Code for Youth主催RESASワークショップ第2回in大阪レポート

Shota Onishi
Dec 31, 2017 · 17 min read

こんにちは。北陸先端科学技術大学院大学の大西です。12月23日に僕が所属するCode for Youthが大阪のさくらインターネット株式会社さんのオフィスをお借りしてシビックテックイベントを開催しました。今回はイベントの内容や出てきたアイデアについてご紹介しようと思います。よろしくお願いいたします。

イベント概要

今回のイベントはCode for Youthが、シビックテックに関わってくれる人を増やすことを目的に主催しているワークショップです。今回のイベントは2回目、関西で開催するのは初めてです。前回のイベントの様子はCode for Youthメンバーの音田くんが書いてくれた以下のページを参照してください。
https://ubi-s13.naist.jp/ubistpage/ubiblog/archives/2921

イベントの目標は、参加者の方々が
- 地域の課題解決に興味を持つ
- データを使ってどんなことができるかを知る
- シビックテックの入り口を知り動き出せる
という3つを掲げています。

イベントのコンテンツとしては、
1. シビックテックやCode for Youth、シビックテック関係のコンテストの紹介
2. 身の回りの地域課題を考えるアイデアソン
3. RESASの使い方に関するハンズオン
4. グループでツールやWeb上の情報を用いて地域課題を分析するワーク

の4つを4時間でやっちゃおうというなかなか濃い内容になっています。
1.2のワークは個人で行い、2が終了した時点で出てきたアイデアをもとにして3–6人程度のチームに別れ、3.4のワークはチームで行って、最後に各チームが3分間で発表するという流れでした。

インプット〜チームビルディングの様子(写真と説明)

今回各チームが取り組んだ課題

参加者投票結果、6つのアイデアが今回のイベントで取り組む課題に選ばれました!それぞれについて下に詳しく示します。

グループ1

課題:地域の資源をうまく活用できていない問題

グループ1は現在地方で大きな問題になっている空き家に関する課題でした。提案者の方は香川県出身で、現在建築を学んでおられるそうです。「空き家は一般的にマイナスなイメージだが、うまく活用すれば観光業などに使える資源になるかもしれない」という言葉に、提案者の方が感じている空き家への危機感と、大きな可能性・ワクワク感を感じ、発表がとても楽しみになりました。

グループ2

課題: 地元に子どもの遊び場が少ない問題

グループ2は現代における子どもの遊び場に関する課題でした。提案者の方は「ボール遊び禁止」などの看板を地元である千葉の公園で見かけることが増えていることに課題意識を持っておられ、都会で子供がのびのびと遊ぶことができる環境を作るにはどうすればいいのかについて考えたいとのことでした。「自分が子どもの頃はそんなことなかった、現代を生きる子供達のためになんとかしたい」という言葉に強い当事者意識を感じました。

グループ3

課題: まちづくりにおける市民の合意形成に関する問題

提案者の方は様々な場面で合意形成ができていないということに課題意識を感じておられ、特にそれが顕著に見えるのがまちづくり領域であるというお話をされていました。提案者の方はヒアリングの際に、「人口減少などの問題が大きくなっていく中で、打ち上げ花火のような単発の活動をするのではなく、みんなで方向を決めて取り組んで行きたい」というお話には僕自身とても共感する部分が多かったです。

グループ4

課題: 京都で自転車を駐輪させて欲しい問題

提案者の方は京都の学校に通っており、普段の生活で自転車に乗ることが多いものの、市内に自転車を止める場所がなく、仕方なく路上に止めざるを得なくなり、その結果駐禁で罰金を取られてしまうという場面に何度も遭遇したことがあるそうです。「周りの学生にも同じような課題意識を持っている人が多く、なんとかしたい、駐禁で消えたお金が無ければ焼肉にいける。」と話されている提案者の方からはとても強い思いを感じました。

グループ5

課題: 過疎地域が抱える問題を解決したい

提案者の方は今回のイベントに参加して山間部出身の方と話す中で、ご自身が経験してきた都市部の生活と比較して大きな衝撃を受けたとのことでした。「これまで考えてこなかった視点からの課題解決に取り組んでみたい」という意見はこれまでイベントをしてきた中で初めてだったのですが、市民同士が課題を共有することで新たな視点を得て、お互いがこれまで考えつかなかったアイデアが生まれるというのはまさに「共創」であり、とても面白いなと感じました。

グループ6

課題: ヘルスケア問題

提案者の方はご自身が普段お仕事として取り組まれているヘルスケアマーケティングについて、シビックテックの観点から考えてみたいとのことでした。今回唯一のお仕事で取り組んでいることを元にしたテーマでしたが、本人もヒアリングの際に「自分の持ち味が活かせそう、いいアウトプットが出せそうです」と話されていたように、プロの視点に市民の視点が加わることで実現可能性の高い、かつユニークなアイデアが出そうだなと感じました。

ワーク中の様子(写真と説明)

