アイルランドを襲ったハリケーン「オフィーリア」のコースが異常すぎてシステムで描ける限界を越えてしまう
2005年のハリケーン「Vince」以来の最も東に到達したケースに
一時期はカテゴリー3にまで成長し、アイルランドにまで到達したハリケーン「オフィーリア」が、あまりに珍しい経路をとったために、文字通りチャートの限界を越えてしまったという記事が Verge で紹介されていました。
通常ハリケーンはもちろん熱帯で発生し、カリブ海からメキシコ湾をえぐるようなコースを取ってアメリカ東海岸で衰退してゆきますので、これほどまでに東側の経路をとることがありません。
そのコースがあまりに想定外だったので、National Hurricane Center が提供する図の範囲から外れてしまったというのです。
このようにNHC の図はシステム上、東はグリニッジ線である経度0度、北は中緯度に余裕で入っている北緯60度までとなっているために、風速の確率を表した図がそこで切り取られてしまっています。
もちろんデータはこの先もあるのですが、システム上想定していなかった場所というわけですね。
NHCの201年のハリケーン総括ページにいたっては、イギリス・アイルランドが凡例で隠れています。普通はこのように西に動いてから北上してジェット気流の影響をうけて東に進むというコースをとるのですから、図の描き方が下手なのではなく、オフィーリアが異常過ぎるわけです。
そのオフィーリアのコースをプロットするとこのようになっています。生まれたのもかなり北側ですが、そのあとはまっすぐ北東に向かっているところがかなり珍しいといえます。
ちなみに、北緯50–55度に到達するハリケーンというのがいかに珍しいかを日本付近と比較すると、台風でいうならカムチャッカ半島にまで到達しているのに相当します。
アイルランドに到達した頃には熱帯低気圧に衰退していましたので、ありえないほどとまでは言いませんが、頻繁に見る現象ではありませんね。
アイルランドはこの嵐に備えるために通例24時間前に発令される Status Red の警報を48時間前に宣言し、厳戒態勢となりました。
ダブリン近郊のFastnet Rockにおいてはアイルランド史上最も強い 53m/秒の風も記録され、3人が倒れた木の下敷きになるなどして死亡したとのことです。
日本もまだ台風21号が接近中ですので、警戒を怠らないようにしなければいけません。