各地の Code for コミュニティは、Code for Japan の下部組織ではありません

Code for Japan と各地の活動の関係について。

先日、Code for Kanazawa の福島さんが、下記のエントリーを Civic Wave にあげていました。

最近立て続けに三回ほどCode for Kanazawaについて(おそらく多くの全国のCode for コミュニティについても)誤解されているのかなぁと感じたことがありましたので、一度、しっかり発信しておいた方が良いと思い、こうした記事を書かせて頂きました。

ということなのですが、大事なことなので、私の方でもしっかりと各地の Code for コミュニティと Code for Japan との関係を書いておきたいと思います。Code for Japan が支援を行う各地のCode for の事を、Code for America に合わせて「ブリゲイド」と呼んでいますが、各地のブリゲイドは2016年12月16日現在、40地域になっています。

詳しくは上記の福島さんの記事を是非読んでいただきたいのですが、そこに書かれている、

▶Code for KanazawaはCode for Japanではありません
▶Code for Japanがコントロールできるわけでもありません
▶地域のCode for コミュニティでも全国へスケールするモデルを作れます

という点全てに私も同意しますし、私も Code for Japan の活動を説明するときには、それぞれが別々の組織である点や、上下関係が無い点を強調するようにしています。

Code for Japan のブリゲイドのページ にはこの関係性について明示的に強調していなかったので、先日以下の一文を加えました。

※Code for Japan Brigade は、Code for Japan の下部組織ではありません。それぞれは独立した団体であり、Code for Japan が各地のコミュニティに指示を出すような関係ではありません。各地の課題を主体的に解決するコミュニティが Brigade であり、Code for Japan はその活動を支援し、ネットワークとして情報交換の機会を作るハブ的立場を取っています。

一旦ここで用語を整理しておくと、以下のようになります。

Code for Japan

「ともに考え、ともにつくる」を Code で支援するためのネットワークです。『「ともに考え、ともにつくる」をCodeで支援する』というコンセプトは、シビックテックを私達なりに解釈した言葉です。このコンセプトを普及啓発し、共感した人達のために、活動のきっかけに繋がるような機会や情報を提供するとともに、活動をする人々を繋げ、ハブとしても機能します。

Code for X(CfX)

各地で活動する Code for のグループをさします。Code for Kanazawa、Code for Aizu といった地域名が入った Code for 以外にも、 Code for Cat など、テーマに特化したグループもあります。Code for の活動をはじめることは誰でも可能で、Code for Japan に断りを入れる必要もありません。特にCode for Japanが活動を制約することもありません。

ただ、活動をしていることを Code for Japan に知らせてもらえれば、何かあったときにグループの事を紹介したり、Code for Japan から情報を送らせてもらうことができます。
Brigade 一覧のページから登録ができます。
Facebook に、CfXの参加者向けのグループもあります。

ブリゲイド(Brigade)

Code for X のうち、一定の条件を満たした組織に対して、一般社団法人コード・フォー・ジャパンが認定を行う、各地のパートナー組織です。パートナー向けには、活動の支援を行っています。(CfJのリソースの状況により支援内容は変化しますが。)記事執筆時点で40あります。先にかかれているように、一般社団法人コード・フォー・ジャパンとは独立した団体であり、上下関係はありません。

一般社団法人コード・フォージャパン

上記を運営する非営利法人です。社員がおり、定款に基づいて事業運営をしています。明示的に「一般社団法人」から書いた場合は、法人としての存在を指します。 筆者が代表理事を務めています。

なぜネットワーク型の組織なのか

さて、せっかくですので、なぜこのようなネットワーク型の組織になっているかについて、補足をさせていただきたいと思います。

伽藍ではなくバザール

シビックテックの活動は、オープンソースの文化に強い影響を受けています(参考:クレイシャーキー「インターネットが(いつの日か)政治を変える」)。私もよく、エリック・レイモンド師の「伽藍とバザール」を引用して説明するのですが、中央集権的な仕組み(伽藍)ではなく、自律的に活動が行われていくネットワーク(バザール)と価値の共有モデルが、次世代の自治には必要だという考え方です。

こういったところがオープンデータやオープンソース活用のインパクトに繋がっているわけですし、5374 などの普及にも繋がっているわけです。

各地の活動の主体性を重視するというのは、シビックテックを支援する組織である Code for Japan として当たり前の話ですし、地域課題を解決するのは、各地域であるというスタンスを取るのは自然なことです。

現場の活動が最も重要

地域の課題はそれぞれ別物であり、何か素敵なアイデアやシステムを考えて、それを実装すれば解決するような簡単なものではありません。複雑な地域課題に対峙した時には、ただのアイデアには価値はなく、主体的に動く人が価値を作るのです。色々な試行錯誤を行い、そこからのフィードバックを得て改善をしていく。その中で生まれる事業こそが地域に根付き、地域をより良い場所にしていきます。

