ブロックチェーンデータのモニタリングSaaS「catabira」のプライベートβ版をリリースしました

Naochika Hanamura
catabira-japan
Published in
7 min readJan 27, 2019

catabiraとは

catabiraとはブロックチェーンデータのモニタリング・分析プラットフォームです。catabiraの名前はブロックチェーンとかけて「鎖かたびら」から由来しています。

様々なブロックチェーンに対応する予定ですが、第一弾としてのリリースではEthereumに対応し、指定したブロック、トランザクション、アドレスの残高などをモニタリングする事ができます。

モニタリングの必要性

一般的なシステム運用においては、コンピュータ・リソースやネットワークのメトリクス収集や異常検知など、サービスの「死活監視」といったことが日常的に行われています。zabbixやprometheusといったものがメジャーなサービスとして存在しています。

ブロックチェーンのサービスにおいても、入出金状況の確認、アドレス残高の変化、異常な変動があればアラートをあげる、といった機能が必要とされています。

ブロックチェーンでは、データが透明化されており(匿名化技術などを利用していなければ)、トランザクション、アドレス残高などもデータとして取得可能です。catabiraではブロックチェーンからメトリクスを収集し、モニタリングサービスを展開しています。

エクスプローラーとの違い

ブロックチェーンエクスプローラーといったサービスは既にあり、EthereumにおいてはEtherscanなど多機能を持つサービスが存在しています。

エクスプローラーと異なるcatabiraの特徴は

  • アドレス単位でのモニタリング
  • 直感的なビジュアライズ
  • 複数レベル(Critical / Warning / Info)でのアラート機能

があり、これからご紹介します。

アドレス単位でのモニタリング

catabiraでは、モニタリングしたいアドレスを登録しておくと、そのアドレスに関してトランザクションや残高の状況を個別確認する事ができます。

アドレス登録画面

モニタリングの対象項目は入出金額・残高・トランザクション数などから選択でき、集計単位も時間やブロック高から選ぶ事ができます。

現在対応している項目と選択できる内容は以下になります。

  • Confirmation Level:ブロックの確定数です。β版ではPreliminary(1conf)のみが選べます
  • Metric(対象項目) :トランザクションまたは残高を選びます
  • Transaction Destination(入出金):トランザクションの場合は、入金額か出金額を選びます
  • Range Type(集計タイプ):ブロックのタイムスタンプ、ブロック高を選びます。
  • Range(集計単位):分またはブロック数を選びます
  • Aggregation(集計軸):合計(Sum)、平均(Avg)、数(Count)、最大値(Max)、最小値(Min)から選びます

また、スクリーンショット下部では、後述するアラート機能を発生させるための閾値を設定します。

  • Comparison Operator(閾値と比較するための演算子):「以上(≧)」・「以下(≦)」、「より大きい(>)」、「より小さい(<)」を選びます
  • Thresholds(閾値):閾値を設定します。Critical、Warning、Infoの順に優先的に適用されます。前述の演算子と組み合わせてこの閾値をすぎると後述するActionでWebhookにデータが送られたりSlack通知されます。
モニター設定画面

直感的なビジュアライズ

こちらは、ある取引所のホットウォレットとしてエクスプローラーに登録されているアドレスの100ブロック毎の残高変動をcatabiraで視覚化したものです。150,000Ether前後のラインで変動しています。

出金に備えるために、一定量の金額をホットウォレットに保有しておく必要があるとすれば、残高状況が下回っていないかは運用担当者として気になるポイントでしょう。catabiraでは簡単に視覚化する事ができます。

取引所のホットウォレット残高

同様に、日本でテレビCMを流して話題となった、年末から大ヒットを続けているDappsゲームのコントラクトの一つも視覚化してみましょう。4時間毎のトランザクション数をあらわしています。

ゲームの利用状況をトランザクションから把握する手がかりになりますし、他Dappsのトランザクションと比較する手がかりにもなるでしょう。

コントラクトに送られたトランザクション数

複数レベル(Critical / Warning / Info)でのアラート機能

「アドレス単位でのモニタリング」の節で設定画面を掲載しましたが、閾値条件に引っかかったら実行するアクションを定められます。

選択内容は以下になります。

  • Action Type(アクションの種類):SlackかWebhookを選べます
  • Slack Channel(Slackのチャンネル名):Slackアクションの場合は、通知するチャンネル名を設定します
  • Webhook URL:Webhookで設定するURL、またはSlackのIncomming WebhookのURLを設定します
  • Message(Option):このアラートの任意メモです
アラートアクションの設定画面

こちらは、残高が一定額より下回ったときのアラートを設定したときの、Slackの通知例です。

設定した閾値残高を下回った場合の金額を把握して通知してくれます。これにより、異常な入出金などに備える事ができ、暗号通貨・ブロックチェーンでサービス運営に役立ちます。

動画でチュートリアルもご覧いただけますので、こちらもあわせてご覧ください。

catabiraチュートリアル動画

登録されているデータの仕様

β版で現在利用できるデータは7,050,000ブロック(2019年1月12日 AM06:08頃)以降になっています。今後、全ての過去のデータも登録する予定です。

また、β版では速報アラートをあげる事を重視しているため、ブロックの確定数(confirmation数)は1に設定しています。reorgが起きてトランザクションの改ざんが行われた場合、データが必ずしも一致しない事があります。今後、多くのブロック確定を待ってデータ閲覧ができる選択肢を用意する計画です。

プライベートβ版登録の方法

catabira公式トップページにアクセスしてください。画面右のフォームからemailアドレスを登録していただければ、順次アクセス方法をご案内します。

プライベートβ期間中は無料でご利用いただけます。プライベートβ期間終了後の利用料金は追って公開いたします。

https://www.catabira.com/

catabira公式トップ画面

今後、様々なブロックチェーンをサポートし、ブロックチェーンデータのモニタリングに加えて分析など機能も追加していきます。

ブロックチェーンをビジネスで活用されている方はお気軽にcontact[@]catabira.comにコンタクトいただき、ぜひご意見をお聞かせください。

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