前回記事への補足

Koyo Uem
Commons OS
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3 min readApr 25, 2018

前回の記事には多くの皆様に興味を持って読んでいただき、ありがとうございました。特にnewspicks上では賛否両論のコメントをいただき、多様な視点でとても刺激になりました。

改めて、伝えたかったことは、

長期的(20−30年後)には、

・価値観や志に基づいた経済圏が数多く生まれる。

・経済圏は非経済(社会関係資本、人的資本、自然資本)も含まれる。

・個人の所有物をシェアする経済圏から公共財をシェアする経済圏まで様々。

・交換可能にする、減価させるなどのインセンティブ設計は共同体が自由に行える。

・私たちは自由に経済圏を選べるので、どの経済圏が繁栄するかは私たちの選択に委ねられている。

短期的(5−10年後)には、

・今後、ブロックチェーン 以外にも数多くのテクノロジーが出てくるので、トークンエコノミー をうまく活用して、それぞれの人々にとって生き心地の良い社会を小さな範囲から試行錯誤して作っていきましょう。

という主旨です。

意見が分かれた原因となった「国家が弱体化する」について。文中で仮想通貨が法定通貨を駆逐するとは一言も言っておらず、仮想通貨はサブシステムとして法定通貨と共存していくことになると考えています。

国家の弱体化は仮想通貨によってのみ引き起こされるわけではなく、グローバル化の進展による影響がより大きいです。社会インフラ提供企業となりつつある多国籍企業がタックスヘイブンを用いて租税を回避する中で、国家は自国経済のテコ入れをするために法人税の引き下げ競争や大規模な金融緩和と公共投資という経済政策しか取らざるを得ない。そして、それらの政策は、自国民だけでなく多国籍企業にとっても有利に働くという構造のなかで、どう暮らしていくのか。

将来的には国家の徴税力が弱体化することで富の再分配が充分に行わず社会保障が弱まることを懸念しています。今後も進むグローバル化と共存できる社会システムが必要ですが、国民国家以外の社会システムの選択肢を私たちが持っていないことが課題ととらえています。

この課題に対して様々なテクノロジーを活かしながら、社会実験をすることで新しい社会保障とライフスタイルを作り上げていく。その一手段として、小さな経済圏を生み出せるブロックチェーンが活かせるのではないか、と考えています。テクノロジーの進化のおかげで、私たちは様々なモノやサービスを低コストで入手したり、作り出したりすることが可能になりました。これまで国家が担ってきた社会インフラや、資本主義市場が担ってきた生活インフラの一部を、私たち自身が低コストで作り維持することが可能になってくるのではないでしょうか。

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Koyo Uem
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前のIDは佐久間東洋。未来学者。人々とAIが協調する社会の中での、ライフスタイルや幸せについて考えを巡らせながら、ライフシフトを実践しています。著作権はCC「表示-継承」 https://twitter.com/SakumaTouyou