Civic Tech Global Relationship vol.2 Report 初の海外ゲスト参加!国境を越えて、地方と選挙、空き家について熱く語った1時間

Shota Onishi
Code for Japan
Published in
11 min readNov 6, 2018

Civic Tech Global Relationship vol.2 Report 初の海外ゲスト参加!国境を越えて、地方と選挙、空き家について熱く語った1時間

こんにちは!Code for Youthの大西です。この度有志数人で日本のシビックテックプレゼンス向上を目的に、Civic Tech Global Relationshipという活動を始めることになりました。今回はその活動の一環として先週土曜日の朝に開催したオンラインでのオープンミーティングがとても面白かったのでぜひシェアをしたいと思い、レポートを書かせていただくことにしました!まだまだ始めたばかりの活動なので出来上がっていない部分も多々ありますが、ぜひお時間があるときにお読みいただき、ご意見やご感想などをいただけますと幸いです!

このイベントは、世界のシビックテックについて知りたい方、日本の情報を世界にシェアしたい方、また日本のシビックテックの取り組みを知りたい海外の方などが毎週土曜日の朝にオンラインで集まり、1時間ほど海外のシビックテックに関する記事の解読やシビックテックに関するトピックについて議論をするオープンなイベントです。毎週Civic Tech Global RelationshipのFacebookページで開催告知をしているので、ぜひ参加されたい方はご気軽にご参加ください!言葉は基本的に海外の方が来られるときは英語、日本人だけの時は日本語でという風に柔軟にやっています。英語については、話せると海外の方とのディスカッションができるのでとてもいいのですが、日英話せる参加者が必ずいるので英語勉強中の方や英語話せないよという方でも大丈夫です!(ちなみに僕はあんまり話せないので助けてもらいながら参加しています笑)

今週のイベントは下記のようなアジェンダでした。

  • 海外のシビックテックコミュニティリーダーによる活動紹介
  • アメリカで開催されている選挙についてのディスカッション
  • 地方におけるシビックテックについてのディスカッション
  • イベント振り返り&今後の方針についてのディスカッション

最初の活動紹介は、Open STL代表を務めるMohithさんでした。Open STLは始まってからまだ2か月と比較的若いシビックテックコミュニティであり、大学生であるMohithさんは1年ほどシビックテック活動に取り組んでいるそうです。Open STLが取り組んでいる主なプロジェクトとしては、地方裁判所と市民の間のコミュニケーションを円滑に進めるためのツールであるYourSTLCourtsと、空き家情報に関するデータポータルであるSTL VACANCY, Vacancy building portalがあるそうです。

YourSTLCourt
STL VACANCY, Vacancy building portal

また、現在STL地域が抱えている最も大きな問題は空き家問題であり、Open STLはオープンデータの収集と整理が完了し、それを活用して市民が空き家を利用するためのサービス作り着手しているということでした。この部分については日本側からも、そもそもオープンなデータが十分に無いという現状を説明するなど、お互いの問題を共有する有意義な議論をすることができました。

そして、現在Open STLが抱えているコミュニティとしての問題点は、参加者の持続的なメンバーシップをどうやって高めるかという部分であり、またリーダーとして他のブリゲイドのように成長するにはどうすればいいかということを考えているということでした。僕より年下の大学生である彼がリーダーとして地域やコミュニティのために真剣に考え、悩んでいるという話は僕にとってとても刺激的であり、一緒に何かしたいという思いを強く持ちました。

OpenSTL代表のMohithさん

2人目の活動紹介はOpen MaineのリーダーであるNickさんによるCivic-tech in Maine でした。彼は過去2年ほど日本に都市計画分野での研究留学をしていたことから日本語を話すことができ、また日本文化に対する理解も深いので、日本と比較しながら活動を紹介してくれました。Maine州は人口が130万人の比較的小規模歴史ある州でありインターネット環境の整備や高齢化、公共交通機関の整備など地方問題を多く抱えているとのことでした。

Maine地区についての説明

またOpen Maineは市ではなく州を対象にしたシビックテックコミュニティとして一番初めに立ち上がった団体であり、活動範囲が大きいことから周辺にあるローカルコミュニティと連携して活動をしているそうです。

Open Maineは7年近く活動していることもあってハッカソンなどに閉じないユニークな取り組みが多く、ハードウェアを活用して図書館をハックする活動や200年の歴史を持つ建物を活用した新しい市民コミュニティと歴史ある市民コミュニティがコラボする場づくり、小さな島でのサマーキャンプの開催など様々な取り組みを行っているとのことでした。

歴史ある建物を活用した世代を超えた協働の場づくり

さらにそうした活動を通じて得た知見として、テクノロジーのみが問題解決なシェアされるべき知識ではない、デザインやコミュニティ開発などを積極的に活用して活動し、そうした知識をもっとシェアしていきたいということも話してくれました。

また、彼が語ってくれた、

これからの時代は地方からこそ新しいことが起こりシビックテックの先進的な取り組みが生まれてくる、だからMaineにある小さな島を”Civic Tech Island”としてシビックテックのメッカにしたい