他所からたまにくる人が何かしたところで、ちょっとしたヒントや気付き、足りないリソースのサポート、人をつなぐことくらいには役に立てるかもしれませんが、根本的な解決ができるとは思えません。あくまで、自分達で考え、自分達で動くことが重要です。私もいろんな地域のお手伝いには行きますが、大したことができているわけでもありません。

前述の記事で、「ぜひ各団体へ目を向けてみてください」と福島さんは書いています。私もそう思います。各団体の人と協働することが重要です。

で、 Code for Japan は結局何をしているの?

と、ここ まで読んで思った方もいるかと思います。Code for Japan は地域という現場を持ちませんが、主に以下の活動をしています。

1.ネットワーキング

地域のCode for の活動に指示を出すことはしていません。企業や自治体、中央官庁、メディアなどからいただく、「こういうプロジェクトあるんだけど、何か興味持ちそうなところない?」という問い合わせに対して各地の Code for を紹介したりしています。

また、各地のCode for からの相談に応じ、専門家を紹介したり、別のブリゲイドを紹介したりしています。

2.自治体のサポート

地域コミュニティの活動は主体的に行われるべきですが、自治体側のIT活用に関しては、Code for Japan 側でもサポートできることが多くあります。専門家人材を派遣しつつ、調達やアジャイル開発のコンサルティングを行ったり、オープンデータの推進についてアドバイスを行なっています。

フェローシップという人材紹介&コンサルティングサービスは、自治体の中で働く専門性の高い職員を自治体むけに紹介し、活動を Code for Japan がフォローする取り組みです。これまで福島県浪江町に3名の人材を派遣し、3年に渡りサポートを続けています。また、筆者自身が、神戸市のチーフ・イノベーション・オフィサーとして、非常勤の形でお手伝いをしています。

また、コーポレートフェローシップという、企業と自治体の間をつなぐ事業を行っています。企業の従業員が、自治体の中で3ヶ月間、週1〜2日のペースで自治体職員として勤務する、人材育成プログラムです。「ともに働く」ことから始まる新しい共創関係を作ることを目的としており、これまで10自治体に19名を派遣しています。

この活動が、地域を優先することと矛盾しているのではないか?という声が時々上がりますが、一般社団法人コード・フォー・ジャパンとしては矛盾は感じていません。地域にブリゲイドがある場合は連携しながら動き、うまく地域のコミュニティと自治体が繋がれるような仕掛けを考えるといったことを行っています。ブリゲイドが、フェローを受け入れたくないという場合は派遣を行いませんし、今まで派遣しているところのブリゲイドでは、派遣について好意的な評価を貰っています。

ネットワークとしての活動とは、別の事業して考えています。

3.シビックテックの広報活動

シビックテックというものを国内で普及啓発するため、Civic Tech Live! という月次のイベントや、Code for Japan Summit という年次のイベント、各地での講演活動や記事執筆などを行っています。

今年のサミットは横浜市金沢区の総合庁舎にて行い、3日間の延べ人数で約650人にお越し頂きました。

4.ロビイング活動

政府の委員会などに出席し、行政のICT活用やオープンイノベーションについて、中央政府や自治体に整備して欲しい仕組みなどについて提案をしています。

今年度は、総務省の地域IoT実装推進タスクフォースや、ICT街づくり推進会議 スマートシティ検討ワーキンググループの委員としてデータ活用や地域コミュニティ連携についての提案を行ったり、 内閣官房のオープンデータ伝道師や、総務省の地域情報化アドバイザーとして自治体を訪れてオープンデータの推進についてお話をした他、ブリゲイドのメンバーを委員会に推薦することも行っています。

是非地域のCode for に目を向けてください

というわけで、長くなってしまいましたが、福島さんのエントリをきっかけに、Code for Japan と各地の活動との関係について書かせて頂きました。ブリゲイドとの関係のありかたや、ネットワークとして果たすべき機能などについては、今も議論が続いていますし、今後も色々と変わっていく可能性はあります。

しかし、シビックテックは、市民が主体的に行政と関わるための概念である以上、中央集権型の活動を目指すことはありません。

各地の Code for の活動にはとても多様性があります。法人化しているところもあるし、あえて法人化をせずに活動をしているところもあります。代表を固定せずに、ゆるやかな連携に徹しているところもありますし、学生が主体となって活動しているところもあります。活動内容も様々ですので、是非地域の活動に目を向けてみていただければと思います。きっと楽しい仲間ができると思います。

Happy Civic Hacking!