野菜販売で非難された劉氏による4年間3000億円企業の作り上げ

邱 開洲
Code Republic Blog
Published in
4 min readAug 1, 2018

中国では、様々な起業者がおられて、中でも初期において周りに理解されず、ひどい非難を浴びる方もいる。1982年生まれた劉伝軍氏がそのうちの一人だった。野菜販売で最初非難された劉氏が4年間3000億円企業の作り上げられた。

美菜网(https://www.meicai.cn/

劉氏は、 山東省に生まれ、 中国科学院にて宇宙空間物理学の修士学位を取得した。 劉氏は2010年3月に一度目の起業し、 [窝窝团]を設立した。[窝窝团]は350都市に事業を展開しており、30万の店舗と提携している。当時中国最大の生活プラットフォームであった。

しかし、2014年に劉氏は農村の実家に帰省した際に、トウモロコシの値段が都市では高く上がっているにもかかわらず、農村ではほぼ20年前のままだということであることに気づいた。食材の流通においては、複数の中間業者を介して、農民の利益を搾取していることがわかった。劉氏はインターネットを利用して、中間業者をなくしたいと考え、[美菜网]を設立した。高学歴者が起業することが良いのだが、せっかく名門大学卒業したのになぜまた出身地の他者と同じように野菜を売りに行くかは周りから理解されていなかった。
(※中国では、特殊な戸籍制度が存在する。人口流動を制限するために、農村戸籍と都市戸籍とは分かれている)

4年後の今、まさに世界中に流行ってきた生鮮ECというBig Waveの先頭に立つとは当時誰も想像できなかった。

美菜网(https://www.meicai.cn/

[美菜网]は2014年にB2BのECプラットフォームという形で生鮮食品業界に参入した。2017年に売上高が200億元を突破した。2018年現在、わずか四年間で60億元を調達し、約200億元のバリュエションとなった。

事業概要

都市で野菜の需要が一番多いところは飲食店である。[美菜网]は農民と飲食店とのマッチングを試みた。飲食店の仕入れニーズに合わせられたため、最初から一部の導入を実現できた。店舗は前日までにアプリで発注すれば、翌日食材が店に届く。今まで朝早く“朝マーケット”に行く手間が省かれるようになり、農民側も今までより高い価格で野菜が売れるようになった。

さらに長期間の経営と伴い、大量なデータが蓄積できており、ビッグデータの分析を通じて、物流効率の向上(各都市の需要と産地のマッチング)、農産物の生産指導(野菜の需要による農産物の種類の調整)を行えることが参入障壁となりえた。

また、野菜の鮮度を保つため、一連の物流体体制を自ら作り上げられた。野菜の種類に合わせて専用の輸送車を利用したり、標準化の派ケージやコンテナを利用したりして輸送を行う。

今後の課題

① 農村部の情報技術が遅れている

都市の飲食店では、発注や支払い等がすべてオンラインで済ませるのに対し、農民とのやり取りは未だにオフラインで行われている。そこでやり取りが効率を下げている。

② 業界標準化の浸透に苦労する

生鮮食品における、[美菜网]が独自の運営標準を持っている。その標準は野菜の調達、運輸など、様々な要素に関わり、新規展開の際は、[美菜网]独自の運営標準が適応できない場合がある。

③ 運営改善余地が大きい

生鮮食品は輸送の環境と時効性に対し、厳しく求めているため、現状でもまだ改善する余地が大きい。例えば、決まった時間に食材が届いていない場合、飲食店の営業が出来なかったことで、営業機会損失の損害賠償にもつながるような事故がある。

これからさらなる大きな生鮮ECの波は来るかもしれず、一般消費者としてより便利、より幸せな生活を送れるのではないかとと思います。

ですが、世の中のイノベーションは、波の先頭に立つ人がいるから現われるものであり、今受けられるすべての便利さに感謝し、先人を心より尊敬します。

--

--

邱 開洲
Code Republic Blog

Venture Capitalist#Born in China # YJ Capital#Yahoo! JAPAN# Waseda Uni. #UC Davis# Focus on Media/Marketing/AdTech etc.