チームができたら、次は課題分析ワークに入ります。70分という短い時間の中で参加者の皆さんには実際に課題を深掘りして解決策を考案し、3分間の発表資料にまとめるというかなりハードなワークに取り組んでいただきました。ワークの様子を写真にまとめます。

発表

70分のグループワークを終え、いよいよ各チームの発表です。それぞれどんなアイデアが出たのか、振り返りたいと思います。

グループ1 (地域の資源をうまく活用できていない問題)

グループ1は香川県の空き家率が13.3パーセントであり、全国平均より高いということを指摘した上で、2015年以降民泊数の増加やオリンピック開催の影響もあって民泊に関する法改正が行われているということを挙げていました。そして、香川県で3年に1度行われるアートのお祭り「瀬戸内芸術祭」に来た人に向けて民泊を提供することで香川に滞在する時間を増やし、香川の魅力に気づいてもらうことができるという提案でした。問題点に対して数字をあげた上で何と結びつけるかについても具体的なイベントや数字をあげて説明されており、とても説得力のある提案でした。また、空き家を活用して香川での滞在時間を増やすことによって「空き家を資源にする」という目標を実現している点が初志貫徹、すごいなと感じました。

グループ2 (地元に子どもの遊び場が少ない問題)

グループ2は人口増加が少ない地域を「田舎」、多い地域を「都会」と定義した上で、都会は一人当たりの公園面積が少ない、つまり遊び場が少ないということを指摘していました。この問題に対処するための「都会の長所」として挙げられるのは住む人の多様性であり、そこと2020年の東京オリンピックを重ねて、外国人インストラクターが子供に伝統的なスポーツを伝えるというソリューションを提案していました。外国人が教えるという付加価値をつけることで遊び場が少なくても子供に楽しみを提供することができ、それがいま問題視されている子供の運動不足改善にもつながるという発展性もある素晴らしい提案でした。

グループ3 (まちづくりにおける市民の合意形成に関する問題)

グループ3は合意形成ができていないことを示す指標として行政のHPでの質問コーナーへの書き込みの少なさや、行政が実施した意識調査の回収率の低さ、選挙率の低下などを挙げ、合意形成ができていないことで市民が行政に対して関心を示さなくなっているという指摘をしていました。こうした問題を解決するためには行政側の発信力をもっと高めることや、市民がコミュニティを作って自分たちの力でまちづくりを行って行くことであるということを僕たちCode for Youthを例に挙げて話されていました。行政と市民との対話の場が少なく、お互いに主張したいことが伝わっていないというお話は確かに共感する部分が多く、そうした意味で各地のCode for コミュニティのような行政の職員さんや市民、技術者といった方々が協働する場を作る存在が重要なのだなと改めて感じました。

グループ4 (京都で自転車を駐輪させて欲しい問題)

グループ4は自転車問題に関して市の助成金制度に関する情報をもとにして論じていました。京都市は駐輪場を作ることに対して年間1億円もの助成金を出しており、その取り組みの結果現在撤去台数は減っているとのことでした。しかし京都市民は全体の44%もの人が自転車を活用しており、その保有台数は全体で63万人にも登ること、そして昼間の滞在人口を踏まえると40万台以上が市内に停められていること、それを考えるとまだまだ駐輪場が足りていないという問題を指摘していました。具体的な数字が使われていたので非常にわかりやすい発表であり、また発表の中に所々ボケたり突っ込んだりする場面があり、会場を巻き込んで話す関西らしいとても面白い発表でした笑

グループ5 (疎地域が抱える問題を解決したい)

グループ5は神戸の灘区で空き家が増えている(ここ5年で5倍!)というところに着目して、都市部でなぜ空き家が増えているのか、それをどうすれば解決できるのかという問題に取り組んでいました。そして調査の結果、近年介護施設の入所者数が急増していること、神戸市は持ち家率が7割にも及ぶことを挙げ、また特に東灘区などの地域は家賃も高いためそのせいで家主が介護施設に入って人がすまなくなった場所に新しい人が入れないから空き家が増えているのではないかという問題を指摘していました。そしてこの問題を解決するためには一人暮らしの高齢者が住んでいた場所を解放する必要があるいう内容でした。このグループは一見都市部で問題がないと思われている地域が抱えている問題をデータを用いて明らかにしており、斬新な切り口がとても面白かったです!

