チームのために”コードを書かない”。天才プログラマー出身のエンジニアリング・マネジャーが語る組織論

世界で勝負するために私たちが大切にする”チームで戦うこと”

Haruna Tanaka
AppSocially Blog
9 min readApr 18, 2019

--

AppSociallyの”Hyper-Engineer”としてメンバーが強い信頼を寄せるのがかおるちゃんこと細川馨、弊社の国内外の開発チームを支え、統括するリーダーです。プロジェクトやチームのマネジメントはもちろんのこと、若手の育成にも注力してくれています。

英国マンチェスターのUMISTにおいてComputaionにおける博士号を取得後、IBM基礎研究所にジョインし、35年間ソフトウェア開発に携わってきたかおるちゃん。そんな経歴を持つ彼が次のステップに選んだのがAppSociallyです。

世界に通用するソフトウェアを日本から送り出したいと語ってくれたかおるちゃんは、”チームだからこそ到達できる場所がある”と言います。いつものように優しくも重みのある言葉で語ってくれたかおるちゃんに、なぜコードを書かないマネージャーという道を選択し、何を思ってAppSociallyに入社したのか、一個人として、そして開発リーダーとしての想いを聞いてきました。

かおるちゃんがリーダーとして目指す理想の開発チームとは?

経歴

英国のUniversity of Manchester Institute of Science and TechnologyにてComputaionの博士号を取得後、IBMに入社。開発・導入チームのリーダーやマネージャーとしてIBM Watson Health Audit Platform、ウェブ開発ツールの開発を牽引する傍、コンサルタントしてRational Team Concert、企業のAgile

Transformationの導入支援に携わる。定年退職後、IBMでの再雇用を経て、2018年にAppSocially KKに転職。人々のコミュニケーションをサポートするAIチャットボットの開発チームリーダーとして国内外の開発チームを牽引する。

目次

1人ではできないことがある

チームのためにコードを書かかないという選択

世界に通用するソフトウェアを

1人ではできないことがある

ーーこれまでの経歴、転職のきっかけを教えてください。

ずっとコンピューターサイエンスを勉強してきて、IBMで35年間ソフトウェア開発者として働いてきました。59歳で定年退職後、IBMに再雇用され、そこからコントラクターとして働いていたのですが、一昨年携わってきたプロジェクトが終わり、新しいプロジェクトを見つける時だったので、外に出てみようと思ったのが転職のきっかけですね。

ーーIBMを退職された後、フリーで働くという選択肢もあったと思います。それでも企業で働く選択をしたのはなぜですか?

仕事がしたいだけなら企業に入らずに自分で好きなことをするという選択肢もありました。でも会社に入り、色々な人と繋がっていたいと思ったんです。僕はイギリスで大学院に通っていたのですが、大学院を出て会社に入った時に初めて、一人では何もできないのだと気づきました。論文を書いている時は一人で全て完結してしまっていましたが、何か大きいものを生み出すにはチームが必要だと気付いたんですよね。自分が充実した人生を送るためにも、企業で働き色々な人と付き合っていく中で仕事がしたいなと思いましたね。

ーーそのために企業で働くことを選んだと。なぜAppSociallyを選んだのですか?

僕はずっと大きな組織で働いてきて、次の就職先としては大企業ではなくスタートアップで働きたいと思っていました。探していたのは、スタートアップの中でもプロセスが確立したところではなく、あらゆることに挑戦できる職場。

僕は昔からエネルギーのある若い人たちと新しいことをするのが好きだったんです。大企業だとプロセスが確立していて、開発のスピードもゆっくり。対して、スタートアップだと、「昨日この情報を見つけたので、これやってみませんか?」といった速さで物事が進みます。僕は色々な経験を積んでいる分、「あー、それ5、6年前にやってみてダメだったんだよなー」と思ってしまうことがあるのですが、そこをちょっと抑えて一緒にその挑戦を楽しんでみる。そうやっていく中で新しいことがどんどん起きていくんですよね。

よく考えてみると、非常勤講師として大学で講師をしていた頃から、同じことを教えることはなく、毎年授業内容を変えていました。内容を毎年変えるのは結構大変なので、本当は同じままの方がよかったのですが、、(笑)その時から同じことを繰り返すのではなく、新しいことに取り組むことが好きでしたね。

というのも、特にこの業界は古いものを捨てて新しいことにどんどん挑戦していかないと、それは停滞ではなく衰退に結びつきます。新しいことにスピーディーに挑戦していけるのはスタートアップの魅力ですよね。

また一般的なスタートアップは技術から始まった企業が多く、技術力は高いが、実際にお客様が使えるようなプロダクトにする力だったり、営業力に欠けるというのが特徴だと思います。その中でAppSociallyには様々な機会があり、色々な案件の話が入ってきます。一つのプログラムを書いているのではなく、あらゆるお客様のニーズに合わせて実装していけるのですごく面白いと思いました。

チームのためにコードを書かかないという選択

ーー前職ではチームを管轄するマネージャーとして10年以上、AppSociallyにおいてもチームのリーダーとして海外開発チームや、日本チームのサポートを兼任されています。長年コードを書いてきた中で、コードを書かないマネージャーという職を選んだ理由は何でしょう?

