Jリーグで活躍したサッカー選手がヨーロッパ挑戦に必要な3つのこと

Shunsuke Mori
chunkeke-nikki
Published in
6 min readJan 17, 2017

昨今、Jリーグで活躍したサッカー選手がドイツをはじめとする欧州のリーグへと移籍するケースが多く見られる。かつてヨーロッパへ行く前の本田や香川は日本代表候補選手に過ぎなかったが、今やエースを担う位置につけている。最近では、清武や原口など一つ下の世代も徐々に日本代表のエース候補として頭角を現している。このようにヨーロッパへ行けば自分の能力をひと回りもふた回りも向上できる環境である。しかし一方で、Jリーグで成績を残して海外へ行っても出戻りする選手も多くいるのも事実だ。

海外で活躍するためには、サッカー選手としての技術やプレースタイルがもちろん重要であるが、それと同等、場合によってはそれ以上に必要なことが3つあると考えている。それは、

  • 「語学力」
  • 「コミュニケーション能力」
  • 「多民族社会の中におけるエゴイズム」

である。今回は、これら3つがどのように海外サッカーでの成功に関わってくるかを述べていくことにする。

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語学力

まずプロのサッカー選手である以上、監督から信頼されスタメン起用することが必要である。監督から信頼されるということは、すなわちこの選手を「使ってみたい」「使いたい」と思わせなければならない。監督にとって使い易い存在でなければならない。そのためには、

監督の哲学と選手能力の合致、それから練習や試合で監督の指示を実行・実践できる能力の2つが求められる。

後者では、監督の意図や指示の意味を最低限汲み取ることのできる語学力が必要だ。私は、ベルギーの下部組織でプレー経験があるが、監督はフランス語のみしか話すことができなかった。日本語、英語しかわからない私には、試合中の指示は片言の英語を話すことのできる選手から伝言ゲームのように伝えてもらっていた。当初はスタメンで起用されていたが、リーグが進むにつれ監督の方針が徐々に変化することについていけなかった。結果、ベンチに座る機会も増えてしまった。特徴は違えど、同じくらいの能力を持った選手がいた時、監督がどちらを選ぶかといえば、監督がより使い易いと思う選手を起用する。あとは、スタメン起用で結果を残せるかどうかにかかってくる。起用してもらえるチャンスを増やすためには、最低限の語学力が必要だ。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、語学力とは切り離して考える必要がある。チームメートとどれだけ親しい関係になれるか。監督とどれだけ意思疎通を取ろうと努力できるか。これらがコミュニケーション能力である。香川のInstagramを見れば常にチームメートと一緒に写っている写真が見られる。Yahooニュースを見れば、本田が監督に自分の気持ちを直訴している。内田が怪我から復帰すればチームメート、サポーターが祝福する。長谷部や岡崎といった欧州で活躍する選手はみな愛されている。ここでいうコミュニケーション能力とは、ある意味日本人が日本人らしく振舞うのではなく、海外のノリに合わせることを指す。日本人の対人関係と海外の対人関係には物理的な距離感が違ったりする。まずは流れに身を任せてノリを合わせることも必要である。

多民族社会の中におけるエゴイズム

これが日本人にとって一番難しい点であると考えている。この点は文化的背景が影響してくるからである。文化的背景は小さい時から身体に染み付いているため、変化させることは容易ではない。日本は先進国であり恵まれている。そして、周りを見渡せば恵まれた日本人で囲まれている。単一民族国家の典型例と言える。

一方で、例えば欧州では、多民族国家である場合が多い。私がいたベルギーでは、アフリカからの移民、モロッコ系、フランス系、オランダ系、ドイツ系、など多くの民族が混合した国である。町を見渡せば民族によって服装も、態度も、そして経済的な部分も全く違う。お互いがお互いを認めている一方で、個人は個人として生きるために常に個人として気を張っている。気を抜けば窃盗や場合によっては身の危険もある。このような文化的背景の違いは、サッカーにでも現れる。

日本では、一人で黙々と隠れて練習をして、周りからあいつは裏で努力しているらしい、と噂が立つことが美徳だと考えられている。例えるなら、学校のテストで友達に勉強した?と聞いても「いや、全然」と答えるくせにテストでは100点を取ることが偉いという風潮がある。謙遜こそが美とあるようにエゴイズムを嫌う文化でもある。

一方で、海外ではもっとシンプルだ。そもそも、試合に出ることなんて確約されていない。だから、練習からアピールしなきゃならないし、結果を残した奴が偉い。サッカー選手にならなければ生活していくことができない人もいる。隠れて練習していたって、監督が試合で起用しなければ意味はない。むしろ、見えないところで練習していれば、お前はやる気がない、と思われてしまう可能性だってある。こうした中ではエゴイズムこそが生きる術となる。

日本の選手は一般的に技術力が高いと言われ、フィジカルが弱いと言われる。フィジカルの部分では体のつくりが日本人と海外とでの違いは否めないものの、エゴイズムが強い選手には最後の球際でなかなか負けない。岡崎や本田、原口はそうしたエゴイズムが見られる。

まとめ

このようにヨーロッパでの活躍に必要な3つのことを述べた。もちろんサッカー選手は、自分のプレースタイル(シュートやパス、ドリブルなど)がヨーロッパでバリューを発揮する上で大事なのは言うまでもない。ただ、Jから海外挑戦をする選手のほとんどは、特徴を持った選手であり、技術レベルは海外で活躍するのに申し分ないと考えている。しかし、海外で活躍するには、監督、チームメート、サポーターから愛され、かつ自分の意見を強く主張し続ける選手が評価されている。そのためには、「語学力」「コミュニケーション能力」「多民族社会におけるエゴイズム」が必要だ。

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Shunsuke Mori
chunkeke-nikki

Joyz Inc. Product Sales Manager/ Sophia Univ./givery Inc. Web Marketing and Sales/Rarejob CS&English counselor/EDUCA co-founder