

要するに、だれでも、もっと簡単に、あっという間にネットショップを開業できる。いや、もはや、「開業」などという大げさなことではなく、「ちょっと、やってみたの」的ノリで、ネット上でモノやコトを売ってしまう。そうした簡易さを何より前に押し出した、ショップ構築サービスがあります。これを、第三世代とします(勝手に)。

例えば、BASESTORESなんかがそうですし、フリーマーケットのメルカリFrilなどもそうですね。

こうしたサービスの大きな特徴は、とにかくカンタンにショップが出来る。「たった3ステップで」「ものの2分で」とアピールされていますが、「まさか」と思って実際にアカウントを取ってみたところ、ホントにあっという間にできてしまい、腰を抜かしました。

ちなみに、これがそれで、『コワーキングマガジン』を販売しています

そして、初期費用、出店料、販売手数料のたぐいが一切ありません。これがオドロかなくてどうします、あなた?

さらに、BASEやSTORESのように、クレジットカード決済が最初から実装されている点は、絶対に見逃せません。

というのも、実際にショップ運営してみると判りますが、カード決済ができるかできないかは消費者にとって非常に大きな要素で、しかし、個別に決済会社と契約する手続きも結構煩雑なものなのです。

それが、ノー審査でショップを開いた瞬間からカード決済が使える、というのですから、第二世代に関わった身としてはかなりのオドロキでした。オドロイてばかり。

次に、これは今後のネットショップ運営でかなり大きなウェイトを占めるとみられることですが、モバイル対応がしっかりできているということです。

いまや、ネットユーザーの大半がスマホ経由であり、ネットショップもその流れが徐々に主流になりつつあります。で、この第三世代は、明らかにモバイルの方に軸を置いた展開をしている、そう見えます。

そのためもあってでしょうが、機能的には相当絞りこまれています。なので、うまく利用できないショップもあろうかと思いますが、とりあえずチャッチャと店出したい、という方にはうってつけです。

ということで、いろいろ調べてて、日本のネットショップ業界の進歩に、素直にスゴイなぁと感心しているところです。

もちろん、ここがゴールではなく、ここから次世代型のネットショップが生まれてくることは必至でしょう。それは、もしかしたら、ネットだけに収まるのではない、新しい切り口がモノを言うのかもしれません。

しかし、ここへ来て自分がまさか、またもやネットショップ構築関係に関わることになろうとは夢にも思ってなかったのですが、ぼく個人としては、いわゆる昔取った篠塚をぶんぶん振り回して、プロジェクトに貢献したいと思っています。

毎度のごとく、全然まとまってませんが、ここで筆を置きます。ただ、このテーマは継続的に書いていきたいと思っていますので、その節はまた読んでやってくださいまし。かしこ。

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ito tomio
cahootz

コワーキング・プロデューサー。メディア企画、執筆、翻訳、編集。2010年、日本で最初のコワーキングスペース「カフーツ」を神戸に開設。2012年、経産省認可法人コワーキング協同組合設立、代表理事就任。2014年、コワーキングマガジン発行。2016年、コワーキングツアー開始。訳書に『グレイトフルデッドのビジネスレッスン』他