Shota Onishi
Code for Japan
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14 min readJun 20, 2017

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Civic Tech Live!6月号「 テクノロジーに何ができる?身近なゴミから考える私と地域の関わり方」参加レポート

はじめに

北陸先端科学技術大学院大学修士課程2年生の大西です。6月16日(金)に霞ヶ関SENQで開催されたCivic Tech Live!に参加してきました!参加したのは今回で2回目ですが、毎回実践者の方やテーマに関心を持つ参加者の方の普段聞けない貴重なお話を拝聴することができ、多くの学びがあります(僕は参加するたびに石川から来ててすごいねと言われて嬉しいのがモチベーションになってたりします笑)。今回参加し、聞いてるだけでなくこのイベントやシビックテックを盛り上げるために僕も何かできないかと考え、参加レポートを書くことにしました。文章力が無いため読みづらいかと思いますが概要はつかめると思いますので、当日参加していなかった方々もぜひ記事を読んでみてください!

概要

  1. Code for Japan メンバー挨拶(池田達哉さん、関治之さん)
  2. 一般社団法人Code for Kanazawa代表 福島さんご登壇
  3. 株式会社ピリカ 高橋さんご登壇
  4. 気になるテーマに分かれて話し合うタイム!
  5. まとめ

Code for Japan メンバー挨拶(池田さん、関さん)

まずは今回のイベントの主催者である池田さんから、挨拶とCivic Tech Live!(CTL)をはじめた背景、今回のイベントについての紹介がありました。CTLは昨年から定期的に開催しているイベントですが今回は初めて参加する方が半分以上と、フレッシュな顔が多い印象でした。

CTLは身近な課題を自分たちで解決していくムーブメントであり、今回はゴミがテーマであるとのことでした。参加メンバーも学生さんや技術者の方、転職活動中の方など様々で、どんな会になるのか非常に楽しみです!

CfJの理念について話されている関さん。(実は僕も写真に写ってます笑)

関さんは、現在全国40地域でシビックテックコミュニティが活動しているというお話や、自身が代表を務めるCode for Japan(CfJ)の立場は国内のシビックテックコミュニティのトップではなく情報を繋げることやテクノロジー活用の支援であることを紹介されました。また先日行われた「不安な個人、立ちすくむ国家」について参加者が話し合うイベントの紹介を通して、

  • 公共サービスにおいて市民がお客さんになってはいけない
  • 経済産業省からこれまでの資料とは異なる視点からの言及がされ、国としての姿勢や経産省の役割に関する意見で炎上した
  • CfJは文句を言うのではなく、自分たちで何ができるか考えるためにワークショップを開催した
  • 開催した結果、興味がある人と批判する人が一緒に話し合う場ができた

といった活動への思いを拝聴することができました。

一般社団法人Code for Kanazawa 福島健一郎さんご登壇

テーマ:みんなで創るごみ収集アプリ”5374.jp”

はじめに登壇されたCode for Kanazawa(CfK)代表福島さんは、活動を始めた背景やCode for Kanazawaが製作したゴミ分別支援アプリである5374.jpの作成秘話を話されていました。

CfKを始めた背景と始めた当時

活動を始めたのは、自治体の活動について文句を言うくらいなら自分たちでやろうという思いであったそうです。また活動のモデルになったのはCode for America(CfA)であり、テクノロジーを活用してサービスを作ることで地域課題をダイレクトに解決する活動に感銘を受けたそうです。

立ち上げ当時の写真を紹介する福島さん。貴重なお話です!

また、現在は100人を超えるCfKも立ち上げ当時は9人であり、その活動内容の珍しさから新聞などのメディアに取り上げられることは多かったそうですが、数ヶ月新しいメンバーが入ってこなかったという隠れた苦労も聞くことができました。そしてその理由をメンバー内で話し合った結果、活動内容や意義が伝わっていないのではないかという考えに至り、形になるものを作ろうということで5374.jpを作ったそうです。

5374.jp作成秘話と今後について

どんなアプリを作るか話し合った際に、子供の遊び道具に関するアイデアなども出たらしいですが、

  • ごみ収集はステークホルダーが少なく、アプリ開発による利害関係が生まれない
  • 若い人や引っ越したばかりの人はゴミ捨てをする際にいつ捨てればいいかわからない
  • 既存のゴミ分別アプリケーションが使いにくい

といったメンバー内の問題意識から最終的に5374,jpの原案が生まれたそうです。また、上からよく捨てる順に並んでいることや、見やすいようにキツイ色にしたこと、使いやすいようにシンプルな機能にしたといった工夫を聞くことができました。

また、オープンソース化した際に真っ先に活用したのが沖縄県の2つの市自治体(豊見城市、石垣市)だったというお話は、ITを使って遠い地域同士がつながることができるというシビックテックの力を感じました。沖縄では最近もプログラミング言語Scratchを活用してゴミ分別クイズが作られるなど、盛んにシビックテックが進められているそうです。またシビックテックの良さとして、企業がトップダウンにソリューションを作るのではなく、それぞれの地域に暮らす人が自発的に活動して広まっているところだというお話にはとても共感しました。福島さん曰く、データを入れ替えるかコードを少し書き換えるだけで使えるという手軽さが、シビックテックが広まった要因の1つだそうです。

