僕たちが目指す“AIをカルチャーにする”ということ

Haruna Tanaka
AppSocially Blog
Published in
14 min readAug 15, 2018

Product MarketingチームのHarunaです。この度かわちゃんこと川原洋佑がAppSociallyの東京チームにAIシナリオライターとして入社しました。これを機に、川原の紹介も兼ねて彼のAIシナリオライターとしての想いを語ってもらいました。「AIをカルチャーにする」というミッションを掲げる川原。そんな彼が考える“AIシナリオライティングの未来”とは。

写真: 「日本代表のエースのつもりで戦っていく」を表現した表情とのことです。

1. AIシナリオライターとはどんな仕事だと考えていますか?

シナリオライターの仕事は一言でいうと“いかにbotをhumanizeできるか”だと思います。言い換えると人がbotと会話しているときに“人と会話しているような錯覚”を作り出すことだと考えています。

様々なチャットボットの製品が生まれてきてはいますが、正直なところ今のチャットボットにはがっかりさせられた経験のほうが僕は多いです。

最初からBotを使わずに自分で検索したり、コールセンターに電話をかけたりしたほうが、結局早かったり、用件を一度で済ませられたのではないか、といった利便性に関する部分だけが結局感想として残ってしまう。好きな子とうまく仲良くなれなくて、自分への言い訳をあれこれとなぜか探しているような感覚です。

僕はAIやチャットボットに期待しすぎている人だと思います。ロボットと自然な会話ができてなんだか楽しかった、というような体験をユーザーに提供できない限り、ウェブサイト上や電話でも提供できるサービスをチャットボットを使って提供することは、現時点では体験としてはあまり価値がないと実は思っています。ですから、僕と同じように期待している人に満足してもらうために、“botをhumanizeする”ということが、僕のミッションなのだと考えています。

僕がよく見るチャットボットの課題の一例として、無機質すぎたり、不自然すぎたりするということが挙げられます。人と会話している体で作られているのに、全然会話になっていない。そこを変えるために僕の経験を活かせるのではないかと考えています。会話型UIを選ぶことに、自分が納得できる価値と意味を持たせたいと考えています。

質問への回答からは外れますが、僕らがチャットボットを通して実現したいことのひとつに“自分のポケットに自分専用のAIが入っている”という状態にする、というのがあります。現時点ではまさか自分のポケットの中に自分専用のAIがいるような日が来るとは多くの人が思っていないと思います。一般に、AIは大企業が高い費用をかけてカスタマイズして作られるものだからです。自分でbotの個性を選べる時代、個人単位でAIが買えるようになるということは、AIと人間が自然な関係で共生、協働しているような世界にすることだと考えています。僕たちにはそれが実現できるのだと信じていて、それを必要としている人もすでにたくさんいることがわかってきました。

2. シナリオライターとしての役割やご自身の強みは?

僕のシナリオライターとしての役割は、誰にでも作れる簡単なシナリオではないものを作ることだと考えています。

「このbot、かゆいところに手が届くなぁ」とか、「ちょっとしたことだけど気が利いているな」とかいった感覚の積み重ねが、結果的に優れたシナリオという印象を作ることは、僕のこれまでの経験でも明らかです。「使っているときには気づかなかったけど、このbotを真似して作ろうと思っても案外難しいなぁ」。そう思っていただくことができたなら、それは僕が僕の仕事を正しくできている証だと思います。

このような、シナリオを作るためには前職のコンシェルジュの経験を生かすことができていると考えています。

コンシェルジュの仕事に重要なのは、様々な外部要因を並行して考慮しながら会話や案件の進行方向を予測したり誘導したりし、案件完了までのストーリーを設計できるかどうかです。そして、円滑に会話を進めるための内外のコミュニケーションも大切です。

コンシェルジュに限らず、他の多くの業種、職種でも同じようなことを考えて仕事をされているとは思いますが、コンシェルジュは商品やサービスを作っているわけでも、売っているわけでもなく、コミュニケーション自体が仕事であり、それが全部なのです。コミュニケーションを繰り返してきた経験が、コミュニケーションを設計するという「AIシナリオライター」という未知の職業に活きているのだと思います。

また、シナリオライティングに活かすことができる自分の個性としては、状況を察知したり予測したりする習慣だとも考えています。僕には、幼い頃からこのような習慣があって、自然に繰り返していました。

例えば、小学校で悪ふざけのようなちょっとした遊びが始まり、面白がって徐々にみんながやり始めると「あ、これ以上やると先生に怒られるな」と先にフェードアウトしていたり、おじいちゃんが煙草を出したら火をつける前に灰皿を持っていくとか、そういったささいな行動を自分の予測に基づいて行い、結果を日々確認していました。大人になる過程で予測の“答え合わせ”をたくさんしてきたように思います。

今、シナリオライターとして自分の経験や感覚を頼りにしていますが、次はこれを体系化することにも取り組んでいきたいと考えています。「*(AIによる会話の中で)ここに、この一言が必要だ」ということができる理由を、経験則による感覚ではなく、外在化し体系化していくことで、より多くの場面でボットを活かすための優れたシナリオを作ることができるようになり、より多くの方にAIと共に生きて人生がよくなる経験をしてもらうことができると考えています。

3. シナリオライターとしてのこだわっている部分はありますか?

