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21世紀の教育、世界最先端の教育システムを実現するThe International School of Brusselsの魅力 (Middle School編)

世界で2番目に高い学費のインター校が実施する最先端の教育カリキュラムと仕組み

Shunsuke Mori
chunkeke-nikki
Published in
9 min readJun 19, 2017

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センター試験の廃止、ICT活用による主体的な学び(アクティブラーニング)の実現。昨今、日本の教育システムも2020年の教育改革に向けて、ようやく21世紀の教育の形を実現に向けて本格的に動いている。インターネットの普及による情報社会を生きる私たちにとって、21世紀を生き抜くためには、情報を活かす力、すなわち「情報編集力」が必要となっている。また、16世紀の産業革命期から続いてきた大量生産・大量消費社会の、1を教わり、1を知るという学校の枠組みだけでなく、現代は無数にある情報の中から自分が必要とする情報を取り入れることが必要となる。つまり、今までは限られた情報を先生から受動的に教わっていればよかったが、今度は自分から”正しく”、”有効な”情報を能動的に取り入れなければならない。この「情報編集力」と「能動的な学び」の2つのことが21世紀の教育には必要だと考えている。

かれこれ9年前。私は、2008年8月から2009年6月まで、International School of Brussels(以下ISB)というベルギー・ブリュッセルに位置する、インターナショナルスクールに通っていた。それまでは、千葉の地元にある普通の公立中学校へ通学していた自分にとって、この転校は今になっても忘れられない出来事の一つである。そこで目にする全てが新鮮で、今までの世界とは何もかもが違った。社会人となった今、教育業界に身を置く立場として、当時の学校を振り返っても、教育システムはイノベーティブかつ画期的であった。まさに21世紀の理想的な教育環境であったため、一定の時間が経過してしまったが、今回はここにまとめたい。

まず、ISBの簡単な紹介をしたい。

以下の動画をみれば、どのようなキャンパスで、どのような教育環境下かわかる。

動画でもわかるように、開放的な空間で自由な学びを表現できる場の学校であった。具体的にこの学校でどこが先進的なのか、以下にまとめた。

  • 一人一台パソコンの支給
  • クラスがない=全生徒が違う時間割
  • Visual ArtsやRoboticsなど特殊な選択授業
  • 穴埋め問題のないテスト

1人1台のパソコンの支給

まず、私が中学2年生(Grade 8)から編入して、一番衝撃だったのは、パソコンが1人1台支給されることだった。授業中のみとか期間限定とかではなく、支給されれば在学中は半永久的に自分のものとなる。転校前は我が家に1つのパソコンしかなかった私にとってそれは衝撃だった。パソコン支給によって、自分自身が身についたと思った点は2点。

  • ITリテラシーの向上とテクノロジーへの興味関心
  • 情報編集力の向上

パソコン支給によって、一番の効力はITリテラシーが上達したことだ。今となっては本当に恥ずかしい話だが、転校する前、パソコンにほとんど触れたことのなかった私は、Yahooメールのアカウント作成方法を知らず、中学の担任の先生が家にきて、セットアップしてもらうほどであった。しかし、パソコンが手に入るや否や、新しくできた友達からすぐにFacebookアカウントを作るように勧められ、Youtubeを見るようになり、夜になればSkypeで無料電話やチャットをする日々に変化した。異国の地でも日本のドラマや音楽なんかも全く問題なくパソコンから観ることができた。

一方学校生活でどのようにパソコンを教育ツールとして活用したかというとタッチパッドでノートを取ったり、レポートをBlack BoardというLMS(Learning Management System)で提出したり、調べ物をしたりと初めてインターネットの便利さと素晴らしさをパソコンを持つことで知ることができた。

