働き方に対する様々な価値観の許容
近年人々が仕事に対する考え方、取り組み方に変化が見られる。家からでも仕事を引き受けることのできるクラウドソーシングを始め、転職する人の増加、外国人の起用、働く時間の柔軟さ、など様々な働き方が注目される世の中へと変わりつつある。
私が勤めているスタートアップでも、20人規模の会社であるが、ルーマニア人、アメリカ人、ブラジル人、フィリピン人、イギリス人、台湾人、インドネシア人、そして日本人と国際色豊かな環境で働いている。
彼らの働く姿を見ていると、仕事には様々な取り組み方や考え方があると感じる。それらの取り組み方は、自分の価値観や性格に基づいている。
会社を成長させるんだ、という強い意気込みで毎日夜遅くまで仕事に励んでいる人、仕事とプライベートは両立させたいから定時に帰る人、仕事はあくまで生きるための手段であるから与えられた仕事だけ責任を持とうと考える人、などのタイプがいる。
一企業で仕事をしていれば、一つの偏ったタイプで集約される集団であることはおそらくない。会社の意向で自分とは不本意な形での労働時間や働き方を制限される場合はあるだろうが。
様々なタイプがいる中で共存し、プロジェクトや事業を成功させなければならない。
そのためには、自分の利益ばかりを考えていては、お互いのポリシーは相反しうまくいかない。例えば毎日成長のために一生懸命仕事をしている人は、毎日定時に上がってプライベートを両立させたい人に対し、仕事をお願いしたいのにお願いできない場合があると、もどかしい気持ちになる。反対にプライベートを両立させたい人は、もう帰ってしまうのかと白い目で見られるプレッシャーや圧力がある。このように両者間にはわだかまりが生まれる。他の例を考えてみよう。働き方として、ある人は自分は何時までにどれくらいの量をこなして、どのようにやるか、をきっちり決めて実行する人がいる一方で、ある人はあまり時間を明確に定めず、1つのタスクに対してこだわりを持って丁寧にやる人がいる。お互いがお互いに主張し合えば一向に分かち合うことはできない。分かち合うことができなければ結果的に、そのプロジェクトや事業、会社はうまくいかない。全員で力を最大限に発揮する環境こそが最大限の成果を生み出す。
最大限の成果を生み出すためには、お互いのポリシーを尊重する姿勢が大切だ。お互いの働き方、マインドセット、を理解した上で、プロジェクトのため、事業のため100%のパフォーマンスを生み出すにはどうしたら良いかを考えるべきである。自分の働き方を共有することも大事である。だが、その働き方を強要してはならない。なぜなら自分の働き方は、冒頭で述べた通り、自分の価値観や性格に基づいているため、自分の働き方の強要が結果的にその人のパフォーマンス低下につながることだってあるからだ。
では、どのように尊重した上で、お互いが最大限のパフォーマンスを発揮することができるか。それは、双方間の密なコミュニケーションが必要であると考える。外から見たその人の働き方とその人自身がどのような考えを持って、そのような働き方になっているのか、を理解する。その上で、自分の考えを伝える。お互いの働き方、考え方を知った上で、仕事で自分がこうしたい、その人にこうしてほしい時には、なぜこうしたいのか、こうしてほしいのかを理由とともに説明する。お互いに働き方を理解していれば、要望に対する理由を深く理解できるようになる。それによって、仕事を引き受けてくれたり、残業してくれたりするようになるし、反対に定時に帰れたり、自分のペースで今まで以上に仕事をできるようになったりする。お互いが協力し合い最大限のパフォーマンスを発揮する必要がある。
このように仕事に対する様々な価値観の人々が集まる状態がチームであり、グループであり、企業である。私たちは、お互いを尊重し合い、共存しなければ大事を成すことはできない。そのためには、双方向の価値観の理解が必要で、当たり前だが適度なコミュニケーションによって理解に努めることが大切である。
