思考を形にするコツ

アウトプットこそが正義

たかつ
ナレッジマネジメントラボ
5 min readOct 7, 2016

--

今働いている会社が広告クリエイティブの文脈をもっていたり、また自分の職種が企画だったりプロジェクトマネジメントだったりすることから、抽象的なことや不確定なことを考えて、それを形にすることが多い。

具体的には、
・クライアントの考えているぼやっとしたイメージを制作物に落とし込む
・ディスカッションの結論から企画書を書き上げる
・先行き不透明なプロジェクトについて、関係者が共通認識を持てるようなドキュメントを作成する
とかがそれにあたる。

これらは業務領域こそ違えど、「思考を形にする」という点ではすべて共通している。すなわちアウトプットを出す作業だ。

「思考を形にする」というと、「言語化する」と捉える向きがあるが、それは大ざっぱな考えなように思う。確かに言語化することで思考の輪郭がはっきりすることもあるのだが、文字にするのか、言葉に出すのか、でもアウトプットの形は変わってくる。

文字にする

文字にする、さらには文章にするという行為は、一つ一つの語の意味を厳密に考え、きれいな文章やコピーを生むことができれば、誰の目にも明らかでその後も運用しやすいアウトプットになる。本を書く、という行為がその際たるもので、完成した本はアウトプットとしての自己紹介ツールや営業ツールとして機能する。

ただし文字にする行為はハードルが高い。言葉の意味に厳密になりすぎるあまり、「この言葉で適切か?」ということを常に考える必要があるし、逆に厳密にならない言葉は価値を持たない(「整理する」「まとめる」「検討する」この辺の言葉は、それが意図的に使われているのでない限り、だいたい無意味なことが多い)。文字は具体性と抽象性の間の曖昧さを許してくれない。

口に出す

そんなとき、口に出して言葉にする、誰かを相手にしゃべる行為が便利だ。表情、声のトーン、しゃべる速さ、体の動き、また、「同じ場所で話している」という事実、多くの非言語情報が、抽象的な言葉に具体的なニュアンスを、具体的な言葉に抽象的な要素をつけくわえてくれる。

例えば、「いやーこれはちょっと厳しいですね」と口に出したそのとき、その人が苦笑いをしているのか、険しい顔つきをしているかだけで、「できないことはないけど正直ありえないと思っている」のか、「真剣に考えた結果本当にできないと考えている」のか、という推測が可能になる。あくまで推測であって曖昧さは残るのだが、これがしゃべるという行為のハードルを低くしている。

だから僕は、頭の中の整理ができてなさそうな人がいたときは、できるだけしゃべってもらえるように促すことにしている。

しゃべってもらうときにも、ある程度コツがある。一つの方法は、「~~~なんですか?」と、質問することだ。だいたい人は「こうだ!」という絶対的な答えを持っていなくても、「そうじゃない」という相対的な比較のうえでなら考えを述べることができる。

もっとシンプルな方法としては、「とりあえずなんでもいいからしゃべってください」ということである。ダイレクトに伝えてしまう。ただし、この場合はニュアンスに注意しないと、「おら、しゃべれよこら!」みたいな空気が醸し出されてしまうので難しいときもある。相手との関係性も、当然考慮する必要がある。

チャットツールとかだと、基本は会話ベースのアプローチをとるものの、やはり非言語情報がなかったりするので、これらの方法はうまくいかないときが多い…というのが最近感じているところ。

絵をかく

しゃべってもらう→文字にするの流れに、絵をかく、という術がある。これは、できる人とできない人…というより、その重要性を理解して訓練している人といない人、で大きな差がでる。

要は、いわゆるビジュアルシンキングというやつである。さっき書いた「非言語情報」の代わりを、絵の構成要素の一つ一つが担ってくれるのである。パワポのスライドのコンポーネントで、四角をつかうのか、丸をつかうのか。前者はしっかりとしたイメージを与えるので、固まった用語や定義に使うのがよさそうだ。後者は文字通りまるっとしているので、何か抽象的な概念を表すときに使うのが適切だろう。

さらに図は、構造化して考えを形にできるという点では文字や口頭の言葉よりも優れている。構造化できると何がいいのかというと、すぐに全体像を把握できること、何が足りていないか気づくことができること(MECEに考えられること)、だ。そして、往々にしてその足りていないところに重要な気づきがある。

絵を描くことはそんなにハードルが高くない。なので、自分が人の考えを引き出したいときは、まず口に出してもらう、それから絵にかいてもらう、または自分で書いてそれに追記してもらう、みたいなアプローチをとっている。

ちなみに自分で図をかけるようになるためには、『描きながら考える力 ~The Doodle Revolution~』がおすすめ。

アウトプットが生むものはアウトプットである

思考を形にするとは、つまり何かのアウトプットを出しやすくするということである。アウトプットが出るということは、それを周りの人間がインプットして、またアウトプットを出すということである。

当たり前のことを言っているだけなのだが、これがすべてだ。アウトプットしない思考は、誰にも伝わらないし、何も生まない。

だから、とにかく口に出す、図にかく、文字にする。それが成果を生み出すための必要条件なのである。

あれなんか進まねーなー、と思ったら、まずはアウトプットが足りないんじゃないか?と疑おう。

…といいながらこの文章には図もなにもないのである。折に触れてこの文章の中身を図示しよっと。

--

--

たかつ
ナレッジマネジメントラボ

COPILOT Inc./cut-jp(NPO)/ Project Management & Knowledge Management