特に鮮明に記憶に残っているのは、理科の授業で、「ベルギーに生息する生態系を写真に収め、分析をする」というレポート課題を課せられた時である。その際、プロセスや内容の指示は先生からは一切何もない。そのため、自分でどうしたらレポートの内容を集めればいいのかを考えなければならなかった。私は、ベルギーにいる鳥に着目して課題を進めた。まずは、ベルギーに生息する鳥をネットで調べ、放課後、その鳥を写真に収め、その生態系について観察・分析を行う。今思えば、かなり高度なことを中学2年生に課した課題であったように思える。まさにインターネットを活用した主体的な学びが実現されていると言える。

クラスがない=時間割が全員異なる

ISBには学級がない。日本の大学のように、全生徒が異なる時間割をもち、授業ごとに先生のいる教室へ移動する仕組みである。理由は、勉強ができる人は、特定の教科だけ飛び級ができる教育制度だったためである。逆に転入したばかりで英語が不慣れだったり、学習についていけない生徒は、一つ下の学年の授業を受けることも可能である。人によっては、理科は飛び級して、中二なのに中三と同じ授業を受けているのに、社会科は苦手だから中一と一緒、なんて生徒もいる。この制度は、自分のレベルにあった教育カリキュラムで学習をすることが可能である。

また、全員が異なる時間割を持っているため、次の授業や移動するための準備を個人で責任を持たなければならないことも自己管理能力向上につながっている。

Visual ArtsやRoboticsなど特殊な選択授業

更に、全生徒が異なる時間割であるからこそ実現できることとして、基本的な教科以外に選択授業を選ぶことができる。例えば、PhotoshopやIllustratorを学ぶことのできるVisual Artsやオーケストラミュージックや演劇ができるPerforming Arts、マインドストーム(LEGOロボット)を活用したプログラミング学習ができるRoboticsの授業など様々ある。この中から自分の興味関心のある授業を2つ選ぶことができる。これによって自分の好きなことの追求ができるし、単純なテストだけでは測れない定性的な学問に触れることで、Number Oneではなく、Only Oneを育む学習を実現している。

ドラマ授業のシラバスとテクノロジーを活用する授業のシラバス

穴埋めのないテスト

ベルギーのインター校では、穴埋めのテストは一つもない。特に社会科のテストでは日本であれば、年号や武将の名前、制度の名前など空欄を埋めるテストが主流であるが、ISBは違う。一つの問いが与えられて、それについてエッセイ形式で長文を書くテストである。例えば、Q1.「フランス革命はなぜ起きたのか。」のような問いがテスト用紙に記載されているだけだ。生徒は、その問いに対して、時代背景からそこに関わってくる人物を挙げていく。場面場面での人物や制度だけをピックアップするのではなく、その時代の全体感や文脈を理解していれば、多少人物を覚えていなくても点数が取れる仕組みである。もちろん満点を取るには、詳細に人物や時代の流れを記述する必要があるが、”前後の時代のつながりを捉えること”、がテスト設計で一番重要視されている。

まとめ

以上が、9年前私が中学2年生だった頃の教育システムとそのカリキュラムである。様々な教育システムとカリキュラムが、生徒に主体性と創造力を育むことのできる仕組みになっている。2017年は、さらなる先進的な教育が実施されていることが想定される。

https://www.isb.be/quick-links/news-archive/news-details/~post/how-isb-is-shaping-our-future-20170217

この先進的な取り組みを実現するには、教育システムの理解と教師の質が極めて重要になる。日本教育は2020年に向けて、1人1台のタブレットを持つことを文科省が掲げているが、それらを使いこなすためには、なぜタブレットを導入するべきなのか、どう使えば学びを最大化できるかを、教師、学校関係者、教育業界に精通する人々は理解しなければならない。ぜひ、ISBを一つのロールモデルとして参考になればと思っている。

また、次回はHigh Schoolを取り上げる。High Schoolでは、ISBは国際バカロレア(IB)の教育カリキュラムを採用している。それについても、21世紀の教育にふさわしいと思う点が多々あるので、紹介していきたい。

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Shunsuke Mori
chunkeke-nikki

Joyz Inc. Product Sales Manager/ Sophia Univ./givery Inc. Web Marketing and Sales/Rarejob CS&English counselor/EDUCA co-founder