AIの会社として会社Tシャツに”アンチAI”を掲げた理由

Haruna Tanaka
AppSocially Blog
Published in
10 min readFeb 26, 2019

”Anti Artificial Intelligence” の3単語に込めた私たちのミッション

写真: モデル: Kotomi Hirayama @hirayamakotomi

この度AppSociallyでは新しいコーポレートTシャツを作成致しました。無地のTシャツに力強いサンセリフで掲げたのは”Anti Artificial Intelligence”。AIの製品を提供する会社として、なぜこのメッセージを掲げたのか。デザインをしてくださったアートディレクター/グラフィックデザイナーの山口要(やまぐち・かなめ)さんに話を伺いました。大切にしたのは“社会に対する反骨精神”と語る彼。その真の意味とは?

経歴

山口 要 / Kaname Yamaguchi

アートディレクター / グラフィックデザイナー

1979年生まれ。ビジュアルデザインを基軸に、ブランディング、CI、VI、グラフィックデザイン、映像企画、空間演出のアートディレクションなどを手掛ける。

目次

オーダー:「日常的に着れるかっこいいTシャツが欲しい」

不良っぽさが“かっこいいを”作る

AppSociallyの反骨精神 “アンチAI”

課題解決としてのデザイン

“アンチAI”から始まるコミュニケーション

最後に

オーダー:「日常的に着れるかっこいいTシャツが欲しい」

ーー今回のアンチAI Tシャツの作成はどのように始まったのでしょう?

少し前にAppSociallyのコーポレートTシャツのデザインを相談されました。その際はAppSociallyの製品であるChatCenter Aiのロゴ入りTシャツのイメージで会話が始まりました。ですが、単純にロゴを入れたTシャツを作ってもパジャマにしかならないのなら勿体ないと、改めて雄ちゃん(弊社代表)から受けたオーダーは“日常的に着れるかっこいいTシャツが欲しい”でした。その一言が今回のTシャツ作成の始まりです。

ーー”かっこいい”からどのようにして”アンチAI”たどり着いたのですか?

まずは“かっこいい”を定義することから始めましたね。依頼者が真に必要としているものを提供するには、まず相手と自分の共通言語を見つける必要があります。この作業こそがデザインの過程で最も時間のかかる作業ではないでしょうか。

例えば、今回のオーダーのように、“かっこいい”という言葉の解釈は人それぞれ異なります。依頼者の意味する“かっこいい”を見つけるために、お互いの認識をすり合わせなければならない。そのために自分と雄ちゃんが同じ認識を持てるまで、複数のデザインラフ提案と質問を続けましたね。

何度もやりとりしていく中で分かったのは、流行に沿っているという意味での“かっこいい”である事。日常的という言葉からも伺えるように、社員の人が普段着としても着られるような、ファション性の高いものという要素は今回のオーダーで求められているものだと解釈できました。

不良っぽさが“かっこいいを”作る

流行という観点から言えば、最近はハイブランドによるロゴTシャツや、シンプルなメッセージTシャツが流行しています。ただもう一つ追加すべき重要な”かっこいい”の要素であるのが“不良っぽさ”だと思ったのです。

ーー反社会的という意味での不良っぽさですか?

はい。反骨精神とも言い換えられるでしょうか。

僕は依頼されたものを形にすることはデザインだと思っていません。相手が求めるもの以上のものを相手が予想し得なかった別の形で提供してこそ、デザインとしての役割が果たせていると思っています。

近年、多くのハイブランドがシンプルなメッセージTシャツを出していますが、その中でも特にかっこいいものは、社会や世界に対して問題を定義するようなメッセージ性の高いものです。いわゆる不良っぽいメッセージをストレートに表現できているものこそが、“かっこいいTシャツ”だと思います。反骨的なメッセージ性が高いという意味での”かっこいい”をファッション的“かっこいい”に加えて、表現したかったですね。そこで選んだのが“アンチAI”です。

AppSociallyの反骨精神 “アンチAI”

ーーなぜ、”アンチAI”という言葉を選んだのでしょう?

AppSociallyのミッションやコアバリュー、そして雄ちゃんの人柄を考えた時、最も中核にあるものは“人のつながり”だと思いました。もちろんAppSociallyはAIの製品を提供し、AIやロボットに関する研究を積み重ねてきています。そしてAIが人類の進歩に大きく貢献するという信念の元、AIの開発に取り組んでいます。

しかし、彼らはAIの可能性を強く信じる一方で、それでも最後に残るのは人間と人間同士の繋がりであると強く信じています。これこそ、彼らが社会に掲げる反骨的メッセージです。生活を複雑にするだけのマシーン、世界から人間味を奪っていくようなロボットといったAIのイメージが浸透していく中、彼らは、“人間らしさ”、そして“人間同士の関係”の向上のためにAIがあると考えています。

