【1日の時間割】マネジャー30%・プレーヤー70%の失敗
10人規模程度のスタートアップでは、2人か3人の上に立つマネジャーでありながら、自らも手を動かしプロジェクトを進めるプレーヤーにもなることがよくある。マネジャーとプレーヤーの兼用で陥りやすいのは、プレーヤーに比重が高くなってしまうこと。私は過去にプレーヤーとしての比重が高くなってしまったことで、様々なことに失敗した。いわばマネジャー3, プレーヤー7の失敗である。日々の作業に追われ、本来の目的を失い、タスクの積み上げ過ぎで一つ一つの作業も精度が落ちるようになった。
スタートアップは、目の前に課題が山積みのようにある。今すぐに取り組まなければならないこと、突発的な事象に対して対処が必要だ。何より事業の成長のためにスピード感が大事である。しかし、スピードがあるからと言って、間違った方向性のまま突き進んでしまっては、むしろ遠回りになってしまう。一つ一つの作業の精度が落ちれば、いずれ致命的な欠陥につながる。マネジャーとプレーヤーの兼用で大事なのは、マネジャーの比重を7、プレーヤーとしては3くらいが適切だと考える。なぜ組織が小さく目の前に解決しなければならない課題が山積みなのにマネジャーの比重をプレーヤーよりも高く持っておくべきなのか。以下にその理由を述べていく。
- 事業を俯瞰して考える必要があるから
- 長期的な視点から物事を考えるから
- 突発的な何かにも対応出来る余力を持つ必要があるから
事業を俯瞰する
マネジャーの比重を高くする一番の理由は、事業を俯瞰して考える必要があるからだ。たとえ1人や2人の上に立つマネジャーであったとしても、マネジャーという役職に変わりはない。つまり、その事業ないし部署における行動指針の決定はマネジャーが下さなければならない。事業を成長させるためには、常に今行っているアクションに欠陥はないか、よりよくするためにはどのように改善すべきか、を考えなければならない。プレーヤーとして手を動かしていると、それらを考える余裕はない。目の前の作業に追われ、考えるのは後回しになってしまう。
長期的な視点を持つ
事業を俯瞰することも大事であるが、同時に長期的な視点を持つことも必要である。スタートアップである以上、5人から10人、10人から20人、20人から50人へと組織の規模は急速に拡大していかなければならない。その変化に対応するためには、常に規模が大きくなった時を想定し、長期的な目線から作業のルール化やプラン設計を組む必要がある。実際に組織の規模が大きくなれば、自らはプレーヤーとしての比重はかなり低くなっていく。いつまでもプレーヤーとして他の人に任せられない体制であることがそもそもの問題である。
突発的な何かにも対応出来る余力を持つ
スタートアップであれば、事業のピボットによって、現在進行形のプロジェクトに急激な変化が出たりする。そのような変化が起こった時、いつもよりも2倍、3倍増しで目の前に取り掛からなければならない作業が出たりする。短期的に、自分がプレーヤーとしてリソースを割くことができる体制を作っておく必要がある。仮にプレーヤーの比重が元々3であったとしたら、プレーヤーを9にするのに、6も比重を高くすることができる。一方で、仮にプレーヤーの比重が7が基本値であれば、2しか上げることができない。
マネジャーとして心掛けるべきこと
では、マネジャーの比重を7に保つために何をしなければならないのか。それは、自分がプレーヤーであったら、このようなアクションを行うことを誰でもできるような体制作りが必要である。つまりルール化の徹底をすることがマネジャーの比重を高くするためには極めて重要である。また、組織的にも規模が小さいため、なぜ自分はこの作業をやらないのか、という根拠を明確にし、部下や作業に従事してもらう人に納得するように説明しなければならない。
まとめ
マネジャーとプレーヤーの兼用は難しい。目の前に解決しなければいけない課題は沢山ある。しかし、そこで短期的なノルマばかりを達成していても意味がない。見るべき視点は事業の成功であり、事象の成長である。そのためには、マネジャーの比重を高くし、現在進行形のアクションに対して、常に懐疑的な視点を持ち続ける必要がある。