サッカーがもたらす教育効果
スポーツは一種の教育手法の一つである。スポーツが幼少期の子どもに与える影響は大きい。私の人格構成の8割は幼少期から15年続けていたサッカーによるものであると考えている。今回は、私が経験したサッカーからその人に与える教育効果について考えたい。サッカーがもたらす教育効果は、大きく分けて4つある。
・負けず嫌いのマインドセット
・チームの中での共生力
・苦痛や逆境に対する忍耐力
・スキルアップのための創意工夫力
人によって、他の影響も考えられるかもしれないが、概ね私がサッカーを通じて学んだことは上記の4点である。
負けず嫌いのマインドセット
負けず嫌いになるのは、スポーツに真剣に打ち込む以上、誰しもが自然と芽生る感情であろう。振り返ると私が対峙してきた相手は、対戦相手チームと同世代のプレーヤーであったように思う。大会などの勝負事の試合で対戦相手に負けてしまった時の悔しさは今でも忘れられない。そして、私は特に同世代のプレーヤーに対して意識を持っていた。今でも自分と同じ年齢の選手が活躍すると若干の悔しさが芽生える時もある。同い年の誰よりも上手くなりたい。クラブチームに入った友達に負けたくない。突発的に海外に行くことになってしまっても誰よりもサッカーが上手くなるように努力したい。同い年の誰よりも評価される選手になりたい。これらの強い思いを抱きながら、練習に励んでいた。今でも形は変われど、同じような気持ちを持っている。活躍している同世代に対しては、自然とライバル意識を持ってしまう自分がいる。常に誰にも負けたくないという感情を持ち続けられるのもサッカーの影響が大きい。
チームの中での共生力
共生力は、チームスポーツならではのものである。複数人数で同じ競技に打ち込み、最大限のパフォーマンスを出すのは極めて難しい。練習に対してやる気のある人、自分のスキルに自信がない人、ひたすら元気な人、静かな人、など様々なプレーヤーがそれぞれのポジションに配置され、対戦相手チームと試合をする。サッカーは11人だが、全員の能力を100%発揮するようなチーム作りは本当に難しい。各プレーヤーとどうすれば得点につなげることができるのか、どうすれば失点を防げるか、議論し、意見を交わすことは共生力を育むことにつながった。全員で最終的に勝利を収めるためにどう自分はチームメートに振る舞うべきか、自分はどう心がけてプレーをすればいいのかを考えるようになった。
苦痛や逆境に対する忍耐力
スポーツをしていると、95%はうまくいかないし、辛いことの方が多い。毎日練習し、自分の苦手な練習をしたり、何十キロも走ったり、筋トレなどで自分の体を痛めつけたりする。満を持して身につけたことを実践しようとしても、大半はうまくいかなかったり、試合に負けて落胆する。基本的には、この繰り返しである。しかし、残りの5%は最高の喜びが待っている。今まで勝てなかった相手に勝てるようになったり、自分の求めていた理想のプレーができるようになった時には、これまでにない喜びがある。その美味しさを知っているから耐えられる。忍耐力とは、一概に耐える力だけではない。耐えた先に見えてくる喜びや嬉しさを感じる瞬間を知っているか知らないかは忍耐力を育む上で重要である。
スキルアップへの創意工夫力
創意工夫力は、言い換えると自分で考える力のことである。アマチュアのプレーヤーであれば、プロ並みに知識を持ったコーチや監督がいるわけではない。限られた環境や設備の中で、自分でどんな練習をすれば時分の長所を伸ばすことができて、短所を補えるのか、工夫しなくてはならない。そのためには、まずは自分の実力を客観視し、どこが自分の得意なのか、どこが自分には足りていないのかを理解することから始まる。能動的に自分で自分を分析し、よりよくするために行動する。そのクセは、今の自分にも活きていると感じている。
まとめ
これまで4つの教育効果について述べてきた。これらは数学や国語などの座学が主体の学校教育の中では学ぶことができない。部活やクラブチームの仲間と一生懸命に一つのことを追求しようとするからこそ、上記に述べたような人間性・人格形成の部分が育まれる。そして、座学で学んだ知識と同等もしくはそれ以上に、スポーツで培った経験が、社会人になってから活きてくる。