僕たちの製品はチャットボットのツールでも、AIのエンジンでもありません。もちろんチャットボットを実装するための一連のツールやAIの技術はもっています。ただ目指しているのはそれではないと考えています。一番大事にしているのは“人と機械が一緒に共働するための製品”作りです。僕らにとってAIやチャットボットは自動化のためのツールではなく、人の生活がより良くなるために、または人の仕事を減らすことでよりよい仕事に集中できるために使うべきだと思っています。世界を、より幸せで、より健康で、より生産的で、より人と人のつながりを感じることのできる場所にしていくことが僕たちのミッションです。

ーYusuke Takahashiー

彼らが信じる人間のあたたかさを皮肉的に面白く表現することで、ファッション性とメッセージ性の強い“かっこいいTシャツ”を創りたかったのです。

写真:AppSociallyがスポンサーシッププログラムを提供する Interpro Cycling Academy チームオーナーのSebaastien Pilotte氏(左)と弊社代表高橋(右)

課題解決としてのデザイン

ーー今回のTシャツの制作に限らず、デザインの役割をどのように捉えていますか?

デザインとは、どのようなデザインであっても、人間を中心に考えた課題解決だと思っています。

ある会社(もしくは人)にとっては何かを加えてあげることが課題解決に繋がるかもしれないし、またある会社にとっては何かを減らしてあげることが課題解決に繋がるかもしれない。課題の解決方法はそれぞれですが、まずは依頼者が求めているものをコミュニケーションによって整理し、課題を明確にしてあげること。そして解決策を新たな形で提供してあげることこそデザインの役割だ思っています。

今回の文脈に置き換えると、“日常的に着られるかっこいいTシャツが欲しい”という課題を整理し、真に求められている“1年中誰もが着たいと思うファッション性の高いTシャツ”というオーダーを見つけた上で、“ファッション性の高さ”以外にも、新しい側面からの“かっこいい”、すなわち“反骨精神”という要素を加えて提供することにしました。

どんなデザインにおいても、どれだけ依頼者の課題を本質的に解決できているかという課題解決の度合いこそが、デザインの良し悪しを決定する基準だと考えています。

“アンチAI”から始まるコミュニケーション

ーーこのアンチAI Tシャツに期待する働きとは?

今回のオーダーであった“日常的に着てもらう”ということにプラスして、僕はこのTシャツが会話のきっかけになればと思っています。

“AIの会社であるのにアンチAI Tシャツを着ている”、そんな皮肉の効いた面白さが会話のきっかけになって、人と人とのコミュニケーションが広がっていく。これこそ、僕がプラスαで付け加えたい付加価値ですし、結果的にAppSociallyが掲げるコアバリューに繋がればいいなと思っています。このTシャツがきっかけとなって、人と人のつながりがより広く、深くなれば嬉しいですね。

最後に

AppSociallyが目指す“AIと人間の協働”、そして“人間同士のつながりが溢れた世界”を象徴するアンチAI Tシャツ。山口さんが語ったように、私達は世間一般が考える“自動化のためのツールとしてのAI”ではなく、自動化を超えて人間の生活を真に豊かにするものとしてAIを捉えています。AIがあることで、人間が人間にしかできないことに注力でき、より人間味の溢れた世界を実現できると信じてます。

「不良っぽく」、「反骨的である」とは、私たちの言葉で言えば「起業家的」であり、これをファッショナブルに表現した3語が“Anti Artificial Intelligence”です。少しでも私たちの想いに共感してくれた方、一緒にAIの新しい未来を創りませんか?

追伸

Anti Artificial IntelligenceTシャツを作成する以前に、山口さんがデザインを手がけた“ChatCenter Ai”のロゴTシャツ。サンセリフの書体で綴られた“ChatCenter”とは対照的に、オールドスタイルで寄り添うように描かれた“Ai”の文字には、AIをもっと身近なものに、より人に寄り添った優しいものだと感じて欲しいという想いが込められているとのことです。

弊社代表曰く、「要くんは、パジャマに甘んじない”コーポレートTシャツ”というリクエストから、会社としての立ち位置と、製品のブランド価値と、僕の起業家および科学者としての意図までを汲んでくれて最高の提案をしてくれました。弊社では、テクノロジーの限界をデザインの力で突破しようと日々取り組んでいます。こうした価値基準に共感する方、是非一緒に世界を変えましょう」とのことです。皆様からのご連絡お待ちしております!

https://www.wantedly.com/companies/chatcenter

追追伸

弊社が目指す“人間と共存するAI”を表現したAnti-AI Tシャツをこちらで販売<https://appsociallydesign.stores.jp/>しています。オフィスに訪問していただいた方には無償でプレゼントいたしますので、興味のある方はご連絡ください!

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