という野望はとても熱く、また僕の故郷でありMaineと同じように地方の問題を多く抱える島根県でのシビックテックの世界観と非常に似ていることから、個人としてもCivic Tech Global Relationshipとして、そしてもぜひお互い高めあっていきたいという気持ちにさせられました。

Civic Island

また彼は日本に長くいたことから、行政の力が強い日本でなぜシビックテックコミュニティが80以上も立ち上がったのか、個々のコミュニティはどんな活動をしているのかなどについてとても強く関心を持ってくれたので、今後日本の情報発信も積極的に頑張ってきたいと改めて思いました。

Open Maine代表のNickさん

オープンディスカッションの最初の議題は、現在アメリカで行われているMidterm Electionについてでした。Maine州では一般的な1人の候補者に票を入れるBullet votingに対して、様々なジャンルごとに候補者を複数選ぶことができるRanked votingの仕組みを取り入れた新しい形の選挙が行われているそうです。この仕組みが取り入れた背景には、前回の選挙でトップの候補になった人が36%しか票を獲得していなかったのに結果トップになってしまったということがあるそうです。Ranking votingを導入する過程ではその地域で有力な政党から反発も起きたらしいですが、システムが導入された結果、小規模の候補者同士が連携をするなどのサードパーティーの動きが活発になっている上に、投票者への情報提供のため候補者側に資金提供者などについて記したレポートの提出が義務付けられるようになるなど、選挙のルールにも変化が起き始めているそうです。その他Maine州では選挙の透明性を高めるため下記のような取り組みも行われているとのことでした。

また、Open STLでも選挙に関する情報提供などの取り組みを行っているそうです。アメリカのシビックテックコミュニティの選挙に関する取り組みの熱量の高さは以前参加したBrigade Congressの時から感じていましたが、今日のディスカッションを通じて具体的にどのような取り組みがおこなわれれているのかについて知ることができ、とても勉強になりました。また、選挙に関してはアメリカ以外でも、先月台湾で行われたg0v summitや、日本で昨年から始まったCode for 選挙など、選挙×データの活動が活発に行われはじめているので、こうした交流の場を活用して国境を越えて様々な人がお互いに学びあいながら、世界中の選挙がもっと良くなっていくといいなと思いました。

オープンディスカッションの2つ目のテーマはシビックテック分野での地方の取り組みについてでした。Open MaineのNickさんからはMaine Islandという島で老朽化して機能が低下した海底の電力ケーブルの代わりにコミュニティの規模で使うことができる太陽光や風力発電の仕組みを島のコミュニティが中心になって構築しているという話や、Maine地区ではその他にも地方都市の課題解決に向けた取り組み廃棄物処理に関する課題解決など様々な活動が行われていることをシェアしていただきました。

またその他の地域の取り組みとしてはKatahdin地区でのコミュニティづくり、日本からは石巻地区での地域活性に関する取組などがシェアされて議論が行われ、国境関係なく「地方を良くしたいという思い」はみんな持っているのだなと、地方出身の僕は話を聞きながら勝手に感動していました。笑

今回の第2回イベントでは初めてアメリカからのゲストを迎え、空き家問題や地方の課題解決、選挙など日米に共通するトピックについて活発に情報のシェアや議論をすることができました。また今回特に印象に残ったのは、記事で読んだことがあるような各地での成功事例だけではなく、アメリカで活動している方が抱えている課題や成し遂げたい夢の話などのリアルな話を聞くことができたこと、またそうした話と日本の課題点や事例がつながり、日本の方が自分たちの話をシェアして議論が深まり、お互いに気づきが生まれるという時間があったということでした。記事などによる一方向的な情報の取得や短時間の立ち話ではなく、1時間という余裕のある時間の中で個々の話を深掘りしながら聞くという環境がこうした展開を生んだのかなと思い、改めてオンラインの場づくりの重要性に気づくことができました。

今回は事後アンケートの実施やオープンディスカッションなど、第1回になかったものが導入されました。また第2回終了後の話し合いでは運営方針の修正や新しい活動の開始など、新たな動きもはじまりました。まだまだ参加者の方からの意見やイベントの結果から修正をしてどんどんこの活動をより多くの方にとって、より学びのある場にしていきたいと思っていますので、今後ともぜひ皆さんと一緒に場づくりがしていければと思っております!

初の海外参加者を迎えた白熱の第2回が終わり少し力が抜けていますが、恐ろしいことにこのイベントは毎週開催されるので休む間もなく第3回にむけた準備を始めています笑

次回も前回と同じく土曜日の10時から開催し、今回できなかったg0vニュース関係のセッションをメインで行いたいと思っています!海外の情報を知りたい方、日本の情報を海外に向けた発信したい方、またシビックテックに興味があるよという方は、ぜひぜひ休みの日の朝活としてご気軽にこちらのイベントページからご参加ください!

では、みなさんと来週のイベントでお会いできることを楽しみにしています(^^♪(個人的にはグループの英語レベルがとても高いので一緒に英語の勉強をしてくれる人を大募集してます…笑)

Originally published at medium.com on November 6, 2018.

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