Code for Japan Summit 2016:
International Session

2016/11/19–2016/11/20と行われているCode for Japan Summitでの
初日のInternational Sessionでの様子について書きたいと思います。

※間違っている箇所等ございましたら、コメントご指摘大歓迎です!

写真左が台湾からのゲストTH氏

セッションには海外からのお二人のゲストがいらっしゃいました。

Code for AmericaよりMonique氏
米国内の各地のCode forの活動を研究をされているUser Researcherです。

台湾よりTH氏
台湾におけるCivic-Techの第一人者です。
THさんの取り組みの一つ: オタクバン
オタクバン…インターネットの無い集落に、
エンジニアとデバイスをオタクバンとなずけられた車に乗せて連れてゆき、
地方と都市のデジタルの格差をうめようとする取り組み

二人を迎え、約20名程度の参加者全員で円を作って、
各地におけるCivic Techの状況から、最後には今話題のアメリカのトランプ大統領就任について話しました。

各地におけるCivic-Techコミュニティ事情

世界的に言えることは、
・”災害”をきっかけに市民の社会参画意識が高まる
・地方でTech-Eventを行っても、人が集まらない
・若きエンジニアをCode forのムーブメントに巻き込みたい

  • 災害をきっかけに市民の社会参画意識が高まる
http://en.freejpg.com.ar/

台湾でTHさんがどうしてこんなにもデータがでてこないのか、と自身で政府が公開ししているデータを住民のために集め、情報をまとめたのは台風の時でした。

日本でも2011年に地震が東北を襲い、原子力発電所が爆発したときに、
どうしてこんなに被害のデータが出てこないのか、報道されている情報は本当に正しいのかと、原発の安全神話はなんだったのかと政府への信頼が大きく崩れました。

アメリカでMeetupのファウンダーがこの後どうなるのだろうかとそこにいた人に話しかけるまで、自分は近所の人に話しかけた事がなかったのかと人々のネットワークをつなぐプラットフォームの必要性を感じたのは、9.11の悪夢が襲った時でした。

皮肉にも、災害で自分たちの身に危機が迫った時初めて自分たちで生きていくために目の前の課題は自分自身で解決しなければならないと自覚します。
そして、市民による社会参画が活発になります。

今回のアメリカでの大統領選挙は、アメリカにおけるCivic-techに大きな変革をもたらすやもしれません。
今後社会がどうなるのかはアメリカ人でさえどうなるのか予想もつきませんが、Code for Americaは政府がすべての人にとって機能する社会を作っていきます、とMoniqueは話しました。

  • 地方には人が集まらない

第1回、2年前のcode for Japan Summitには、約500名の参加者が集まりました。
第2回、昨年のSummitは豊島区、東京での開催で約1000人の参加者が集まりました。
そして今回、第3回Summit参加申込者は約650人。

距離的な問題がすべてではないのかもしれないけれど、
やはり東京で行うイベントにはかなりの人が集まります。

優秀なエンジニアは東京に集まっていて、地方のブリゲートは人材不足である。
Code for 茨城では多くの場合、facebookの使い方とgoogleアカウントの利用方法を伝えることから始まるそうです。

アメリカでも状況は同じで、code for Americaでさえ、初期の4年間はコアとなるメンバーが3名しかいなかった。

Techコミュニティといえど、エンジニア不足はどこの地域でも抱える問題のようです。

人材獲得には、地域住民に市民参画の意識を醸成することも時には必要で
その際は、そこに住む住民にあったアプローチをすることがカギとなります。

例えば、貧困層の多い地域において両親が教育・地域に対して関心がないために、その子供が地域に関わることを知らないまま育つことがあります。

しかしそこでアプローチをあきらめてしまうのではなく、
彼らにこちらから寄り添うことも大切です。
例えば彼らが集まるような競馬場で
住民参画の呼びかけをすることも一つの案かもしれません。