人生には2つのパスがあると思っています。例えばイチローや三浦和良のように歳を取っても現役で頑張っていく道と、チームを育てるために裏方に回るという道、この選択肢の中から僕は後者を選びました。

もちろんコードを書くことは好きですが、プログラミングの世界では一人で何かを作るには限界があります。ある程度のところまでは一人でできても、何か大きいものを作ろうと思ったら、チームで取り組まないといけない、プログラミングはチームスポーツだと思うんです。

チームでしか達成できないものを達成するためには、僕が裏方に回り、若い人達がコードの書きやすい環境を作っていこう、そう思いサポート役に回ることに決めました。

ーーこれまでチームを統括してきて、チームづくりにおいて重要なことは何だと思いますか?

チームにおいて大切なのは、お互い助け合うことだと思っています。僕の経験上、いいチームは自分の仕事の範囲外にも興味を示して、お互いを助け合う動きをします。

仕事はわからないことばかり。特に新しいことに取り組んでいる時には、優秀な人でも解けないような難問にぶつかります。そんな時、全く関係ない人がその問題を一緒に考えているだけで、先に進めるというケースを何度も見てきました。

解決策を提示しなくとも、そこにいて、一緒に考えてあげるだけで問題は解決するものです。僕がそこにいて話を聞いてあげるだけで、本人が自力で問題を解決できるというケースはたくさんありました。分野に関係なくお互いが自分の仕事の範囲を超えて助け合う、それをメンバー全員ができるようなチームを目指していますね。

世界に通用するソフトウェアを

ーー応募の際、”世界に通用するソフトウェアを作りたい” そう語ってくれました。これにはどんな想いがありますか?

世の中のソフトウェアはアメリカ中心のものが多いです。しかし、日本にも優秀な開発者が多くいます。僕は日本発信のソフトウェアを世界に送り出したいと昔からずっと思っていて。表には出ていないですが、前職で経験したソフトウェアも日本国外で使われているので、そういった意味では世界に通用するソフトウェアではあります。でも、そうではなくて、オープンソースで日本人の名前が開発者に入っているのがかっこいいと思うんです。その意味で、世界に通用するソフトウェアを日本から発信していきたい。そのために僕は若い人たちをサポートしていこうと思います。

やはり、僕は人を育てたいというか、育てることが面白いと思っています。人を育てることには”驚き”と”感動”があると思うんですよね。今までできなかったことができるようになったのを見ること、個人やチーム関係なく、そこには驚きと感動を感じます。そして期待した以上のことをしてくれたときにはそれは倍増します。僕はそんな人の成長を見るのが好きです。前職でも僕のチームから2人技術者を高いレベルへ僕が送ることができたのですが、その時はすごく嬉しかったですね。

僕はそのような人の成長を応援することによってチームに貢献していきたい。AppSociallyが大きくなるに連れてCTOや技術面のトップに立つ人が必要になってきます。そのCTOを私が育てられるようになりたいですね。

最後に

チームで大きい価値を生み出すために、あえてコードを書かないという道を選んだかおるちゃん。その根底には日本から世界に通用する技術者を発信したい、そんな想いがあると語ってくれました。今回のインタビューで語ってくれたように、チームだからこそ成し遂げられることがあるとAppSociallyは信じています。素晴らしい仲間たちとより遠くに行きたい、信頼できる仲間と新しいことに挑戦してみたい、という想いがある方はお気軽にご連絡ください。

P.S.

”天才プログラマー”とチーム内で呼ばれているかおるさんは弊社のランチリーダーでもあります。いつもチームのみんながお腹が空いた丁度いい頃を見計らってランチに誘ってくれます(オフィス周辺の中目黒、代官山、恵比寿は美味しいランチスポットがたくさんあります)。一緒にランチしたい方はWantedlyのこちらからお声掛けください!

ランチリーダー兼天才プログラマーのかおるちゃん

--

--