第三話 予兆 SC0032–0162

初代皇帝レクシリウス・カイザーによってレクシリウス皇国が建国された。

レクシリウスは一代で地上の亜人族以外の国家を統一した。

亜人族の国の多くは一国で人族を滅ぼすほどの力を有していたが、世界樹の守護者であるエルフ族の女王エルヴィムの名の元に多民族不可侵条約が結ばれていた。

それにより民族同士が争わず交流を持つ豊かな時代が築かれていた。

原始と変わらぬ生き方を美学とする亜人族と違い、皇国は科学技術と魔法の力で常に発展し続けた。その結果たった百数十年で亜人族に匹敵する戦力を有するようになっていた。

少しずつ世界は均衡を保てなくなる。そして、人族を捕食できなくなっていたオーガ族は遂に条約を破棄しエルフ族に戦争を仕掛ける。

この戦争はエルフ族の勝利に終わったがエルヴィムには一抹の不安がよぎる。

世界が混沌の淵をのぞく時、地獄の門から漏れ出す魔族の思念がエルフの胎児を侵食し、ダークエルフが生まれてくる。そして、そのダークエルフが地獄の魔王を復活へと導く。

エルヴィムの思い過ごしだったのか大森林からダークエルフが見つかる事はなかった。

地獄の門は世界樹の奥深くに封印されているため、大森林から追放されたエルフからはダークエルフが生み出される事はない。よって外界のエルフについては調査される事はなかった。

もし万が一ダークエルフの子を身籠ったとしてもエルフ族なら自らの命を絶って魔王の復活を阻止するだろう。