旅のはじまり|親友が暮らす小さな港町
いったいどんなまちで暮しているんだろう?
元気に働いているかな?
そんなことを考えながら、朝9時半に東京駅から新幹線に乗り込んだ。
向った先は、「石巻」。宮城県沿岸部に位置する、小さな港町を訪ねたのは、親友が石巻の近くで暮しはじめたことがきっかけだった。
自分のやりたいことと向き合い続けた友人は、社会人3年目を迎えるタイミングで、新たな仕事に就き、1年前に東京を離れることになった。
仙台に到着してから、車を走らせること1時間。待ち合わせ場所の石巻駅に到着し、友人に車の運転をバトンタッチ。石巻に引っ越す前、運転には自信がないと不安をこぼしていたはずなのに、道も覚えて普通に運転する姿がたくましかった。
「おいしいハンバーグ食べれるところあるから行こう」
ちょうどお腹が空いたころ、ランチにオススメの場所に連れていってくれた。ハンバーグって言っていたけど、お店の看板には明らかに『釜めし屋』って書いてある。
ハンバーグなのに、釜めし屋?
疑問が浮かんだまま店内に入ると、地元のお客さんで賑わっている。創業40年以上の老舗『まきいし』。2011年3月11日、東日本大震災で津波による被害を受けながらも、同年7月に営業再開。長年、地元の人たちに愛され続けている。
ご飯を食べた後、石巻のまちを歩いみることに。
居心地のいい、広々としたカフェ兼コワーキングスペースにたどり着いた。
「〇〇さん、こんにちは!」
仕事でお世話になっている人がいたらしい。友人は駆け寄って挨拶していた。ここで過ごしてきた時間、つくってきた関係を垣間見た気がした。
その他にも、石巻の食材や素材を生かした雑貨が取り揃えられている『ASATTE』、店主やスタッフの方に親しみを感じる人気の割烹料理屋さん『いまむら』など。
友人と一緒に石巻を回るなかで、また行きたいお店ができて、そこから少しずつ人の輪が広がって。
そして、友人のつながりで、取材のきっかけも生まれた。
最初に石巻を訪ねてから、足を運んだのは3回くらい。
会うたびに、友人は変化しているように思う。
立ち止まって悩んだり、それでも仕事の話をしている姿がたくましく思えたり。そして、少しずつ自分の暮らす場所を好きになっている。
会うと決まって、一緒に働き方や生き方について悩んだり、くだらないことで爆笑したり…
結局話はまとまらないけれど、最後にはいつも「がんばろうね」って言ってる(気がする)。
わたしたちは、うまく道が開けないとき、自信がなくなって、焦ってしまうから。「がんばろうね」は、背のびせず焦らずそれでいいんだよなぁっていうエール。
きっとそんな友人が暮らす町だから、このまちのことを好きになったのかもしれない。