“Humanizeするということ= 無駄に見えない無駄な会話をあえていれる” — 川原

僕がシナリオライターとしてミッションに掲げることは、先ほども触れましたが“botのhumanizaiton”です。

シナリオライターの仕事で重要なことに、お客様の期待しうる会話の範囲、つまりスコープを決めるということと、無駄な会話をできるだけ省く、ということがあります。しかし、あえて無駄を入れることが重要になることもあります。僕はこれが、僕のミッションの一つだと考えています。

無駄と言ったのは、“機能として必要のない会話”を指します。無駄を省くことを仕事としているうえで、あえて“無駄”を入れようとしているのはやはりbotをhumanizeさせるというミッションのためです。そしてこの“無駄な会話”を無駄に見せない会話をつくることにこそ、僕の仕事があると考えています。“人間らしさ”を表現するには、この無駄こそが重要であると考えているのです。

4. 会社で掲げるミッションとは?

僕らが会社として掲げているミッションは“AIをカルチャーにすること”です。これは、僕のミッションでもあります。

AIをカルチャーにするということは、よくわかりにくいかもしれません。感覚的なところもありますが、わかりやすく言うと“多くの人のポケットにAIが入っている状態(つまり、身近にAIがあり利用できる状態)”だと思っています。

スマートフォンのような通信機器を個人単位で持つようになったように、個人専用のAIやボットをみんなが持っていることをイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。スマートフォン上なのか、体内に埋め込むチップの中なのかは時代によって変わるかもしれませんが、形はどうであれ、人々のパーソナルな生活や人生に自分専用のAIが入りこんでいて、それが他の人もしくは他の人のAIと会話している状態が僕らが目指す“AIがカルチャーになっている世界”だと考えています。

これを実現するには、僕だけの力でも足りないかもしれませんし、これまで以上に例えば3倍スピーディーに、3倍ハードに働くことが必要だと思いますが、そのように働きながら、また全力で人生を楽しむことも僕にとっては大切なことだと考えています。

僕はシナリオライターとしてチームにジョインしましたが、こういったこと全てを含めて、AppSociallyのチームとしてのカルチャーを育てていくことで、僕たちがよりよい世界だと考えている方向に進めていくことができるのではないかと考えています。そうすることで、製品・サービスの細部にもその文化が反映されていくと思っています。

今、僕は、”AIをカルチャーに”できた時に、そこに僕たちのカルチャーが反映されているようになることを、心から楽しみにしています。まずはチームのカルチャーを大切にすることが、“AIをカルチャーにする”という僕たちのミッションにとって欠かせないことだと思っていて、最近、高橋がチームやカルチャー作りのことを重視していることに強く共感しています。

5. AIシナリオライターという新しい職業の先駆者として感じることは?

先駆者というほどでもないかもしれませんが、新しい職業として重要なのだと考えています。

みなさんそれぞれが異なる経験や知識を持っていますから、十人十色のシナリオができます。“シナリオをライトする”という作業は言ってみれば創作活動や執筆活動に近いと思っていて、誰でもできることだと思っています。

複雑な会話の設計や人間味を出すということには練習を要しますが、シナリオを書くという作業自体には専門的な知識を要さないので基本的には誰でもできる。例えば主婦の方が夫との会話が面倒くさいと思い、それを自動化した、というシナリオも生まれうるわけで、僕としては様々なシナリオを見るのが楽しみなので、多くの人に様々なシナリオを書いてほしいです。

AppSociallyでも様々なbotを作っていく予定ですが、LINEのスタンプクリエーターのように多くの人がシナリオを書き、botやAIを好みで選べるような時代になったらそれは僕たちが目指すAIがカルチャーになっているという状態のひとつの形ではないかと思います。

6. AppSociallyで実現する理由は?

“AppSociallyのカルチャーがあるからこそ実現できることがある”

チャットボットを提供している会社はたくさんあるけれど、僕のやりたいこと、僕が面白いと思うことはAppSociallyでしかできないと思っています。それはAIをカルチャーにするということであったり、botをhumanizeするということです。先ほどhumanizationを“無駄”と表現したように、多くの場合チャットボットを提供する企業では、humanizationが最優先事項に入っていないのではないかと思います。僕はそれが重要だと考えているし、AppSociallyとしてもそこがユーザーの生活をもっとよくしたり、ロボットと人間の共存できる世界を実現する軸になると考えているんです。だから僕はAppSociallyでシナリオライターとしてAIをカルチャーにしていきたいと強く思っています。