グループ6 (ヘルスケア問題)

このグループは「子供が40代、親が70代という家庭の介護施設へのアクセス格差を解決する」というテーマで、山間部にできたオールドニュータウンを具体例としてあげて介護問題に取り組んでいました。一昔前に山間部に多く作られたオールドニュータウンは、コンパクトシティを進めたか否かによって、現状が大きく異なるということを分析していました。コンパクトシティを進めた地域は近場に介護施設が多く作られている一方で、進められなかった地域は介護施設が遠いため、山間部という場所の悪さも相まって、介護を受けることが困難になっているということを、具体的に地図上に介護施設がマッピングされた図を示しながら説明しており、とても説得力がありました。また、コンパクトシティを進めている地域も施設が足りているわけではないということも話されており、介護問題を改めて考えさせられる発表でした。

総評

今回のイベントは大阪大学に勤めておられる傍でCode for Osamaでも活動をされている古崎先生にご参加いただき、最後にイベント参加を通じた総評とコンテストのご紹介をしていただきました。

普段のシビックテック系のイベントで若い人の参加が少ないことが問題になっている中で、若い人が中心になったシビックテックイベントが実現していること、そして短いワーク時間の中でしっかりと課題の分析ができていることを評価していただき、主催者として、そして1イベントの参加者としてとても嬉しかったです。古崎先生、お忙しい中ご参加くださり、本当にありがとうございました!

また今回のイベントで作ったものを活用できる2つのシビックテックコンテストについてもご紹介くださりました。

1つ目はLODチャレンジです。データや社会問題をインターネットでつなぐというコンセプトで開催されているものであり、ウィキデータなどの様々なデータがこのコンテストを通して繋がっているそうです。色々なものを「つなぐ」、とても面白そうです…!

2つ目はアーバンデータチャレンジ(2017はすでに締切)です。GovHackなどのシビックテックに関するイベントを通じて作品を作り、応募するコンテストだそうです。毎年全国で開催されているということでしたので、来年はぜひ参加させていただきます!

またこれらのコンテストは重複応募可能であり、社会問題に切り込んでいく姿勢が重要とのことでした。シビックテックは競プロやビジコンなどとは異なり長期的な活動であり、なかなか評価がされにくい部分もありますが、こうして「コンテスト」という形で評価を得ることができる場所があればそうした問題も解決していくなと感じています。僕たちCode for Youthもそうした場と若い人をどんどん繋いでいくともに、自分たちもプレイヤーとして参加していきたいと思います!

まとめ

まとめは司会である中尾君が素敵に締めてくれました。以下僕がメモした内容(解釈がだいぶ入ってるかもです)をまとめます。

各地でテクノロジーを活用した地域づくりであるCode for の活動は盛んに行われています。しかし、若い人の多くはそうした活動の存在を知らず、地域課題を解決したい思いはあってももどこでやればいいのか、だれとやればいいのかを知りません。そこで、僕たちCode for Youthは同じ志を持った人を繋ぎたい、世界中のYouthが繋がり、街を変えていく未来を作りたいと思い、活動しています。参加条件はただ一つ、「心がYouth」です。もし活動に参加したいという人がいれば大歓迎です、一緒に頑張っていきましょう!

懇親会

ワークが終わったらお待ちかねの懇親会でした!色々な職業、活動をされている方との会話はとても楽しく、今後のYouthの活動へのヒントもたくさんいただくことができました。

最後に

思えば今年の9月にCode for Youthが立ち上がり、若い世代に「シビックテック」という1つの道を示すためにどんなことができるのかについて話し合う中で考え出したこのRESASワークショップも第2回を終えました。活動を進める中で、持続性や発展性の面で様々な課題(イベントからその先にどうつなぐの?、イベントに来れない人はどうするの?など)も見つかりました。でもやっぱり僕の中で一番大きな気づきは「僕たち自身が楽しむことの大切さ」かなと思っています。僕たち自身がこの活動を楽しみながらやることで、イベントに来てくれた人たちが「シビックテックって楽しそう」と思ってくれて、さらにそこで一緒に楽しく取り組んでいく仲間や、取り組みたくなるような魅力的な課題にも出会えたら最高だなとしみじみ振り返ってます。

コンセプトメイキング合宿や台湾への海外遠征、メディア作りなど楽しそうな企画がたくさんあってしばらくは飽きそうにないですが、メンバーとの出会いに感謝して、大変なことも楽しむことを忘れずみんなと一緒に乗り越えていけたらなと思います。

そして、僕たちCode for Youthの立ち上げが行われたCode for Japanサミット2017にイベント参加者としてきてくれていた中尾君、サミット後すぐに連絡が来てびっくりしましたがメンバーに招き入れて3ヶ月、今回のイベントでは企画から音頭をとって取り組んでくれて、他のメンバー一同とても刺激を受けました!本当に疲れ様でした。(今回あんまり手伝えなくて申し訳ないです…)

これからもCode for Youthは若い人のシビックテック参加をサポートするためにメディア作りやイベント作りなど、様々な活動に取り組んでいきたいと思っています!活動に興味があるという人がもしおられれば、Code for YouthのFacebookページメールなどでご連絡をいただければと思います!

それではみなさん、良いお年を!(記事を書いてるのがたまたま年末なのでそれっぽい終わり方にしてみました笑)
2017.12.31 Code for Youth 大西翔太

Code for Youth

行政・市民・民間の垣根を越えテクノロジーやデザインなどの力を用いて地域の抱える課題を解決していく活動にもっと若い世代を巻き込み、盛り上げていくことを目的に発足した団体です。

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Code for Youth

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