[2015年5月] 写真共有アプリBeee.を断念してから1年。今だから振り返る
大学1年の12月あたりから、
友達との思い出を全て1つの場所に集める
というコンセプトである写真共有アプリ
「Beee.」の企画をしていました。
このサービスを通して、
過去のブログでも何度か取り上げている通り、
自分の成し遂げたいことである、
「人生に影響を与えられる」ことができればと思い企画に至りました。
残念ながら企画・製作を始めて約半年で、
断念してしまいました。
僕の力不足でこのような結果となってしまいましたが、
とても良い経験にもなりました。
上の画像は、「Beee.」のβ版みたいな感じで、
UIのデザインや精度はまだ全然洗練されていませんでしたが、
ユーザーテストができるくらいの機能は実装まではいきました。
先月、1年ぶりに当時「Beee.」の
エンジニアを担当してくださっていたイトケンさんと
焼肉を食べに行った際に、
様々な思いが鮮明に蘇ってきたので、
このタイミングで「Beee.」を振り返ろうと思います。
まず、写真共有アプリ「Beee.」とはどんなアプリであったのか
簡単に概要は以下です。
コンセプト:
仲間と思い出を瞬間共有し、記録できるアプリ特徴:
瞬間共有・ログ機能解決する課題:
・女子学生を中心にスマホで写真を撮っているが、写真を共有するのは、遊んだ後。
・旅行などで写真を多く撮った場合、全ての写真は共有されない。
ざっと書いてみたのですが、これだけだと全然伝わっていないと思うので、補足します。
イメージとしては友達と遊びに行った時に、
写真を「パシャ」っと撮った瞬間に、
友達のスマホにも写真が共有されているアプリです。
すぐに共有されることで、撮れた様子も気軽に確認できるし、
100枚以上撮ったとしても、後から共有する必要もありません。
また、撮った写真は全てみんなに共有されるので、
自分のかけがえのない思い出として残しておくことができます。
思い出を振り返ることで、個々人の人生をより豊かなものにできるのではないかという狙いからこのコンセプトにしました。
「Beee.」を使えば、
従来の写真を共有する工数より圧倒的に簡単です。
Beee.を断念した2つの理由
「Beee.」のコンセプトは把握してもらったと思います。
個人的には今でも「Beee.」を客観的に見ても、とても面白いコンセプトのアプリだなと思っています。
ですが、実際は1年前に断念しました。
サービス面やチーム面、資金面などもちろん不安もたくさんありましたが、断念を決めた理由は大きく分けて2点あります。
1. ユーザーが「Beee.」を使う障壁が高い
2. 想定ユーザーの使用頻度が少ない
1. ユーザーのBeee.を使う障壁が高い
もう一度この写真に戻りますが、これを見て一見Beee.の方が圧倒的に簡単に写真を共有できることは誰でもわかると思います。
しかし、この写真の工程以外に潜む重大な部分を僕たちのチームは見落としていました。
それは、この工程が実行されるには、
使ってくれるユーザーがいる前提であることです。
現在、写真共有のメジャーなツールとして「LINE」や「Facebook」です。
「LINE」や「Facebook」のメインはSNSであり、写真共有に特化していないところから、どうしても工程が多くなってしまったりするわけです。
そこに僕たちがプレイヤーとして参画できると考えていました。
確かに、僕らのサービスは、写真共有が楽になりました。
でも、僕らの場合はサービスを使ってもらう前に、
アプリをダウンロードする作業が必要になります。
想像してみるとよくわかりますが、
たとえ便利なアプリやサービスがあったとしても、今すでにあるアプリでその役割を果たすことができるのであれば、あえてダウンロードをしようとはしません。
「LINE」や「Facebook」はすでに何億人にも使われ、
友達で持っていない人はほとんどいません。
なので、すぐに友達同士で写真を共有すること自体は可能です。
Aさん:「よし、今度旅行行くからいっぱい写真とるねー!」
Bさん:「Beee.っていういいアプリあるから、
みんなでこのアプリをダウンロードしておこう!」
とはなかなかならないですよね。笑
また、写真を共有するには、複数人で共有する必要がありますから、複数人がダウンロードしなくてはならないのです。そこの障壁はめちゃめちゃ高いわけです。
高いUXやUIを求めようとするばかりを考えていたため、このようなユーザーのエントリーに対する部分であったり、どのようにこのサービスを広げていくのかということについて軽薄にしていたことがサービス断念につながった原因の1つです。
面白いアプリと流行るアプリは似て異なる部分であるなと思いました。
ただ面白ければApp Storeからダウンロードされて、みんなに使われると思うのは間違いで、そこに僕らがサービスを考えるにあたり甘さや経験の浅さを痛感しました。
2. 想定ユーザーの使用頻度が結果的に少なくなってしまった
2つ目の理由として、想定ユーザーの使用頻度が結果的に少なくなってしまったことが挙げられます。
どういうことかと言うと、みなさんはLINEやFacebook、Twitterは毎日使ってますよね。
僕らもただアプリがダウンロードされるだけでなく、
上記のサービスのような
“たくさん使われる。””たくさん見られる。”
そんなサービス構築を目指していました。
僕たちの中での最初の想定ユーザーは
「日常で写真を撮る人」でありました。
最近は、若い世代を中心にスマホのカメラでよく写真を撮りますよね?