7. AppSociallyでの今後の目標: 高橋雄介の片腕になるとは

今後の目標は高橋の片腕になることです。僕は、高橋がChatCenter Aiにより実現していきたいと語っている世界を実現する力になりたいと思っていますし、高橋が創ろうとしているカルチャーに非常に共感しています。

片腕になるということを身体的に表現すると、直接つながっていて、何かに触れば感触や温度が伝わるし、なにかを動かしたいと思ったら動かせる。高橋にとって、または会社の中で、そんな存在になりたいと思っています。

社内の関係も、製品のことも、市場のことも僕が腕として察知してそれを共有したり、または社内のカルチャーづくりや若手の育成など、高橋がやりたいことも僕がいることでより円滑に進み、高橋が安心してほかの仕事ができるような状態を作りたいと思っています。

一言でいえばチームにとって必要不可欠な存在になりたいです。チームのカルチャーの1つに僕自身がなることが目標です。

そして、日本代表のエースになったつもりで、AIをカルチャーにしていくことに尽力していたいと思ってます。

追伸: 川原がAppSociallyに転職した経緯

*ここで川原がAppSociallyで働くことになった経緯をご紹介します。

実は僕はもともとゆうちゃん(高橋)のクライアントだったんです。クライアントとして一緒に仕事をして以降、ずっと彼と仕事がしたいと思っていました。頭のいい人はたくさんいますけど、何においても理論的に僕を納得させてくれるんです。

僕にとって彼ほど納得性のある人はこれまでいませんでした。ライフスタイルにしても、生き方にしても憧れがありましたね。このことを話すと、彼もシリコンバレーに渡ってから同じように常識や慣習は異なるのに説得力のあることがたくさんあって、”すべてのものに”しっくりくる”カルチャーに巡り会えた”と思えた、と云っていました。

たくさんの人との会話を通して彼と共に働くことへの想いに気づいたんです。色々なところで彼の話をしている自分がいて。「あ~こんなに想ってたんだ」って。それでしばらく連絡を取っていなかったのですが思い切って連絡していました。

連絡するときには戸惑いもありましたよ。彼と話すことで自分は色々と学べるけど自分は何の価値を提供できるのだろうって。そんな不安もあったけど、やはり「後悔したくない」という思いが強かったですね。営業マン時代もそうだったのですが、安定した職を捨てミュージシャンに挑戦する決断をした理由は「後悔したくない」という想いだったと思います。

連絡を取ると、その晩AppSociallyのオフィシャル居酒屋Taproomでの食事が決まったんです。蛇足ですが、このオフィシャル居酒屋も一見ふざけていますけれど、すごく理にかなっていると思いました。オフィシャル居酒屋制度の話はまた別の機会に(笑)。そこでお互い近況報告を済ませると彼がが一言「今までのコンシェルジュとしての経験を今活かせてますか?」。当時コンシェルジュ事業がストップし、グループ内での別の事業に携わっていましたので、その質問に「あまり活かせていないです」と答えました。すると「じゃあ一緒に活かせる仕事しませんか。僕もずっと川原さんの謙虚でポジティブで洞察力のあるお仕事の仕方にいつも感銘を受けていました」と。そのオファーには「もちろんです!」と二つ返事で答えました。連絡した晩にAppSociallyへの入社が決まり、「あ~2018年で一番うれしい出来事が早々に来ちゃったな~」と思いました(笑)

写真: この写真の川原は寝ているのではなく、現在進行中の“ミーティングを人類の進化論に基づいて設計する”という実験の最中です。

絶賛採用中です!

いかがでしたか?「AIをカルチャーにする」をミッションとしてAIの民主化にとり組む川原の姿から弊社の目指す世界が少しでも皆様に伝われば幸いです。現在AppSocially株式会社では、部室で切磋琢磨しながら、弊社のAIを継続的に賢くするチャレンジをしたい「AIリサーチャー」「データサイエンティスト」(機械学習の専門家である必要はありません。データマイニング、統計学、多変量解析、数学、UXリサーチ、コピーライティング、消費者行動心理学等の専門家が活躍しています)、AIの利用をカルチャーとしていくミッションを持った「シナリオライター/エディター」、さらに、弊社の製品を一緒に成長させる「プロダクト・マネージャー」「プロダクト・デザイナー」として、個人としても企業としても共に成長して行ける仲間を募集しています。コンシェルジュとしての経験は問いませんが、体育会出身者は優遇します。上記のChatCenter、Email hello@chatcenter.io、もしくは、Wantedlyからお問い合わせください。

--

--