Beyond the Coworking〜これからのコワーキングを神戸で考える(序)

久しぶりのイベント準備におおわらわ

ito tomio
cahootz
7 min readMay 12, 2017

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Photo by Joshua Earle

今日のブログはまんま告知、いや、告知の告知です。正式には来週します。

来る6月16日(金)〜18日(日)、神戸元町の「こうべまちづくり会館」でコワーキングを中核テーマとしたイベントを行います。

思い起こせば、2011年12月11日(日)、三宮貿易センタービルの最上階で日本初のコワーキング・イベント「コワーキング・フォーラム関西2011」を開催して以来、実に6年越しのイベント企画です。

その時のことは、このブログにも書いてありました(思い出した)。今読むと、ものすごく肩に力が入っていますけれど。写真が懐かしい。

この日は日本中から集まってくれて本当に驚きました。でも、このブログにも書いてる通り、まさにあのタイミングでこそできたイベントだったと思います。「コワーキングってなんじゃらほい」。そこからでしたから。

さて、それから6年。その間、フォーラム関西は2012年に大阪で、2013年に京都で開催し、それをいったんの区切りとしてそれ以降開催していません。ちなみに、東京でも2012年に「コワーキング・カンファレンス東京」が開始され、翌年、「コワーキング・アジア・カンファレンス東京2013」につながっていきます。

ただ、このへんまで来てぼくらを包んでいたのは、年に一回、どこか大きな都市でドカーンとお祭りをぶち上げるようなイベントは、どうもコワーキングらしくないな、という感覚でした。

そうではなくて、各地が各様に、小さくてもいいので思い思いに自分たちでコワーキングをテーマとしてイベントを開催する、土地柄が出るほうがいい、その際できれば近隣の都道府県のコワーキングともつながって合同で開催する、それを順番に主催していく、そういうイベントが同時多発的に日本中で開催されている、参加者は一年を通じてどこかのイベントに自由に参加できる、というようなやり方のほうが、コワーキングらしくていいんじゃないか。今で言う自律分散型ですね。

それは『コワーキングマガジン』を創刊した時、下北沢のB&Bさんで公開編集会議と銘打ってイベントをした際に、某C氏がいみじくもつぶやいた「そうか、もう、カンファレンスなんて要らないんだ…」という言葉に象徴されるように、もっとローカルなもの、スケールは小さくてもタイトなもの、かつ、継続的に伝承されていくものでいいのだという想いです。

それもあって、以後、積極的にこの種のイベントを企画しなくなりました。少なくとも、ぼくは、ですけど。

ですが、その後の6年間で、ご存知のように日本のコワーキングもずいぶん変わってきました。はっきり言えるのは、単にフリーランサーやスタートアップが仕事(人によっては「作業」と言いますけど、あの言葉、イヤですね)をするだけの場所ではなくなってきた、ということです。

いまや、コワーキングと◯◯(なにか)を掛け算することで、ローカルエコノミーを駆動するエンジンとなり、市民生活の拠点にもなり、あらゆる連携を実現するハブにもなり得る、いわばその地域の活動にさまざまな効果をもたらすインフラとなって来ています。

そうしたコワーキングの多様化は、とりわけ地方都市において、規模の大小こそあれ顕著です。それは、そこにそういうニーズがあることにほかならず、うまくやればコワーキングがちゃんと要求に応えられることも、昨年から続けているコワーキングツアーでおじゃまする全国各地のコワーキングで目のあたりにしているところであり、ツアーリポートでも(大幅に遅れつつも)書いていることです。

今回、会場となる「まちづくり会館」の、今後のさらなる有効活用のひとつのアイデアとしてコワーキングという言葉が浮かび上がってきたということで、ぼくのところにもヒアリングに来られました。その際に申し述べたのはそのことです。

つまり、「コワーキング」ひとつでは単にテナントの名前が変わっただけで終わってしまう、そうではなくてもっと複合的な発想と運用が必要であること、その複合的施設の中核にコワーキングを置くということ、でした。

そのことを図説にしたのが、先般のブログでも掲げましたこれです。

コワーキングを中核に、大きく8つの要素が多重に絡むことで、ローカルエコノミーに大きく貢献できると考えています。

てなことをべらべらしゃべってたら、「ほんじゃ、それをテーマにまずイベントやりませんか」と、相成りまして上記の日程でやることになった次第です。6年を経過して、コワーキングが次のフェーズに入ろうとしているまさに今、そういう趣旨で開催することは意義があると考えています。

この8つの要素を踏まえてテーマを絞り、いくつかのコマに分けてトークセッションやパネルディスカッションを行います。で、できれば、ただ話を聞くだけではつまらないので、参加者も発言する時間を設けて、さまざまな知見や情報、アイデアを共有する場にしたいと思っています。

まだ、正式なイベント名も決まっていません。コマ割りもいまからです。登壇者への交渉もはじまったばかり。準備時間が十分あるとは言えません。そのうえ、運営費用もありません(!)ので、急遽、クラウドファンディングをする、というバタバタな状況です。

ですが、有難いことにすでに10名以上がボランティア・スタッフとして名乗りを上げてくれ、昨日、最初の実行委員会を開きました。各自がさまざまな役割を担って、イベントの実現に協力してくれるのは大変心強いです。

6年前のブログでぼくは、

コワーキングは、決してブームではありません。生き方を、そして社会を変えるイノベーションです。そしてそれは、もう、そこにあって、始まっているのです。

と書いていました。それはいまもそうであり、社会を変えるイノベーションとして、コワーキングがあらゆる活動を多重的・多層的につなぎ合わせていくハブとなる、その時代のはじまりでもあります。

“Beyond the Coworking” コワーキングの向こうにあるものを神戸で考えてみたいと思います。

追って正式な告知をします。ぜひ、皆さん、このイベントにご参加ください。そして、そこであなたのコワーキングを見つけましょう。

ということで、最後までお読みいただき有難うございます。このブログは、ブログJelly Vol.71で書きました。

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他にも、「カフーツ式BlogMagazine」に書いていますので、よろしければチェックください。

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ito tomio
cahootz

コワーキング・プロデューサー。メディア企画、執筆、翻訳、編集。2010年、日本で最初のコワーキングスペース「カフーツ」を神戸に開設。2012年、経産省認可法人コワーキング協同組合設立、代表理事就任。2014年、コワーキングマガジン発行。2016年、コワーキングツアー開始。訳書に『グレイトフルデッドのビジネスレッスン』他