知らないか関われていない場合、
きっかけさえ与えてしまえば大きな勢いにつながる例もあるほどです。

  • 若きエンジニアをCodeforのムーブメントに巻き込みたい
http://en.freejpg.com.ar/

優秀なエンジニアほど、日本なら東京へ、アメリカであればサンフランシスコに行ってってしまいがち。優秀な若き人材を地域にとどめたいのは世界共通の課題であるようです。

アメリカでは、
学生への教育として、地図に消火栓の位置やごみ箱の位置をプロットする事を教えます。そうすることで自分たちでも住民の役に立つデータを作ることができ、自分たちのエンジニアリングのスキルを活かしてもっと地域の問題を解決するようなものも作れるかもしれないということを自覚させる事を進めています。
そうした経験が、将来的に優秀な人材が地域に根づくきっかけとなっているそうです。

日本の各ブリゲートでは、
Code for 函館は、学生がCode forの運営主体となっていることもあり学生の参加が多く見られます。
また函館大学で学生に地域の課題をコーディングで解決する課題を授業で取り組ませています。
このような大学教授のcode forへの関わりも学生を巻き込むきっかけになっており、地域としてcivic-techへの積極な取り組みへとつながっています。

若者が地域に残るカギとなるのは
自分たちの技術が地域課題をどのように解決することができるのか、
またその無限の可能性を実際に体感させることにあるようです。

台湾では、
g0vなどCivic-techのイベントで学生による、日本語、中国語の翻訳があるなど学生の参加がよく見られる。
一つの手法として、地域の政治家にCivic-techに関するキーワードについて話してもらうこともあるそうです。そうすることで各学校が教育の中にCivic-techに関する内容を取り入れようとする。すると、イベントの開催やCivic-techについてのレクチャーも話が通りやすくなるということもあるそうです。


最後に大統領選について

今回の大統領選挙では事前の調査ではヒラリーが優勢とされていたのにも関わらず、ふたを開けてみれば国民が支持するのはトランプの方でした。

FacebookやTwitterのような自分の趣味関心に偏った情報しか取得することが多くなっている現代社会の実情が露わになりました。
大きな人の声しか通らない、そんな社会になっているのかもしれません。

Paypalの共同創業者であるピーター・ティールがトランプ大統領候補の選挙活動に約1億3000万円の寄付をしたことが話題になりました。
大統領選にIT活用が当たり前となり、シリコンバレーのリーダーたちがそれぞれの明確な立ち位置を求められていることが明らかになりました。

大統領選における情報発信がIT専門家により戦略的に行われることが当たり前になっています。(2016/12/11追記)

写真中央がCode for AmericaのMonique氏

新たな大統領の選出により、地域行政と市民の関係性はより一層重要なものになるとCode for AmericaのMonique氏は話しました。

Code for AmericaはNon-Partisanであるために政治的な力関係にとらわれることはありません。
しかし、今の先が見えない状態で不安に思う地域住民すべてが自分たちの声を直接ホワイトハウスに訴えることはできません。
だからこそ今、地域行政が住民の窓口として必要とされていてそこにCode for Americaが果たすべき役割があると話しました。

多様化文化背景を持つ人が安全に自由に自分たちの意見を話すことのできる場が今必要とされていると彼女は言いました。
実際に、選挙のあった火曜日にはシカゴや、テキサスでは各地のブリゲートが定期的に行っているHack Nightの内容を変更し、選挙戦についてまたは自分たちの未来についての不安を語れる場が持たれました。

こういった場づくりをCode for Americaはこれから進めていくことが、
彼らの理念であるすべての人にとって政府が機能することの実現につながると話しました。

大きな声の人の意見は、全体の20%未満の意見でしかないという考え方もあります。マイノリティであってもそれぞれの声が通る環境づくりの重要性を改めて感じました。


セッションを終えて

海外ゲスト、国内の主要code forのメンバーが口をそろえていったことは、
各地で実践しているノウハウを共有する場が必要であるということでした。

Civic-techの実践はまるで、荒波を越えていく航海のようなものであるとTHさんは言いました。台湾では実際に政治的な要因が彼らの活動の存続に壁となることもあったり、活動を続けていく上で様々な問題が立ちはだかります。

しかし、Monique氏が言うように我々は決して一人ではありません。
同じミッションを掲げて理想とする社会の実現のために取り組みを続けている人が世界中にいます。

今回のセッションはcode for Japan初の英語でのディスカッションであり、
これからの国家観を超えたノウハウの共有に向けた大きな一歩となったことだと思います。

私自身、自分のできることで貢献していきたい、
そう思った初参加のcode for japan Summit 初セッションでした。