そして5374.jpは現在、各地の大学や高校の授業で利用されていたり、先月push通知機能や保守サービスの付いた有償版がローンチされるなど、形を変えながら広範囲に広まっているそうです。

講演を聞いて

シビックテックの考え方は素晴らしいですが、人に伝えて共感してもらうのはとても難しいと思います。CfKさんは実際にサービスを作ることでシビックテックを全国に広めたということが素晴らしく、またその結果様々な形で全国に広まったことがシビックテックの良さを体現しているなど感じました。また、そうした成功の裏に隠された苦労などを聞くことができたことも大きな学びでした。

株式会社ピリカ 高橋直也さんご登壇

テーマ:「ポイ捨てごみ問題の可視化でできること」

2人目にご登壇された株式会社ピリカでエンジニアとして働いておられる高橋さんは、会社の理念や活動内容、そして今後の目標についてお話をされました。

ゴミ問題の現状

ピリカさんはゴミのポイ捨て問題に取り組んでおられ、その背景には過去40年で世界のゴミ排出量が100倍になっている現状やポイ捨てが動物の悪影響、環境汚染につながること、そんな深刻なゴミ問題について何も有効な解決策を作ることができていないことなどがあるそうです。

事業内容と今後の展開

また、ピリカさんの事業は主に2つあり、1つ目はピリカというゴミ拾い情報を共有するSNSだそうです。サービスの目的は”回収されるゴミの数を見える化して増やす”ことであり、ゴミを拾った際に写真を撮影して投稿することでSNS上の他の人から感謝されるというシンプルな仕組みです。ゴミを拾ったことを他の人から評価されることで活動が広がるという狙いで作られており、自治体やグリーンバードさんなどの他の団体とも協力し、もうすぐ2000万DLを達成されるということです!そして拾われたゴミの数は2016年に6000万個に到達(初年度は9万個)!ピリカ、広がってますね!そんな大きな達成経験を、ゴミを拾ったことが広まって行くというのは基本的なロジックだと冷静に話す高橋さんはとてもクールでした。

活動の理念について語っておられる高橋さん。熱いです!

2つ目の事業はタカノメという、落ちているゴミの数を数えるシステムです。ポイ捨て調査を行う方法が確立されていないという問題を解決するために作られたものであり、ユーザーが投稿した写真からディープラーニングや目視によってゴミの種類を判別し、ヒートマップを作成します。今後の目的は東京オリンピックにおけるポイ捨て深刻度の調査での利用であり、そのほかにも自治体のポイ捨て啓発ルートの選定やポイ捨てを防止するデザインの研究などの用途があり、ピリカさんはCSVでデータの提供を行なっているそうです。

今後についてはポイ捨てがない世界を目指して、ゴミ問題解決に向けた事業に自治体と協力して一緒に取り組んでいきたいというお話をされていました。

講演を聞いて

ピリカさんの思いや事業を拝聴し、ゴミ問題に関してテクノロジーを活用して取り組んでおられる姿勢と、社会問題解決に貢献できる技術の可能性を感じました。今後自分もエンジニアとして、自分たちが楽やお金儲けをするだけでなく、社会問題に技術がどう貢献できるのかについてもっと考えていきたいと思いました。

気になるテーマに分かれて話し合うタイム!

この時間は、これまでの講演を聞いて参加者が感じた疑問を登壇者に質問する自由質問時間(時間の都合上高橋さんへの質問のみ)と、登壇者が議題を決めそれについて話し合うテーマディスカッションの時間がありました。下記に、セッションごとの主な質問と質問に対する回答内容をまとめます。

自由質問タイム

Q1:ピリカはどうやってマネタイズをしているのか。
高橋:協賛企業から広告でお金をもらっている。マップという機能の中に企業を入れている。企業も儲けようというわけではなく、CSRで出している。広告はユーザーの邪魔にならないところで出している。

ここで今日のデイリー回収数が10000個ほどあることが発覚し盛り上がりました。アクティブ投稿者は2000~3000人いるらしいです。実際に多くの人に使われているのがすごいですね…!