「Beee.」にはアプリ内にカメラ機能をつけているので、全ての写真を「Beee.」で撮ってくれれば、写真を撮る行為は頻繁に行われるし、アクティブ率も上がると考えていました。
そして、常に身近に使われるサービスを夢見ていました。
では、毎回「Beee.」で写真を撮ってもらえるようにするにはどうしたらよいのかと考えました。
これは、できるだけ簡単に、気軽に
カメラを起動できれば必然的に撮ってくれます。
しかし、アプリ内にあるカメラである以上、
スマホに搭載されているカメラよりも気軽に写真を撮れるようにするには極めて困難であることが想定されました。
「Beee.」ではアプリを数時間前に起動していれば、自動的にカメラが起動される仕組みなどを考えました。
とにかく試行錯誤を繰り返しましたが、結局スマホに最初から備え付けのカメラよりも気軽にすることは難しいことでありました。
どんな写真も「Beee.」で撮ることを目指していましたが、
友達との共有のための写真を「Beee.」で撮ることに方向転換をせざる負えなかったのです。
つまり、ここで想定ユーザーが
「日常で写真を撮る人」から「写真を共有したい人」に変わりました。
では、友達との共有のための写真で
どんな時に「Beee.」をつかって共有してくれるでしょうか。
普通に近所の街に遊んだときは、写真を数枚しか撮りません。
その場の気軽さを求め、普通のカメラを使います。
また、数枚であればLINEで問題ありません。
じゃあ、いつなのか。
それは、旅行に行った時や何か特別な場所に行った時に使われる可能性が高くなるわけです。
そうなると、上記の場面って1週間にどれだけあるでしょうか。
1回あればよいほうだと思います。
結果的に、
想定ユーザーが「日常で写真を撮る人」から
「旅行で写真をたくさん撮る人」に限定されてしまったのです。
そのため、アクティブ率が下がってしまうことは
目に見えており、僕たちは非常に困ってしまいました。
これが二つ目の原因です。
Beee.断念を通して気づいたこと・得られたこと
そんなわけで「Beee.」は残念ながら、以上の2つの大きな理由によって断念という結末に終わってしまいました。
全ては僕の力不足と未熟さが原因だと思います。
しかし、「Beee.」を通して、
得られたことは多数あります。
サービスローンチを目指して、たくさんプレゼンしました。
アプリの画面遷移図を設計しました。
徹底的にユーザーを考えたUXを目指しました。
これらの中でも、特に2つの大きなことの気づきがありました。
・たくさんの人に自分の考えを伝え、それに対する意見を聞くこと
・自分が本当にやりたかったこと
1点目は、たくさんの人に自分の意見を伝えると新しい気づきがあるということです。
僕らのサービスはCo-edo有限ラボというスタートアップインキュベートにも参加させていただける機会をいただき、毎週月曜朝7時からそれぞれサービスのプレゼンを行い、投資家の方々からフィードバックをもらうことができました。
たくさん話すことで、今まで見えていなかった
たくさんの気づきを得られます。
2点目は、自分が本当にやりたいことが具体化されてきたということです。
「Beee.」というサービスは、まだまだ上記の2点を克服する努力をして、立ち向かっていくことはできました。
しかしながら、このまま改善を加えても、
自分のミッションでもある
「人生に影響を与えること」を達成できるのかと考えました。
そう考えた時に「Beee.」で与える影響って
どれほどのものであるか。
今まで共有された写真をみて、今後の人生を豊かにできるかもしれないけれど、とても間接的であるなと思いました。
自分はもっと「深く」「直接的」に人の人生に影響を与えたいのではないかなとこのサービスを通じて思ったのです。
こうして、高校の時から考えていた
今の“educa”の原型であることをもう一度やってみようと決心しました。
以上が、写真共有アプリ「Beee.」の総括なのですが、
実際のところこうして振り返っていると、
書きたいことがたくさん出てきて、全ては書ききれませんでした。笑
本当に自分の不甲斐なさと未熟さを痛感した半年間でありました。
ただ、このサービスを通して、一緒に参画してくれたチームのメンバーの方々やフィードバックを親身にしてくださった投資家の方、また支えてくださった皆さんに感謝したいです。
ありがとうございました。
そして、これから成果を出すことで、皆さんから頑張っているんだなと思っていただけるように精進していきます。
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Originally published at mohichunkeke.wordpress.com on May 10, 2015.