Q2:ゴミ拾いが伝搬する仕組みを知りたい。
高橋:企業が大規模に参加することが多い。個人ユーザーは口コミ+SNSでのシェアで広まっていく。

Q3:ゴミ拾い活動が何かの表彰とリンクすると面白いのではないか。
高橋:サービス内でのユーザーを表彰する取り組みは行なっているが、今までサービス自体が外部から表彰されたことはない。

Q4:目標はポイ捨ての減少なので、ゴミがあることがプラスになるようではいけないのではないか。
高橋:そもそも現在のアクティブユーザーが少ないため、まずはユーザーを増やす仕組みを作っている。目標は、捨てられるゴミの数より拾われるゴミの数が多くなること。綺麗な場所にゴミは捨てないはず。

Q5:会社名の由来は?
高橋:途中から入ったがわからないが、「ピリカ」という鳥が名前の由来だったはず。

テーマ:もっとこういうものを集めればいいのではないかというもの(高橋さん考案)

  • 拾うことで仮想通貨がもらえる仕組みを作ればいいのではないか

高橋:いいことをしていることを公表したくない人が多い(拾うけど投稿はしないなど)

  • ゴミを拾った後のリサイクルに関心がある。リサイクルの用途が見えることでモチベーションに繋がるのではないか。拾ったものが何になるかを可視化することもモチベーションにつながるのではないか。
  • 現在ピリカはどんな機能を実装しているか。

高橋:ピリカの機能としては、拾ったゴミのコレクション要素を追加している。また、旅行先でゴミを拾うことで塗り絵ができる仕組みを現在作っている。海外でもゴミを拾う組みがを作りたいと考えており、日本語と英語、中国語に対応している。現在は77カ国でのゴミ拾いの報告がピリカ上で行われている。

  • 目標を作ってみんなでそこに行こうという仕組みを作ればいいのではないか。

高橋:オフラインのつながりとしてゴミ拾いを頑張っているユーザーを対象にピリカの感謝祭をしているが、パブリックな集まりはまだできていない。

テーマ:もっとこういう仕組みがあればいいというもの(福島さん考案)

福島:現在5374.jpは多言語対応や検索機能をつけているが、裏側で何を検索したかでログを取っている。これは自治体の業務の大半がユーザーからの問い合わせ。今は金沢市が導入している。また、現在は不用品を人に譲る仕組みを作っている。5374はゴミを捨てるときに見るものであり、その仕組みを生かしたい。

ディスカッションの様子。様々な視点からの意見が出てとても面白かったです!
  • 掲示板をシェアしたらいいのではないか。

福島:現状は自治体が見つけ次第提携している。

  • 近場のフリマとの提携はどうか。

福島:現状フリーマーケットとの接点が無い。前向きに検討してみる。

  • 粗大ゴミの扱いはどうなっている?

福島:金沢市では特別なゴミ扱いをされているため、別枠で考えている。

  • 粗大ゴミを出すときに一連で決済までできると使いやすい。シールを買いに行くのが面倒くさい。

福島:5374.jpと繋げられるかを検討してみる。

  • 逆に欲しいですというニーズを満たすものを作る。
  • ゴミの出し方を動画で観れると面白い。

福島:文章で書かれていることはあるが、確かに動画はないかも。ところで、皆さんはゴミ捨ての曜日は覚えているか。

  • 覚えている、冷蔵庫に貼っている、マンションはいつ出しても大丈夫、渋谷区は大体燃える。

福島:ガラケー時代に、メールで通知が来る仕組みがあった。スマホに乗り換えるタイミングで5374appが使われるようになった。

  • 金沢市のゴミ袋は有料か?

福島:来年から有料だが、住民からの反対が多くて自治体が苦労している。

  • 有料化すると値段が高い。
  • LINE連動がいいのではないか。
  • Botで来るのが面白いのではないか。
  • push通知はありがたい。
  • 画像で検索する機能があってもいいのではないか。
  • 分別以前に、ゴミの名前がわからない場合がある(例:ガラガラ、干すやつ)ため、画像認識などで判別をしてくれると助かる。
  • ゴミの情報がビッグデータになるのでは無いか。
  • サービスを通して家族ごとのデータを取ることができるのではないか。
  • ゴミが出ることが前提だが、リサイクルできるという仕組みを作ればいいのではないか。

福島:ゴミでいろいろなことができそうですね。

  • インストール数はどうすれば増やせるのか。

福島:現在は自治体が公式アプリとして出しているためそこに依存している。

  • 自治体に住んでいる人がみんなこれを持っている状態になればpush通知との連携の幅も増えて面白い。
  • 家族層に向けて子育て情報を出すのも面白い。
  • 行政の中でもゴミに関する部署と他の部署の連携。
  • ゴミを処理する業者の負担を分散することもできるのではないか。

福島:現状はゴミ取が多いと収集車が帰ってしまうという問題がある。廃棄時間や場所の分散はそうした問題の買いけるにも繋がるかもしれない。

まとめ

今回のイベントは「ゴミ問題」がテーマということでニッチな話になるだろうなという予測をしていましたが、テクノロジーを社会問題解決にどう活用するかという議論や、活動の意義や良さをどうすれば外部に伝えることができるかという議論など、ゴミ拾い以外の活動にも共通するような議題の話が行われていたことがとても印象的でした。解決すべき社会問題の種類は多いですが、どの問題に対しても地域住民と技術者が主体的に参加するシビックテックでしかできないアプローチがあり、それを実践し5374.jpやピリカなどの成功事例を積み上げ共有していくことが、今後シビックテックを発展させていく上で重要であると感じました。僕自身ももっとシビックテックを学びながら、活動の発展に貢献していきたいと思います。

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